宙畑 Sorabatake

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ロケットの空中発射を目指すVirgin Orbit社がロケットの分離試験に成功!【週刊宇宙ビジネスニュース 7/8〜7/14】

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Virgin Orbit社 分離試験に成功

7月10日に、小型ロケットの空中発射によって人工衛星の軌道投入を目指しているVirgin Orbit社が、カリフォルニアのモハベ砂漠にて空中での小型ロケットの分離試験に挑み、見事成功しました。
この分離試験は、Virgin Orbit社の軌道投入試験へ移行するための最後の試験となっています。

ロケットを運ぶ空母は、”Cosmic Girl”と名づけられています。Cosmic GirlはVirgin Orbitの同系列の別会社であるVirgin Atlantic Airways社で2015年10月まで運航していたボーイング747を改良した航空機です。

Cosmic Girlから分離される小型ロケットは”Launcher One”と名づけられています。2段式の使い捨て小型ロケットであり、燃料にケロシン・酸化剤に液体酸素を使用する推進機構となっています。

Cosmic Girlから切り離される小型ロケットLauncher One Credit : Virgin Orbit

今回の分離試験の様子は、youtubeから観る事が出来ます。

ロケットの打ち上げを地上から行うと、どうしても天候に左右されてしまいます。この課題を解決するために、Virgin Orbit社は空中からのロケット発射事業に挑んでいます。

しかし、ロケットの空中発射技術はまったく新しい新規技術のため、様々な試験データが必要です。

今回の分離試験は、一見すると空中から小型ロケットを落としているだけですが、数多くのデータを今回の分離試験から得ています。

具体的には、分離直後数秒における機体の姿勢の観測、小型ロケットと母船の確実な離脱、小型ロケットが空中を自由落下する様子の観測などが今回の分離試験の主な目的でした。

今月末から実際に軌道投入する小型ロケットの製造に着手しはじめ、今年の年末に実施予定の宇宙への軌道投入に向けて最終調整に入るとのことです。

今回Cosmic Girlを操縦した、Virgin OrbitのチーフテストパイロットであるKelly Latimer氏は、公式サイトで以下のように話しています。

一連の航行は上手くいきました。母船からの切り離しは非常に滑らかで、小型ロケットは綺麗に落下しました。母船には小さなロール(回転)が発生しましたが、それは私たちの予想通りで、シミュレーターの結果と一致していました。実際、小型ロケットの切り離しと母船の操縦における品質は双方とも予想以上でした。テストパイロットとしての視点から見て、とても平穏なフライトだったと思います。

Virgin Orbit社は、衛星コンステレーションを用いた地上の通信網を実現させようとしている宇宙ベンチャーのOneWeb社から、既に衛星打ち上げの契約を受注しています。

日本のインターステラテクノロジズ社やアメリカのRocket Lab社などの競合になり得るVirgin Orbit社の今後の動向が楽しみです。

アリアンスペース社 Vegaロケット打ち上げ失敗

順調に試験を成功させる企業がある一方、大手ロケット打ち上げプロバイダーであるアリアンスペース社が、Falcon Eye 1衛星を搭載したVegaロケットの15回目の打ち上げを実施し、失敗したというニュースもありました。

これまで安定した打ち上げを供給してきた同社の打ち上げ失敗は、宇宙輸送業界に大きな影響を与えそうです。

Vegaロケットは、7月10日(水)午後9時53分にフランス領ギニアの打ち上げ場から東向きに打ち上げられました。しかし打ち上げから約2分が経過した時に予定された軌道を外れはじめ、その後大西洋へと落下しミッション失敗が発表されました。

Vegaロケットが軌道から外れている事を示すテレメトリデータ Credit : Arianespace webcast

今回のミッションのオペレーションを担当したアリアンスペース社の副社長のLuce Fabreguettes氏は、打ち上げから約2分後に第二段固体ロケットモーターエンジンであるZefiro 23エンジンの点火の際に大きな異常が発生し、打ち上げが失敗に終わった事を発表し、「アリアンスペースを代表して、ペイロードを紛失したことをお客様に深くお詫び申し上げます。」と述べています。

6月26日に、Vegaロケットのフェアリング内に格納されるFalcon Eye 1 Credit : ESA/CNES/Arianespace

また、今回のミッションのペイロードであるFalcon Eye 1は、アラブ首長国連邦が商業目的と軍事目的を兼ねて設計した、高解像度の画像を提供することを期待された1,200kgの人工衛星でした。 続くFalcon Eye 2も、今年後半に別のVegaロケットで打ち上げられる予定でしたが、今後そのスケジュールは変更される可能性があります。ペイロード消失における保険金についてもまだ発表はありません。

今回の失敗を受けて、欧州宇宙機関(ESA)とアリアンスペースは独立した調査委員会を任命することを決定しました。この委員会は、失敗の理由を分析し、Vegaロケットの打ち上げ再開に必要な措置を定義することを目的としています。ESAの監察長とアリアンスペース社の品質担当上級副社長が、委員会の共同議長を務める事も同時に発表されました。

今回の打ち上げ失敗の直接の原因はまだ究明中ですので、今後の発表に注目が集まっています。

参考

Virgin Orbit carries out successful LauncherOne drop test

Virgin orbit completes key drop test ahead of orbital test flight

Virgin orbit HP

LauncherOne Drop Test(Youtube)

Arianespace Vega launch fails, Emirati satellite lost

UAE military satellite lost in Vega launch failure

Vega Flight VV15 failure: Arianespace and ESA appoint an independent inquiry commission