米政府がNASA予算の大幅削減を提案。正式な予算は議会の審議を経て決定【宇宙ビジネスニュース】
【2025年4月21日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。
アメリカのホワイトハウスがNASAの予算の大幅な削減を提案していることを、複数のメディアが報じています。
行政管理予算局(Office of Management and Budget、通称OMB) が4月10日にNASAに送付した予算案草案では、NASA全体の支出額が約20%削減され、特に科学プログラムの支出は50%ほど削減されているといいます。ナンシー・グレイス・ローマン宇宙望遠鏡の打ち上げ中止など、中止を余儀なくされるミッションも出てくる可能性があります。
なお、今回NASAの予算削減が提案されたのは、正式な予算案が発表される前に各省庁に送られる文書です。これ対してNASAは意見を述べたり、再交渉を行ったりすることが可能です。
こうした意見を踏まえて、大統領は正式な予算案を作成します。その後、議会の上下両院の歳出委員会がNASAの予算案を審議します。そして、上下両院で承認されたのち、最終的に大統領がこの予算案に署名すれば、NASAのその年度の予算は正式に成立します。このようにNASAの予算は議会の審議を経て正式に決定するため、今後の動きに注視する必要があります。
また、4月18日に開催された、JAXAの山川宏理事長の定例記者会見では、報道陣から関連の質問が多数挙がりました。山川理事長は、新トランプ政権に移行してから、すでに2回アメリカに渡航したことなどにも触れながら、現時点では大きな問題はないと説明しました。
「(予算の大幅な削減が提案されたのは)長い予算決定プロセスでの最初の段階だと認識しております。(JAXAと)NASAとの数十年にわたる宇宙科学での連携は双方において非常に有益なものでありますし、国際的な科学コミュニティに多大なる貢献していると自負しています。我々(JAXA)として、どういうことができるのか、政府と連携しながら様子が明らかになった段階で対応をとります。まずは情報収集を行っていきます」(山川宏理事長)
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参考
White House proposal would slash NASA science budget and cancel major missions