広がりつつある未来の弔い方「宇宙葬」の起源と実例、国内企業による次回の打上げは2026年6月に決定【宇宙ビジネスニュース】
アルファクラブ武蔵野は、宇宙葬サービス「Space voyage α(スペースボヤージュアルファ)」の次回打上げ予定を2026年6月に決定したことを発表。
2025年10月21日、葬祭ブランド「さがみ典礼」を展開するアルファクラブ武蔵野は、同社が提供する宇宙葬サービス「Space voyage α(スペースボヤージュアルファ)」の次回打上げ予定が2026年6月に決定したことを発表しました。なお、天候などによって打上げ日が変更される可能性があるとしています。
宙畑メモ:宇宙葬とは
宇宙葬は、故人の遺骨や遺灰を専用のカプセルに納めてロケットで宇宙空間へ送り出す弔いの形式です。地球周回軌道で周回した後に大気圏に再突入して流れ星になる形式のほか、探査機に搭載して月や深宇宙へと送る形式など多様な種類が存在します。
同サービスは、SPACE NTKと業務提携して行われています。SPACE NTKは、日本で宇宙葬や関連サービスを手がけるスタートアップ。2020年にはSpaceX社と直接契約を結び、2022年4月には世界初となる遺骨のみを搭載した人工衛星「MAGOKORO」号の打上げに成功しています。
SFから現実へ。宇宙葬が歩んできた歴史と起源
宇宙葬の起源は意外にも古く、1931年にまで遡ります。アメリカのSF作家ニール・R・ジョーンズ氏が発表した中編小説『The Jameson Satellite』で、故人の体を宇宙へ送り出すアイデアが描かれたのが始まりとされています。
世界で初めて宇宙葬が行われたのは1992年です。『スター・トレック』シリーズの生みの親として有名なジーン・ロッデンベリー氏の遺灰の一部がNASAのスペースシャトル・コロンビア号の「STS-52」ミッションの際に宇宙へと送り出されました。
商業ベースの宇宙葬が本格化したのは1990年代後半です。アメリカの会社であるセレスティス(Celestis)が1997年に世界初の宇宙葬サービス「Founders Flight」を開始。24人分の遺骨サンプルを搭載したロケットを打上げました。この打上げは地球周回軌道への投入を目的としたもので、ここから商業的な宇宙葬ビジネスが形を成し始めたといえます。
また、月面への埋葬という発想も1990年代後半に実現しています。NASAの月探査機「ルナ・プロスペクター(Lunar Prospector)」によって天文学者ユージン・シューメーカー氏の遺灰が月に送られ、月面に埋葬されました。
Space voyage αとは?
では、今回の宇宙葬サービス「Space voyage α(スペースボヤージュアルファ)」とはどのような形式なのでしょうか。
故人の遺骨を専用カプセルに納め、SpaceX社のロケット「ファルコン9」で宇宙へ打上げるサービスです。打上げ後は高度500〜600kmの地球周回軌道に入り、数年間周回した後、大気圏突入時に流れ星となるという弔いの形を提供します。
また、同サービスはいくつかのプランを用意しています。高度500〜600km程度へと打上げて、数年間周回した後、大気圏突入して流れ星になる「宇宙散骨」にくわえ、遺骨の一部をカプセルに入れ、月面探査車に載せて月へ送る「月面納骨」、また、メッセージカードやDNA(髪の毛など)、写真や記念品、思い出の品などを宇宙空間へ送りたい方向けのプランとして「宇宙想(そらそう)」と呼ばれるサービスも提供しています。
宇宙葬は、従来の供養の形を超え、宇宙産業とライフエンディング市場の接点を広げる新しい分野として着実に存在感を高めつつあります。一方で、コスト負担や打上げスケジュールの不確実性、法整備や倫理的観点、宇宙デブリ対策や環境配慮といった課題も依然として残されています。今後は国際的なルール形成や商業宇宙利用の高度化、他分野との融合によって、宇宙葬は人と宇宙の関係性を再定義する社会的イノベーションの一端を担うサービスになるでしょう。

