【宇宙空間の安全確保が加速】スターシグナル・ソリューションズと豪ベンチャーのイノバー・テクノロジーズが戦略的提携
日本の宇宙状況把握(SSA)サービスを提供するスターシグナル・ソリューションズとオーストラリアの先進的な衛星メーカー「イノバー・テクノロジーズ(Inovor Technologies)」は戦略的提携に関する了解覚書(MOU)に署名。その概要について紹介します。
2025年5月19日、日本の宇宙状況把握(SSA)サービスを提供するスターシグナル・ソリューションズと、オーストラリアの先進的な衛星メーカー「イノバー・テクノロジーズ(Inovor Technologies)」は、在日オーストラリア大使館で戦略的提携に関する了解覚書(MOU)に署名したと発表しました。

スターシグナル・ソリューションズは、JAXA発のスタートアップとして、宇宙ゴミや人工衛星などの観測・軌道解析を行い、宇宙での衝突事故回避ナビを提供する企業です。
「地上の暮らしと宇宙の安全を守る」ことを理念に掲げており、同社の創業者兼CEOである岩城さんに創業のきっかけを伺うと「きっかけは2019年に国連で宇宙活動の長期持続可能性(LTS)ガイドラインの採択に携わったことです。宇宙新興国やスタートアップをはじめとする全ての宇宙活動参加者が、そこで示された宇宙環境を守るための指針を実現できるようにするソリューション作りが今の挑戦の原点です」とお言葉をいただきました。
現在、通信、天気予報、位置情報サービスなどの生活インフラの宇宙依存が進む中、宇宙での交通事故を防ぐことは非常に重要です。今回の提携により、その取り組みは一層グローバルな広がりを見せることとなります。
今回の提携は、宇宙領域監視(SDA)、SSA、そして宇宙交通の調整といった分野において、両社の技術の強みを補完的に活かすことを目的としています。インド太平洋地域における政府および民間顧客に対して、より高度で信頼性の高い宇宙ソリューションの提供を目指します。
2025年3月28日には、第3回宇宙交通管理に関する関係府省等タスクフォース大臣会合が開催され、日本における宇宙交通管理における技術力やルールメイキングの好事例を提供することで、国際的な宇宙交通管理の確立に貢献するとの発表もありました。
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署名式には、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や在日オーストラリア大使館の関係者が出席しました。
本MOUは、今後の共同技術開発やミッション協力、さらには長期的な商業的連携の礎となるものであり、両国の宇宙ビジネスを次のステージへと導く重要な契機となるでしょう。
最後に、プレスリリースに掲載された関係者のコメントを紹介します。
スターシグナル・ソリューションズ
創業者兼CEO 岩城陽大氏
「宇宙分野におけるオーストラリアのイノベーターであるイノバー・テクノロジーズと協力できることを喜ばしく思います。アジアおよびインド太平洋地域において、両社の技術的な強みを生かしたイニシアチブを立ち上げることを楽しみにしています。」
イノバー・テクノロジーズ
CEO マット・テトロー博士
「当社とスターシグナル・ソリューションズは、互いに補完し合う高度な技術力を有しています。本MOUは単なるビジネス契約にとどまらず、共通の志に根差したパートナーシップです。両社の連携によって、両国はもとより、より広い地域に貢献する革新的かつ主権的な宇宙ソリューションを提供できると確信しています。」
オーストラリア貿易投資促進庁(Austrade)
北東アジアゼネラルマネージャー エリザベス・コックス氏
「今回の提携を大変嬉しく思っており、関係するすべての皆様に心よりお祝い申し上げます。2024年にパースで開催されたアジア太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF)を通じて、両社の関係が着実に深まっていく様子を拝見できたことは大きな喜びでした。今後も南オーストラリア州政府開発庁との連携を通じて、日豪間における商業宇宙分野でのさらなる結びつきを支援してまいります。」