2030年までにアジアで6,190億米ドル規模の宇宙産業による市場ポテンシャルを引き出すことを目指し、シンガポールで新たなシンクタンクが発足
「GSTCE」を主催するSingapore Space & Technology Ltd(SSTL)は、「SST ThinkTank」としてリブランディングしたことを発表。その概要と今後について簡単にまとめました。
2025年5月27日、シンガポールで開催される宇宙ビジネスカンファレンス「GSTCE」を主催するSingapore Space & Technology Ltd(SSTL)は、「SST ThinkTank」としてリブランディングしたことを発表しました。宇宙産業の商業化を促進し、アジアの宇宙経済の主導的ポジションを確立する狙いです。

SST ThinkTankは何を目指すのか
SST ThinkTankは、宇宙技術の商業化を加速させることで、2030年までに6,190億米ドル規模に達すると予測されるアジアの宇宙市場の成長をけん引することを目指しています。
これまでにも、SSTLとして宇宙ビジネスカンファレンスGSTCEを開催するなど宇宙関連の産業が成長するための環境作りに注力してきましたが、今後はその枠を超え、宇宙技術を具体的なビジネスとして成立させる主導的な役割を担っていくとのこと。
宇宙技術が多分野のイノベーションを加速
SST ThinkTankは、宇宙技術の活用を宇宙産業の枠を超えて広げることを目指しており、具体的には、気候変動対策、人工知能、量子コンピューティング、サイバーセキュリティ、ロボティクス、IoT、医療、金融、物流、高度製造など、多様な分野での応用を促進するとのこと。
また、宇宙技術による産業拡大を加速するために、以下の取り組みを進めると公式のLinkedInの投稿では述べられていました。
• 𝗜𝗻𝗻𝗼𝘃𝗮𝘁𝗶𝗼𝗻 𝗟𝗮𝗯𝘀 & 𝗦𝘁𝗿𝗮𝘁𝗲𝗴𝘆 𝗦𝗽𝗿𝗶𝗻𝘁𝘀 – Hands-on problem solving with corporates and regulators(研究施設とトレーニング)
• 𝗦𝗽𝗮𝗰𝗲 𝘅 𝗜𝗻𝗱𝘂𝘀𝘁𝗿𝘆 𝗦𝗵𝗼𝘄𝗰𝗮𝘀𝗲𝘀 – High-visibility platforms such as GSTCE for business matchmaking(ビジネスマッチングのためのプラットフォーム)
• 𝗞𝗢𝗟-𝗟𝗲𝗱 𝗖𝗼𝗻𝘁𝗲𝗻𝘁 & 𝗥𝗼𝘂𝗻𝗱𝘁𝗮𝗯𝗹𝗲𝘀 – Co-creation of research and market intelligence with global leaders(グローバルリーダーによるラウンドテーブルの開催)
• 𝗦𝗲𝗰𝘁𝗼𝗿 𝗗𝗲𝗲𝗽 𝗗𝗶𝘃𝗲𝘀 & 𝗠𝗮𝗿𝗸𝗲𝘁 𝗜𝗻𝘀𝗶𝗴𝗵𝘁𝘀 – Trend reports and cross-sector workshops(トレンドレポートの発刊と産業横断でのワークショップ開催)
このような取り組みを通じて、業界の枠を超えた連携を生み出し、持続可能な社会と経済成長を同時に実現することが期待されています。
著名なグローバルリーダーが結集した評議会。日本からも宇宙エバンジェリスト・青木英剛さんが参画
SST ThinkTankの評議会には、世界的に著名なグローバルリーダーが名を連ねています。
議長を務めるのは、元NASAアソシエイト・チーフ・サイエンティストのKartik Sheth博士です。そのほかにも、Raha Hakimdavar氏、青木英剛氏、Candace Johnson博士、Jason Bender氏といった、宇宙やテクノロジー分野に精通した多様なリーダーたちが参加しています。
お名前を見ていただくと分かる通り、日本からもSPACETIDEのファウンダーであり、Space Port Japanの理事も務められている宇宙エバンジェリストの青木さんが評議会のメンバーとして名を連ねています。
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