宙畑 Sorabatake

軌道上サービス

LambdaVision、宇宙での製造技術を活用した失明治療の革新に向けて、700万ドルのシード資金を調達【宇宙ビジネスニュース】

2025年11月5日、アメリカのバイオテクノロジー企業LambdaVisionは、宇宙という微小重力環境を使った人工網膜の開発を加速させるため、総額700万ドルのシード資金調達を実施したと発表しました。

2025年11月5日、視覚障がいの治療事業を手がけるLambdaVisionは、「宇宙で製造する人工網膜」の開発を加速させるため、総額700万ドル(約10億円)のシード資金調達を実施したと発表しました。これにより、同社は2027年までの研究・製造資金を確保しました。

世界では毎年、網膜の細胞に損傷が起きる網膜変性疾患によって、何百万人もの人々が視力を失っていますが、効果的な治療法はほとんどありません。

LambdaVisionは、この網膜変性疾患を治療することを目指しています。

独自に開発するタンパク質由来の人工網膜は、網膜にある光を感知する細胞の働きを再現。さらに、患者の網膜内に残る神経を刺激することで、視覚を再生することを狙っています。この人工網膜は、国際宇宙ステーション(ISS)の微小重力環境を利用し、均一な200層のタンパク質薄膜を製造しています。重力の影響が強い地上での製造に比べて、層の均質性が向上するため、微小重力環境での製造により品質を高めています。

LambdaVisionはこれまでNASAや、パートナー企業のSpace Tangoと協力し、ISSで9回のミッションを成功させ、宇宙での製造プロセスを実証・改良してきました。これにより、量産と将来的な臨床試験に向けた準備を整えています。

同社CEOのNicole  Wagner氏は、「今回の投資家による支援は、宇宙での製造が革新的な治療法の開発を加速できる、という認識が高まっていることを示しています。この資金調達によって、臨床試験の実現にさらに近づけます。」とコメントしました。

今回の投資に参加したベンチャーキャピタルSeven  Seven  Sixの共同創業者であるKatelin Holloway氏は、「宇宙での製造を通じて視力を回復させるという彼らの使命は非常に意義深く、宇宙の技術によって地上の生活を変える、良いイノベーション事例となり得ます。」とコメントしています。

同じく投資に参加した宇宙ファンドAurelia Foundry Fund、Seraphim Spaceも、同様のコメントを発表しており、投資家からの期待の大きさが伺えます。

LambdaVisionは今後、シリーズAラウンドの資金調達も予定しています。 これにより、微小重力環境で製造した人工網膜を臨床試験段階へと進め、世界中の患者に新たな視覚回復の可能性をもたらすことを目指しています。宇宙の技術を地上の大きな課題に活かす方法の1つとして、今後の同社の活躍に注目です。

参考記事

LambdaVision Raises $7M Seed Round to Revolutionize Blindness Treatment Using Space-Based Manufacturing - LambdaVision

網膜変性 - LambdaVision

LambdaVision について - LambdaVision

Share

衛生データに無料で触れる Tellusを試してみましょう 登録して使ってみる