宙畑 Sorabatake

特集

モノづくりの“第4世代”が来る!?【BIT VALLEY 2019 プレイベント】開催レポ!

2019年7月11日、東京都内にて「【BIT VALLEY 2019 プレイベント】モノづくりで変わりゆく未来 〜BIT VALLEY 2019 序章 〜」が開催されました。キャンセル待ちが出るほどの注目を集めた同イベントのレポートをお届けします。

2019年7月11日、東京都内にて「【BIT VALLEY 2019 プレイベント】モノづくりで変わりゆく未来 〜BIT VALLEY 2019 序章 〜」が開催されました。キャンセル待ちが出るほどの注目を集めた同イベントのレポートをお届けします。

4社横断型プロジェクト「BIT VALLEY」とは?

“BIT VALLEY (ビットバレー)”とは株式会社サイバーエージェント、株式会社ディー・エヌ・エー、GMOインターネット株式会社、株式会社ミクシィの4社が発足させたプロジェクトです。地方学生の情報格差の解消を課題として掲げ、昨年2018年に開催されたテックカンファレンスでは、1000人を超えるクリエイターやエンジニアが来場しました。

本記事で取り上げる「【BIT VALLEY 2019 プレイベント】モノづくりで変わりゆく未来 〜BIT VALLEY 2019 序章 〜」は、2回目の開催として2019年9月に予定されている「BIT VALLEY2019」のプレイベントです。同イベントでは、Slack Japan株式会社とさくらインターネット株式会社によるピッチ、さらに株式会社メルカリ取締役社長兼COO・小泉 文明氏と株式会社ミクシィ取締役会長執行役員・笠原 健治氏によるパネルディスカッションが行われ、およそ50名が集まりました。

ミクシィ・笠原氏とメルカリ・小泉氏が語る“モノづくり”

本イベントの目玉は豪華なメンバーによるパネルディスカッション。技術評論社の馮 富久氏をモデレーターに迎え、株式会社メルカリ・小泉 文明氏と株式会社ミクシィ・笠原 健治氏がパネラーとして登壇しました。

Credit : 宙畑

モデレーター
馮 富久

株式会社技術評論社 クロスメディア事業室 室長
1999年4月株式会社技術評論社に入社。『Software Design』編集長、『Web Site Expert』編集長を経て、現在は同社のデジタル展開を担うクロスメディア事業室室長。


パネラー
笠原 健治

株式会社ミクシィ 取締役会長執行役員
1997年11月に求人情報サイト「Find Job!」を始め、2年後に法人化、代表取締役就任。2004年2月にソーシャル・ネットワーキングサービス「mixi」を開始し、2006年2月、社名を「株式会社ミクシィ」と変更し、同年9月、東京証券取引所マザーズ市場に上場。2013年6月、取締役会長就任(現任)。2015年4月、家族向け写真・動画共有アプリ「家族アルバム みてね」を開始。2018年4月から執行役員メディア領域担当。


パネラー
小泉 文明

株式会社メルカリ 取締役社長兼COO
早稲田大学商学部卒業後、大和証券SMBCにてミクシィやDeNAなどのネット企業のIPOを担当。2006年よりミクシィにジョインし、取締役執行役員CFOとしてコーポレート部門全体を統轄。2012年に退任し、2013年12月株式会社メルカリに参画。2014年3月取締役就任、2017年4月取締役社長兼COO就任。

パネルディスカッションのタイトルは「モノづくりが拓く、私たちの未来の生活」。笠原氏は、ミクシィ社が運営するSNS『mixi』の登場によって、ネット上にコメントや日記を「書き込む」ハードルが下がったと言います。同社が手がける写真共有サービス『みてね』の英語圏のユーザーには、ひいおじいちゃんやひいおばあちゃん世代も多いのだとか。若者だけではなく高齢者にもネット上でのコミュニケーションが浸透してきていることがわかる事例です。

「今、注目している技術やサービス」のテーマで、小泉氏は“ブロックチェーン”をあげました。ブロックチェーンが金融以外の実社会にどう入ってくるのかに非常に関心があるそうで、価値の連鎖が見えることで例えば地方など今までお金が入らなかった場所にもお金がまわるようになったり、ネットやスマホアプリ上だけではなくリアルな実社会で技術が使われ、本当の意味でテクノロジーが生活に入ってきたりするのではないかと期待しているそうです。

興味深かったのは、小泉氏によると「これまで、1000億円以上でIPOした日本企業創設のタイミングは3つ」あったそうです。第1世代は、ECや金融など幅広いサービスを展開する楽天が設立された1997年ごろ。続いてmixiやDeNAが設立された第2世代。そしてメルカリが設立された第3世代です。これらのサイクルはおよそ7年ごとで、第4世代がまもなく訪れてもおかしくないというのです。

「新しいプロダクトを生む心構え」というお題では、笠原氏は世の中の流れやトレンドを読むだけではなく、「自分の哲学がなければサービスは生まれない」とコメントしました。画期的なサービスをいくつも立ち上げてきた笠原氏らしい回答に会場には頷く参加者の姿がちらほらと見受けられました。

ここからはビジネスチャットツール『Slack』と衛星データプラットフォーム『Tellus』のプロダクトの世界観や目指すビジョンを中心にお届けします。

「ハブ」としてクラウドサービスがつながる世界を目指して

プロダクトピッチの1つ目は、Slack Japan株式会社で初のパートナーエンジニアである瀬良 和弘氏による、「Slack Platformの今」。

Credit : 宙畑

瀬良 和弘

Slack Japan 株式会社 Staff Partner Engineer
Salesforce、スマートニュース、エムスリーなどの企業で開発エンジニア・エンジニアリングマネージャとして勤務した後、Slackに参画。主に日本のパートナー、開発者の方々のために Slack API の啓蒙活動、パートナー様との直接の協業、日本からのフィードバックをプロダクトの開発に反映するなどの活動に従事。

最初はサンフランシスコのSlack本社の紹介。本イベントの会場となった、Slack Japanオフィスと同じくシンプルながらもおしゃれなオフィスの様子に、羨ましく感じた参加者の方も多いのではないでしょうか。

ピッチは本題に進み、強みである外部連携の紹介が始まります。「Slackを『ハブ』としてクラウドサービスがつながる世界」を目指していて、公開されているアプリの総数は1500を超えるのだとか。

Credit : 宙畑

さらに、Slackアプリ開発3分入門やAPIのトレンドについても紹介し、盛りだくさんの内容でした。

衛星データとオープン&フリープラットフォーム『Tellus』のこれから

続いては、さくらインターネット株式会社の牟田梓が「衛星データとオープン&フリープラットフォーム『Tellus』のこれから」と題して登壇しました。

Credit : 宙畑

牟田 梓

さくらインターネット株式会社
学⽣時代は研究室で超⼩型衛星開発に従事しながら、NPO法⼈大学宇宙⼯学コンソーシアムにて学⽣理事を務める。卒業後は日本電気㈱に入社。地球観測衛星の技術者として6年間従事したのち、海外への衛星拡販を担当。現在は、さくらインターネット㈱に出向し、経済産業省からの委託事業として、衛星データプラットフォーム「Tellus」のビジネス開発を⾏う。宇宙ビジネスメディア「宙畑」にて企画を担当。

『Tellus(テルース)』は日本初の衛星データプラットフォームで、研究機関に散らばっていたデータの集約・クラウド上での解析を行うことで、容量が大きい、特殊な拡張子のデータを扱うストレスの削減を実現します。

BIT VALLEY 2019のテーマは「モノづくり」。学生時代から小型衛星の開発・製造に携わってきた牟田はアルミの旋盤加工が得意なのだとか。そんな牟田が目指すのは、「人工衛星が私たちのくらしの役に立つ世界をつくること」です。

人工衛星は、「人類の進歩によって得られた新たな目」であると牟田は言います。IoT産業の発展によって取得できるようになった情報は点と点でしたが、広い範囲を撮影できる衛星ではそれらを俯瞰したデータを取得できるのが衛星データの特徴です。

Credit : 宙畑

参加者の注目を集めていたのは、衛星データを活用した電動アシスト付き自転車マーケティングの分析事例です。東京23区各地域の年収の高さ、子供の多さ、駅までの距離と衛星データで分析した坂道の多い地域をパラメーターに電動アシスト付き自転車が多い地域を予測するというものです。(本事例についてくわしくは宙畑記事「QGISで電動アシスト付自転車が売れる町の仮説を立てて実際にその町に行ってみた」へ)

衛星エンジニアのバックグラウンドを持つ牟田が、人工衛星の需要を引き上げるべく、衛星データの活用を当たり前にするプラットフォームの開発に取り組む姿は、まさに日本のモノづくりのアップデートを物語っています。

Credit : 宙畑

イベント終了後も登壇者に質問しようと待つ列が途絶えず、参加者の関心の高さが伝わってきました。

さて、本イベントに当たる「BIT VALLEY 2019」は9月13日(金)〜14日(土)の二日間に渡って開催されます。

各業界を代表するクリエイターとエンジニアらによるセッションやワークショップが予定されていて、昨年以上に話題を集めることになるのではないでしょうか。

参考

「BIT VALLEY2019」を通して4社が伝えたいこと〜モノづくりは新たな領域〜