宙畑 Sorabatake

特集

これからの時代に求められる卓越した小・中学生を育てる!KEIO WIZARDとは

慶應義塾大学が推進する"KEIO WIZARD"と呼ばれるプログラムに宙畑が参加してきました!

慶應義塾大学殿町 タウンキャンパス Credit : 慶應義塾大学

川崎駅から京急大師線で6駅、国家戦略として24時間国際空港化を果たした羽田空港の多摩川対岸「殿町国際戦略拠点 キング スカイフロント」に突如現れるのが慶應義塾大学殿町タウンキャンパス。

羽田空港から次々と飛び立つ飛行機を見ながら、最先端技術の研究教育を実施しているこのキャンパスに2018年10月28日、50名ほどの小・中学生が集まりました。

彼らは、科学技術推進機構次世代人材育成事業「ジュニアドクター育成塾」のひとつとして慶應義塾大学が推進する”KEIO WIZARD”(KEIO Wellbeing Integrated Wizard Training Program for Elementary and Junior High School Students)と呼ばれるプログラムに参加するために集まったのです。

KEIO WIZARDの記念すべき第一回の特別講義は「宇宙」。宙畑でも以前インタビューさせていただいた神武先生がプログラムの取りまとめ、そして講師を担当されるとのことで、宙畑もお邪魔してきました!

新しい人材育成プログラムKEIO WIZARDとは?宇宙ビジネスと人材育成の関連とは?慶應義塾大学の取り組みに迫ります!

(1)ジュニアドクター育成塾とは

Credit : Japan Science and Technology Agency(JST)

ジュニアドクター育成塾とは国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)による次世代人材育成事業です。将来の科学技術イノベーションを牽引する傑出した人材の育成に向けて、理数・情報分野の学習などを通じて、高い意欲や突出した能力を有する小中学生を発掘し、その能力を伸長させる体系的な取り組みを支援する教育プログラムです。全国で平成29年度には10件、平成30年度には9件の教育研究機関が採択されたそうです。

https://www.jst.go.jp/cpse/fsp/about/index.html

(2)最先端の技術に触れるKEIO WIZARD

慶應義塾大学が推進するジュニアドクター育成塾が【KEIO WIZARD】です。

情報、医療、健康、宇宙などに関心、興味のある学生を対象として、宇宙、ビックデータ、AI、生命、医療、心理など最新のトピックに触れながら、ワークショップやフィールドワークなどを通して、身近な疑問や興味から生まれる科学への好奇心に目を向け、様々な課題を科学の力を用いて解決する「デザインする力」を養成していくプログラムです。今年度から5年間実施する予定だそうです。

ベーシックコースとアドバンスコースの2つのコースで構成され、本年度のベーシックコースでは6回に渡って慶應義塾大学で教鞭をとる教授陣をはじめとする豪華な先生が登壇します。また、50名ほどの小・中学生に対して、20名以上のメンターは企業や研究所での経験が豊富な大学院生や研究員で、メンター同士のメンタリングの定期的なミーティングも継続的に実施しているそうです。

(3)宙畑が入塾式に潜入!第一回目の特別講義は宇宙!

KEIO WIZARDの記念すべき第一回の特別講義は「宇宙」。宇宙をテーマに社会課題を解決するための子供向けワークショップとはどんな内容なのでしょうか。宙畑としても興味津々です。

パスツール型人材の育成を目指す

入塾式でまず挨拶されたのは、慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター特任教授の吉元良太先生です。

吉元先生曰く、ストークスによる研究の分類によると科学研究にはボーア型、パスツール型、エジソン型の3種類があるとのこと。

用途を考慮せずに根本原理を追及するボーア型、一方で用途を考慮し根本原理の追及は行わないエジソン型、その両方を行うパスツール型となりますが、これからの時代に大切になるのはパスツール型であるとのお話しでした。

そのために、このKEIO WIZARDでは知識でなく考え方やプロセスを学ぶことに注力するプログラムにしたいとおっしゃっていました。

人類の活動領域は空へ、宇宙へ

神武先生の話を興味深々に聞く小中学生たち

続けて、行われた第一回の特別講義ではテーマが「宇宙」ということで、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の神武直彦教授が授業を行いました。

神武先生は、宇宙に関する最新トピック、また、ロケットや人工衛星、国際宇宙ステーションの仕組みや現状についての解説から授業をスタートされました。銀河系の中での地球・月の場所を確認し、人類はまだ月までという非常に狭いところまでしか行けていない、今後50年でもっと遠くに行くだろうというお話しがありました。

宇宙利用については、地球観測衛星が氷河の様子を観測する様子などが紹介されました。テクノロジーの高度化、コモディティ化によって地球観測データや測位データを誰もが容易に手にできる時代になってきたこと、また、それによって、国境を超えて、様々な人の生活を豊かにできるというお話を頂きました。実際に先生が取り組まれているマレーシアでの農業の話、カンボジアでの金融の話、また、オリンピック・パラリンピックに向けたスポーツの話などを紹介頂きました。

最後に、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科の南政樹特任助教による様々な種類のドローンの紹介と実際の操縦のデモンストレーションが行われ、受講生から大きな歓声があがりました。

南先生によるドローン操縦デモンストレーション

普段とは異なる視点で、町中を探検!

昼食を挟んで、午後はグループでのフィールドワークです。

異人(自分ではない存在)になりきって、町中を探検し新しいことを発見しよう!というもので、「江戸時代から来たお侍さん」「野良猫」などみんなそれぞれに好きな役になりきって街へ出ていきました。

意外だったのは「仮説を持たずに、役になりきって外に出たことを感じるのが大事」ということ。研究やビジネスなどでは、まず仮説をもってそれを検証するために外に出るという話をよく聞くと思いますが、今回は仮説を持つことによって気づけないことがあるという考えのもと、敢えて仮説を持たないでまず外にでてみよう!というお話でした。

グループでのフィールドワーク。川の向かいには羽田空港が見えます。

フィールドワークを終えて帰ってきたら、気づいたことを新聞にまとめていきます。

限られた時間、今日初めて会ったメンバーで新聞を作るのは、大人でもなかなか大変そうです。

最後に、作った新聞をもってみんなの前で発表します。

質問もたくさん出ていました。異人になりきって、街に出たからこその発見もあり大人も勉強になりました。

(4)これからの時代に求められる” エリア横断型人材”

今回KEIO WIZARDを取材させていただいて感じたのは、求められる人材の変化です。

これまで学校では、先生からカリキュラムで定められた授業を受けて知識を習得し、テストで良い点を取ることが求められてきました。

しかし、答えの分からない時代に突入した現在では、自らの頭で考え行動する人材が求められます。そして、地球で発生する問題を解決していくためには、1分野だけ学ぶのではなく広く様々なことに興味を持ち、それらをつなぎ合わせていく必要があります。

例えば、宇宙ビジネスでも日々生成される衛星データをAIを使って目的に応じて選別する、スマートフォンによる利用者のライフログデータと地球観測データを組み合わせて農業リスクや感染症の広がりを予測する、などという試みが行われています。航空宇宙工学を学び、衛星を設計するだけでは足りないフェーズに入っているのです。

最先端の現場で働く講師陣から様々な分野の話を聞き、興味を持ちながら広く学ぶ彼らは、これからの宇宙ビジネスにとっても必要な人材といえるでしょう。