ドラゴン補給船が輸送に成功。注目の積載物は【週刊宇宙ビジネスニュース 12/2〜12/8】
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ドラゴン補給船、2600kgのバラエティに富んだペイロードを輸送
今月8日、SpaceXのファルコン9によって打ち上げられた補給船「ドラゴン」がISSとのドッキングに成功しました。このドラゴン補給船は、2014年9月と2017年6月に打ち上げたものを再使用していて、今回で3度目の使用となりました。
特筆すべきなのは、そのペイロードの内訳です。宇宙飛行士たちの生活用品やNASAの実験装置のほか、民間企業による実験装置も含まれています。
「宇宙ビール」と話題になっているのは、日本でも親しまれている「バドワイザー」の生産および販売を行う米国のアンハイザー・ブッシュ社の実験装置です。微小重力環境がビールの原料となる麦芽を大麦からつくるプロセスにどのような影響を及ぼすのか検証することが目的とされています。同社は2017年に「火星初のビールを作る」と目標を掲げ、研究開発を進めています。
さらに日本からは、経済産業省が開発した宇宙実証用ハイパースペクトルセンサ「HISUI(ヒスイ)」(Hyperspectral Imager SUIte)が積載されました。HISUIは、185にも及ぶ波長帯をそれぞれ観測し、国内のエネルギー・資源の安定供給のため、石油などの資源の遠隔探査を主な目的として開発されました。
また、3日のNASAの記者会見でISS運用統合マネージャーのケニー・トッド氏は、積載物にISSに滞在している宇宙飛行士たちへのクリスマスプレゼントが含まれているか尋ねられると「積載物には普段から良いものが含まれています」と話したうえで、「動作確認済みだと思いますよ」と遊び心を交えて回答しました。
NASAとSpaceXが締結している商用補給サービス契約(Commercial Resupply Services 通称 CRS契約)は2020年秋に更新され、ドラゴン補給船の積載量はさらに増加する予定です。今後は、民間企業によるISS利用や宇宙飛行士たちのクオリティオブライフ向上に関する製品の輸送に注目が集まっていくのではないでしょうか。
SpaceBD、H-ⅡA / H-3の相乗り枠利用権を持つ唯一の民間事業者に
今月4日、宇宙商社®️として知られるSpaceBDは、JAXAよりH-ⅡA およびH-3ロケット相乗りによる超小型衛星打ち上げ機会の提供事業者として選定され、基本協定を締結したことを発表しました。大型ロケットの利活用により、月周回・月以遠への衛星打ち上げも可能になります。
同社は今年10月に、大型ロケット相乗りおよび小型ロケット利用にまで事業拡大を図ることを目的として、3.8億円の資金調達を行いました。
参考
Astronauts Capture Dragon Filled With Brand New Science
SpaceX Dragon Heads to Space Station with NASA Science, Cargo
Falcon 9 launches Dragon cargo spacecraft to ISS
SpaceX to Launch Beer Experiment, 'Mighty Mice' and More for NASA Today. How to Watch
宇宙実証用ハイパースペクトルセンサ(HISUI(ヒスイ))が打ち上げられました
Space BD、JAXAより我が国基幹ロケットH-IIA/H3を用いた相乗り超小型衛星打上げ機会の提供事業における民間唯一のサービス事業者に選定
宇宙商社Space BD、3.8億円の資金調達 宇宙開発事業の要、超小型衛星打上げサービスのシェアで、日本発(初)の世界トップグループ入りを目指し体制強化へ