宙畑 Sorabatake

toCビジネス

ユニクロのイベントに若田光一さん、サイアン・プロクターさんが登場。小中学生に宇宙から見た地球を語る

ユニクロのTシャツプロジェクト「PEACE FOR ALL」に、宇宙と地球をモチーフにしたデザインが新たに登場。宇宙飛行士の若田光一さんと、Tシャツのデザインに携わった宇宙飛行士のサイアン・プロクターさんが、小中学生約20人に自身の体験や考え方を語りました。

利益を平和のための活動に寄付するユニクロのTシャツプロジェクト「PEACE FOR ALL」に、宇宙と地球をモチーフにしたデザインが新たに登場しました。デザインを手がけたのは米国のNPO「Club for the Future」。Amazon.comの創設者のひとりであるジェフ・ベゾス氏が設立した宇宙開発企業ブルーオリジンによって創設された教育支援団体です。子どもたちがSTEAM(科学、技術、工学、芸術、数学)に興味を持つきっかけを作る活動をしています。

Tシャツ発売前日の9月25日、ユニクロとClub for the Futureが協働してイベントを開催。宇宙飛行士の若田光一さんと、Tシャツのデザインに携わった宇宙飛行士のサイアン・プロクターさんが、小中学生約20人に自身の体験や考え方を語りました。

プロクターさんは、2021年、SpaceXの民間宇宙飛行「Inspiration4」に参加し、アフリカ系アメリカ人女性として初めてミッションパイロットを務めました。地質学者で、詩人でもあるプロクターさんは「Space2inspire(宇宙からインスピレーションを)」をモットーに、芸術と科学をつなぐ活動をしています。

イベント冒頭、Club for the Futureのディレクター、ヘザー・ネルソンさんが「平和という共通の目標のもとに多様な人々が結束しているPEACE FOR ALLの取り組みに深く感銘を受けている。これは私たちのミッションとも共鳴する」と動画でコメント。今回のデザイン提供は、Club for the Future側からの声かけがきっかけだったそうです。

Tシャツのデザインに込められた思いについて、プロクターさんは「みんなが宇宙に行ける未来を考えることは、みんなが平和に暮らせる未来を考えることに通じる」と語りました。

宇宙飛行士2人のトークセッション

プロクターさんは、宇宙から地球を見たとき「地球がどれだけ貴重なものであるかをあらためて感じた」と語りました。また、宇宙を探究する意義について「厳しい環境の中で、資源の活用、廃棄物の管理などの技術を生み出し、人間がもっと持続可能になる機会」だと強調しました。

若田さんは、宇宙から見た地球を「宇宙船地球号」と例えて、地球環境を守ることや互いに協力することの大切さを伝えました。国際協力があったからこそ自身が宇宙に行けたという経緯とともに、クルーや地上スタッフとのチームワークでISSの熱制御装置を修理したエピソードなども語りました。

未来を担う子どもたちへのメッセージを求められると、若田さんは「平和のためには、一人ひとりの努力が必要」だと応じました。また、「かけがえのない地球環境を守ることは一人ではできないため、世界の人たちと価値観を共有し、協力して進んでいく必要がある」とも語りました。

一方プロクターさんは、自身のモットーである「Space2inspire」に絡め、「一人一人が自分の“スペース”を使って、周囲に影響を与えることがPEACE FOR ALL(みんなのための平和)につながる」と、エールを送りました。

VR体験と「宇宙へのはがき」

トークセッションが終わると、参加者たちは、ブルーオリジンの宇宙船ニューシェパードでのフライトを疑似体験できるVRを楽しみました。

さらにイベントの最後には、はがきに平和を願うメッセージや絵などを描いたものを特設ポストに投函しました。このはがきは宇宙に送られ、特別な消印が押されて手元に返ってくる予定です。これはClub for the Futureの「POSTCARDS TO SPACE」という取り組みで、一般の方もはがきを宇宙に送ることができます。

参加した中学3年生の三宅さんは、鳩の絵と、自分の考える平和な世界をはがきに表現していました。同じく中学3年生の鈴木さんは「若田さんはチームワークの大切さ、プロクターさんは自分の価値観を伝えることの大切さを話していたのが印象に残った」と振り返りました。

宇宙から地球を見る経験は、誰もができることではありません。しかし、今回のように、宇宙に行った人の話を聞いたりVRで疑似体験したりする機会が増えれば、地球規模の課題を自分事として捉える人が増えるのではないでしょうか。