宙畑 Sorabatake

特集

事例を交え白熱トーク!第1回『Tellus Open Discussion』〜輸送・交通篇〜レポート

衛星データのビジネス利用を促進することを目的とした、各業界向けの実践的な衛星データ活用セミナー『Tellus Open Discussion』。その第1回目として開催された輸送・交通篇イベント当日の様子をご紹介します!

衛星データのビジネス利用が世界的な広がりを見せている一方、日本国内においては、まだまだ事例が少ないのが現状です。そこで日本国内の衛星データのビジネス利用を促進することを目的とした、各業界向けの実践的な衛星データ活用セミナーが『Tellus Open Discussion』です。

2019年9月26日、大手町のPwC Japan エクスペリエンスセンターにて第1回『Tellus Open Discussion』輸送・交通篇 が開催されました。本イベントでは、日本初の衛星データプラットフォーム「Tellus(テルース) 」の開発・運用を行っているさくらインターネット と、衛星データビジネスの創出において数多くの海外実績を持つPwCコンサルティング がその知見をいかし、実践的な衛星データの活用法の紹介やディスカッションが展開されました。その詳細をレポートします。

Tellusの概要紹介と衛星データ活用の概要

さくらインターネット株式会社 新規事業部 田中

民間でも数百機の衛星を打ち上げる今の時代。これまで扱いにくいものだった衛星データは、オープンフリーのプラットフォームの登場により、誰でも扱えるデータになっています。その衛星データの利用の仕方や仕組みなどについて、さくらインターネット株式会社 新規事業部 田中より、Tellusの概要紹介がありました。

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続いて、PwCコンサルティングの山田氏より衛星データ活用の概要について説明があり、人工衛星とリモートセンシング衛星の概況、成長が期待されるリモートセンシング衛星の特徴、人工衛星の特徴を生かした活用の在り方や今後の展望などが紹介されました。

▼参考記事

輸送・交通における衛星データ活用の事例紹介

PwCコンサルティング合同会社 山田氏

事例紹介のパートでは、欧米の輸送・交通ビジネスにおいて、最先端の衛星技術を活用した業務効率化や課題解決の実例が紹介されました。

事例紹介1:線路周辺の地すべりリスクの把握 TRE Altamira

Credit : TRE Altamira

衛星データを使った変位監視サービスを提供するイタリアの企業TRE Altamira社 の事例です。
地滑りなど鉄道線路周辺の災害が発生した場合、運行が出来ずに大きな被害が発生することが見込まれます。予防対策を行うにしても範囲が広域にわたるため、リスクの見積もりに多くの費用が掛かることが課題でした。
そこで地盤の変化などを観測できるSAR衛星 を活用し、線路周辺の地面の変化値を分析。変化が大きい地点を高リスクと見積もり、色分されてわかりやすく判断できるサービスにより、重点的に対策を実施できるようになりました。
衛星の広域性を活かすことで、線路周辺の地面の変化値などを定期的にとらえ、効率的にリスクを想定することで、高リスクの場所に対して人的リソースを集中させることが可能になります。

事例紹介2:空港滑走路の点検・修理 サンフランシスコ市、Planet

サンフランシスコ市では、市のインフラの点検・修理・改善のため、多数の小型人工衛星を運用する衛星ベンチャー『Planet』の衛星写真を隔週で入手し、高解像度の画像処理によりモニタリングを効率的に実施しています。

特にサンフランシスコ空港では、空港の設備や滑走路の点検・整備に衛星データを活用しています。路面の状況確認はもちろん、航空機の経路やその他の特殊車両の交通に関しても地上センサーやGPS等、他のデータと組み合わせて状況を把握しています。
以前は目視点検でしたが、広大な滑走路を常時点検する際には人手が必要かつ、多くの危険が伴う作業であり、異常検知も熟練の技(経験)に頼る部分が大きい状態でした。また利用が少ない夜間に点検をしても見落としが発生する等の問題も多々ありました。
衛星データを活用することで、高頻度で滑走路等の情報を入手でき、整備や修理をタイムリーに実施することが可能となりました。詳細な点検はまだ人の手に頼ることがありますが、徐々に自動化が進み、省力化が可能になる未来へ進んでいることがうかがえます。

事例紹介3:橋梁の点検・修理、崩落予測 バース大学

イギリスでは建築後数十年経過して老朽化 した橋梁などが多くあり、整備・点検が急務となっていましたが、コスト面及び人手不足の点から、なかなか整備・点検が進まない現状があります。整備・点検が行われない中で崩落など多くのリスクを抱えながら、利用者や住民は生活をしています。そこで英国バース大学の研究者たちは、衛星を用いた干渉SAR を活用し、橋の状態の時間変化から形状の変位などを検出し、崩落リスクの算定・対応の優先順位決定などを実施する取り組みが行われるようになっています。衛星データを活用することで、変化を定期的にとらえ、効率的な修繕計画を策定し、必要な場所に無駄のないコストをかけて、安全を担保していくことが可能です。マニュアルで実施するよりも、大幅にコストを抑えることが可能になってきます。日本でも建設後50年を超える施設が加速度的に増えてきており、2033年には道路橋の約61%が築50年を超えてきます。コスト不足や人材の不足が確実視される日本でも衛星を用いた干渉SARによるインフラ点検・観測は有効な手段であることが考えられます。

事例紹介4:衛星データを活用した道路の路面状況把握 デラウェア大学

米国デラウェア大学では、道路の路面状況把握など、衛星データをインフラ監視に活用しています。
従来の道路舗装の状況を把握する方法は、人による目視や様々なソースからのデータ収集など、時間と手間がかかっていただけでなく、その情報の正確性も不十分で、結局は経験に基づく予測などで対策をせざるを得ませんでした。
そこでSAR衛星を活用した遠隔監理システムを開発し、コンクリートや鉄などの水分量を測るなど、SAR衛星と光学衛星のデータを組み合わせて、路面や橋の老朽化状況をリアルタイムで高精度に把握。
監視作業の負担や、道路・橋の老朽化状況に合わせた対策ができ、従来の方法よりも総メンテナンスコストが軽減しました。

事例紹介5:道路建設における崩落リスク検知 バージニア州交通局、バージニア大学

バージニア州交通局では、道路建設の際、建設予定の道路の将来的なリスク管理が十分に行き届いておらず、道路建設後に陥没が発生し、事故・修理による費用が発生していました。
そのためバージニア大学の協力を得て干渉SARを活用し、道路の設計の参考情報として共有するシステムを構築することで、陥没のリスクがある地形や場所のデータを取得してリスクを把握。事故や陥没による被害総額を事前に抑えるプロジェクトに活用されています。その結果、陥没穴によって生じる交通被害や、渋滞などの経済的損失、修理費用などを削減できました。

事例紹介6:都市開発における道路の状態の把握 Orbital Insight

近年、グローバルで都市化が進んでいますが、新しく都市を開発するだけでなく、これまでの歴史ある街を都市化する動きも盛んになってきています。しかし、従来の測量方法などでは街の全体像を把握しにくく、他のデータと組み合わせた分析も難しいという課題がありました。
衛星データであれば視覚的に道路状況(配置や状態)を把握することができ、交通量の情報と組み合わせて、都市の再開発を効率的に行うことができます。
もともとはマニュアルでやっていた測量を衛星を活用したシステムに置き換えることで、コスト削減も実現することが可能となります。Orbital insightでは実際に光学衛星の情報を提供して、欧米での都市再開発などを効率化するサービスを提供しています。

事例紹介 番外編:MaaSにおける衛星データ活用 GALILEO 4 Mobility

GALILEO FOR MOBILITY Credit : European Global Navigation Satellite System Agency Source : https://www.gsa.europa.eu/newsroom/news/galileo-supporting-mobility-service

欧州の全地球衛星航法システム「ガリレオ」をMaaSに活用しようとする革新的なプロジェクトが「GALILEO 4 Mobility」です。
複数の衛星を組みあわせることで、精度の高い位置情報の拡充が可能になります。フリートやモバイル端末による位置情報を収集することで、例えば利用者が自分の現在地を知らせるだけでコミュニティバスを呼ぶなど、様々なモビリティサービスを提供できます。また航空分野でも、着陸操縦のサポートとして位置情報は大きく活用することができます。
観測衛星で得られる地理情報と、測位衛星の位置情報を組み合わせれば、3次元空間での把握も可能となり、様々なモビリティサービスへの活用が期待されています。

パネルディスカッション

左から、永金明日見さん(PwCコンサルティング)、山田洋平さん(PwCコンサルティング)、片山裕康さん(PwCコンサルティング)、竹林正豊(さくらインターネット)、田中康平(さくらインターネット)

続いてはパネルディスカッションです。このパートでは、あらかじめ設定された4つのテーマに沿い、日本における衛星データ活用について、登壇者それぞれの想い・考えが語られました。
登壇するのはPwCコンサルティングで宇宙ビジネスを担当する永金さんと山田さん、輸送・交通分野を担当する片山さん、さくらインターネットでTellusのプロモーションを統括する竹林、Tellusのビジネス開発を担当する田中です。
ここからは、その模様を会話形式でお届けします。

衛星データ活用の可能性

永金: モデレーターの永金です。今日は主に4つのテーマについてお話を伺いたいと思います。まず衛星データ活用について、具体的にどういった可能性がありますか?

山田:コペルニクスのデータを使うと、一定の周期で取得したデータをタイル化して見ることができます。例えば、定期点検を行う際に、前回(過去)の点検結果と今回(現在)の点検結果を比較した際に、SAR衛星の観測データをもとに、対象の変形や変位(表面/地表のへこみやズレ)をミリ単位で検知することが可能になります。

レスキュー隊が使っているアプリのサービスでも、ある時点のデータをそれ以前のデータと比べて差異を知ることができます。例えばドローンを飛ばす場合、地図は作成時点から時間が経っているものが多く、事前に想定していた情報と実際の状況が異なるという事態が発生します。地形や植生、道路等の最新の情報を衛星データで把握することで、最適なルートで効率的にドローンを飛ばすことができるので、想定外の事象を排除してレスキュー活動などが可能になります。一分一秒を争うレスキューの現場では、想定外の事態に対する判断のリスクを軽減することができます。

永金:輸送・交通の面ではどんなことが挙げられますか?

山田:タクシーやトラック、鉄道などは大体同じ輸送ルートを通っています。その定点観測データを蓄積することで、衛星とそれ以外のデータをお互いに補完し合うことができ、何かを生み出せる可能性が生まれると思います。

永金:鉄道や航空の事例はどうですか?

山田:鉄道敷周辺などのメンテナンスすべき場所を、衛星データを使って絞っていくことはできると思います。航空分野では、周辺の緑の環境を知ることで、バードストライクの対策に役立てられるのではないでしょうか。

公共交通機関に共通する課題とは?

永金:片山さんは日々の業務の中で、衛星の利活用を考えている企業様が抱えている課題を聞くことはありますか?

片山:大きく二つの潮流があると思っています。一つは、線路や橋梁の保守といった既存の業務を効率化する流れです。労働人口の減少や技術伝承の課題などがある中で、いかにして解決していくべきかという議論があります。
もう一つは、MaaSや自動運転、ドローンといった新しいデジタルテクノロジーをどう活用していくのか、これに対してどう対処していくのかというテーマも議論の俎上に載りますね。

永金:高速道路など日本の大規模な社会インフラは、整備されてからすでに50年以上経つものが増えています。その点も、保守やメンテナンスの部分で課題感があるのですか?

片山:その通りです。例えば鉄道だと、橋梁の耐久年数問題などで保守コストが増えていく課題を抱えています。これは交通機関の使命で絶対に必要なのですが、設備保守などに年間5,000〜6,000億円を投じて継続的にメンテナンスをしているのです。
それに対し、労働人口の減少で人員を当てられない、資金を投じても対応できないというジレンマがある。これは公共交通機関に共通する課題で、解決策を模索しているところです。

永金:それを衛星の利活用でどう解決できますか?

山田:国土交通省でも衛星データを使ってインフラの定期点検のコストが抑えられないか検証をしている段階です。
インフラの老朽化は管理者が行いますが、地方各自治体は技術者の不足が懸念されています。
衛星データを活用した老朽化の程度を一定程度把握することで、コスト削減の効果検証をしているレポートでは一定の条件下の測量作業と衛星データの解析作業においては、完全に置き換わった場合7割程度削減できる検証がなされています。

輸送・交通分野でのTellusやSAR衛星データの活用法

永金:コスト面だけでなく、安全性の問題も解決できそうですね。今年2月にはTellusがオープンしました。現在の登録者数は何人ですか?

竹林:多くのユーザー様に利用いただき、現在11,000人を超えました。

永金:輸送・交通系の方から問い合わせはありますか?

竹林:数社の鉄道会社様やバス会社様からお問い合わせをいただいています。一番多いのは、メンテナンスに衛星データを使えないかという内容です。まだプラットフォームを作っている最中ですが、今後は例えばどれぐらいの分解能が必要で、頻度がどれぐらいあれば、そのお客様に対して設備保守に使えるのかをヒアリングしながら、Tellusのデータを活用できるようにしていきたい考えです。

永金:ではSAR衛星の可能性について聞きたいと思います。グローバルで見たときに、SAR衛星はどう使われていますか?

山田:世界では基本的に干渉SARがトレンドです。立体物の高さや傾きなどを判別する技術は橋梁にも使えるので、保守に活用する取り組みも出てきています。
今後、たくさんのSAR衛星が順次打ち上がるため、データも非常に手に入りやすくなっていくと思いますね。解析ツールも普及し、日本でもミドルユーザーや開発者層の方が干渉SAR画像を作れる状況になると思います。

永金:SARの魅力は変位が見られるところだと思いますが、それは橋梁点検などの分野にも使えるということですか?

山田:そうですね。あとは雲を貫けるので、光学では雲に遮られて観測できないものも見えるというのが、SARの魅力だと思います。

永金:SARを使った設備点検でいうと、Tellusはどのような取り組みをしていますか?

田中:SAR衛星に関しては、ASNARO-2のデータを提供しています。また、あすなろ2号機のXバンドSARのデータもあわせて提供しています。あわせて、SAR衛星データの干渉解析を行えるツールの提供を検討している段階です。

日本における衛星データ活用のハードル

永金:使いやすさは非常にポイントになってくる部分ですね。日本における衛星データ活用がまだ進んでいないのはなぜでしょう?

山田:日本の場合は政府の衛星があり、そのデータを販売できる会社は限られています。まだデータの値段も高いので、手に入りにくいという点はあるかと思います。

永金:欧州では違うんですか?

山田:欧州はEUで資金を出し合い、世界のみんなが使える衛星を作ろうという動きがあり、8,000億円ほど投じてコペルニクスプログラムを立ち上げました。コペルニクスは日本でも使えるので、Tellusと組み合わせて使うこともできます。

永金:片山さんに聞きます。輸送・交通関係のお客様と話していて、具体的に衛星を使いたいという話は出てきますか?

片山:具体的には出てきませんが、国土交通省にて「生産性革命プロジェクト 」というプロジェクトが進められており、その鉄道分野において今年から準天頂衛星システムみちびきを使った業務効率化推進の取り組みが始まっています。最近そのタスクフォースに入ってプロジェクトを進めている方から、「話を聞かせてほしい」というお声がかかりました。ようやく最近、そういう状況になってきている感じですね。

永金:みちびきは測位衛星ですが、輸送・交通とは位置情報の点で相性がいいということでしょうか?

片山:位置情報に対する親和性は非常に高いです。鉄道の保線工事の事例では、電車の接近を知らせる保安員が目視で電車を確認して連絡するということをしています。それをもっとデジタルにして安全性を高めようという実証実験が、みちびきを使って行われています。

永金:さくらインターネットでは、実際にTellusを運営していてどういうところにハードルを感じますか?

竹林:回帰日数や分解能がまちまちであるなど、一つの衛星データが全てに使えるわけではない、ということがハードルかと思っています。これに関しては、衛星データに地上データなどのIoTをクロスさせることで解決したいと思っています。
Tellusは、今まで散らばっていて掛け合わせることができなかったデータを、一つの場所に集約しました。クラウド上で解析を行うので、膨大なデータをダウンロードする必要もありません。解析結果だけをダウンロードして手元に置くということで解決しようとしています。

永金:環境面はTellusのローンチによって整ってきたと。一方で、それを使う人のマインドセットの醸成も重要になってくると思います。その取り組みは?

竹林:「Tellus Satellite Boot Camp 」というラーニングイベントを行っています。昨年は全国5か所、165名に対してラーニングイベントを実施し、衛星データの種類とプログラミングについて、学びの場を提供しました。今後はeラーニングも検討しているところです。

永金:ラーニングイベントを受けた方はどのように変わりましたか?

竹林:衛星活用に対してポジティブな印象を持っていただきました。マインドセット自体が変わってきているのが大きな変化で、そうしたユーザーの声を取り入れながら、より良いプラットフォーム作りを進めているところです。

データの組み合わせによってMaaSはどう変わる?

永金:Tellusはまだ発展段階ということで、ユーザーと一緒に作っていくことが重要になってくるということですね。みちびきとの連携はどう行っていますか?

竹林:現在、政府と実証実験を行っている段階です。

永金:Tellusとみちびきが組む目的や、何が実現できるかということを教えてください。

田中:みちびきのように高精度で自分の位置を特定できるものがあれば、組み合わせ次第でデータ全体の質を上げていくことができます。みちびきはいわゆる点のデータですが、その他の衛星データは広範囲の場所まで推測できます。両方を組み合わせることで情報の価値が上がっていくことに期待して、実証実験を行っています。

永金:先ほどの事例にもありましたが、データの組み合わせによってMaaSはどう変わるのでしょうか?

山田:通常の測位情報は多少精度が粗いということがあります。日本の測位衛星のみちびきは精度が高まっています。センチメーター級の精度が期待されてきているので、このように、精度が高まってくると、ゆくゆくはアリーナでコーヒーを注文したときに、売り子がお客さんを見ずに特定して届けてくれる、なんてことも理論上は可能になると思います。

組み合わせるべき他のデータと新規ビジネスの可能性

永金:先ほどご紹介した事例のように、自動化されたコミュニティバスの研究も進んでいます。それはTellusが得意としている観測衛星と測位衛星を組み合わせて実現できそうですね。そのほかに組み合わせて面白いデータはありますか?

片山:二次交通と言われるバスやタクシーに対して、駅や空港からアクセスする間の短い距離を、どういう形で効率的に移動するか。それを考える上で、人流データは欠かせません。

竹林:人流データは、プラットフォームにも上げている最中です。その他の面白いデータでいうと、Twitterのデータも検討しています。テキストデータからの解析も可能だと思うので、順次進めているところです。

永金:Twitterのデータは意外と交通に密接な関係性があるので、そういった情報も入ってくるといいですね。

山田:TellusはGISデータだけでなく、位置情報まで落ちている人流データと、もともと入っている過去からの画像情報を組み合わせれば、さまざまな気づきがある。それが海外のプラットフォームとのポテンシャルの違いだと思っています。

永金:そこに新規ビジネスの可能性も隠されているということですね。それでは質疑応答の前に、パネリストのみなさんから一言お願いします。

田中:Tellusはまだ完成版ではなく、皆様の声を集めながら成長していくプラットフォームです。「こういうデータがあるといいな」ということを教えてきただき、取り入れてステップアップしていきたいと思っています。

竹林:このプロジェクトの最終目標は、宇宙産業自体を盛り上げることです。衛星データが使われる世の中になれば、世の中の衛星が増えていく。すると、衛星打ち上げロケットも必要になり、宇宙業界全体が盛り上がると思います。いつか、Tellus上で「こんなデータが使いたい」という声が集まり、その衛星が打ち上げられるような未来になればよいなと思っています。

片山:かつてであれば参入障壁が高かった交通分野において、衛星データ活用により、その敷居が低くなって来ているのはポジティブなことだと思います。衛星データをどう活用していくのか、議論を深めてお客様にアプローチできればいいと考えています。

山田:Tellusは今、コンピューティングリソースも無償の実証段階なので、始めてみようという方には、今が一番チャンスのタイミングだと思います。

オープンディスカッション

最後にオープンディスカッションが行われ、会場からは「今後どういったデータがいつ使えるようになるのか」「ラーニングイベントやeラーニングでは何が学べるのか」といった質問があり、APIや解析ツールの今後の展望、Tellusのビジネス利用などについて、登壇者と意見が交わされました。

日本初のオープンフリープラットフォームとして誕生し、これからますます進化していくTellus。今後もユーザーの声を反映し、より使いやすく、さらに利便性のある衛星データプラットフォームとして発展していくことが周知され、積極的なビジネス活用への期待が感じられるオープンディスカッションとなりました。

まとめ

今回のオープンディスカッションでは、輸送・交通に衛星データを活かすため、事例を参考に具体的な解決策が話し合われました。人手不足が進む中、老朽化するインフラをいかに効率よく低コストでメンテナンスするか、様々なデータを組み合わせてMaaSなどの新規ビジネスをどう進めていくかなどが、輸送・交通における衛星データ活用のポイントになりそうです。

次回、第2回『Tellus Open Discussion』~行政・自治体 篇~ は10/17(木)に開催。各都道府県や政令指定都市の防災・危機管理担当、都市開発従事者の方を対象に、行政・自治体における衛星データの活用についてオープンディスカッションが開催されます。

行政・自治体が抱えている課題を浮き彫りにし、災害の予防や、予防によってどのような変化が起きたのか、また街づくりの指針として、どのように衛星データが活用できるか、白熱したディスカッションが展開される予定です。みなさまのご参加を心よりお待ちしております。

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