宙畑 Sorabatake

衛星データ

人工衛星に写ってみる!誰でも1時間あればできる衛星が来る時間の調べ方と写り方実践(前編)

気象衛星ひまわりなどの活躍により、人工衛星が地球の写真を撮っているということはみなさんご存知かと思いますが、人工衛星が撮影する画像に狙って写る方法があるということをご存知ですか? 今回は誰でもできる人工衛星への写り方を伝授します! ぜひみなさんのお仲間とご自分の街でチャレンジしてみてください!

気象衛星ひまわりなどの活躍により、人工衛星が地球の写真を撮っているということはみなさんご存知かと思いますが、人工衛星が撮影する画像に狙って写る方法があるということをご存知ですか?

今回は誰でもできる人工衛星への写り方を伝授します! ぜひみなさんのお仲間とご自分の街でチャレンジしてみてください!

(1) 誰でも写れる衛星はいくつかある(衛星紹介)

まずは、誰でも写ることができる衛星を紹介します。

ここでいう「写ることができる」とは、
①衛星がいつどこを撮影する予定かが公開されている
②人そのものは見えずとも、人が何かをしたら見える程度の解像度を有している
③撮影された画像が無料で公開されている
という3つが揃っている、ということを前提としています。

地球観測衛星には大きく分けて「広域観測を目的にした衛星」と「詳細観測を目的にした衛星」の2種類があります。

上図で示すように、人が写ることを目的にした場合には詳細観測を行う衛星の方が適していますが、こちらの衛星は、いつどこを撮影するのかは決まっておらず、注文を受けて撮影するスタイルになっています。

非常に大きなお金を払えば、ピンポイントに撮影日を指定することもできなくてはないですが、今回の趣旨に反します。
ピンポイントで指定したとしても曇りの日の場合は雲で真っ白な写真となってしまう可能性も……

一方の広域観測衛星は、解像度は低いですが撮影計画が公開されており画像が無料で公開されます。今回は、こちらの広域観測衛星でなんとか頑張って大きなものを広げて衛星に写ることを試みることにします。

広域観測衛星の代表格は、アメリカのLandsat-8という衛星と、ヨーロッパのSentinel-2という衛星です。

Landsat-8画像例。建物のおおよその形が分かる。

Landsat-8衛星はモノクロの画像の解像度が15m、カラー画像の解像度が30mで、16日に1回、地球上の陸地(一部除く)を撮影しています。

Sentinel-2画像例。飛行機の形までかろうじて分かる。

Sentinel-2衛星はモノクロの解像度が10m、カラー画像の解像度が20mで、衛星が2機体制で5日に1回、地球上の陸地(一部を除く)を撮影しています。

今回はLandsat-8と比較して解像度が良く、観測頻度の高いSentinel-2衛星に写る方法をご紹介します。

(2) どのようにすれば衛星画像に映るか

先ほどご紹介した通り、今回ターゲットにする衛星Sentinel-2はモノクロの画像の解像度が10m、カラー画像の解像度が20mです。

つまり、建物や飛行機、船などが写るレベルで、人の形が分かるほど細かく写るわけではありません。

したがって、衛星に写るためには何か大きなものを広げる必要があります。

10m×10mのブルーシートを4枚つなげて20m×20mにすれば、カラー画像でやっと1ピクセルになります。

また、10mで1ピクセルしかないため周囲とのコントラストが大切になります。ごちゃごちゃした街中よりも、大きな原っぱがある公園や砂浜などに行ってブルーシート程度の大きさのものを拡げて写る方がいいでしょう。

もしくは、衛星が人の目で見える範囲(可視領域といいます。)だけでなく、赤外線の領域でも撮影していることを利用して、写りこむという手もあります。

例えば、キャンプファイヤーなど温度の高いものであれば、直径数m程度で解像度に達していなくても写る可能性があります。

難しいことは割愛しますが、これは火の持つエネルギーが大きいので、火が写っているピクセルの値が周囲のピクセルよりも十分大きくなって、見分けがつくようになるためです。

(3) 衛星が頭上を通過する時刻を調べる

さて、ざっくりと何をすれば、どのように衛星データに写ることができるのか分かったところで、いよいよ衛星がいつどこに来るのかを調べてみることにしましょう。

用いるツールは、STK(System Tool Kit)というソフトウェアです。実際の衛星開発の現場でも使われています。無料でも基本的な機能は使用することができます。

ダウンロードはこちらから。

Credit : Analytical Graphics, Inc

STKを起動すると、初期画面が表示されるので、[Create a Scenario]をクリック。

Credit : Analytical Graphics, Inc

シナリオの名前と期間を適切にチェックして[OK]ボタンを押下すると、画面がセットアップされます。期間は解析を行いたい期間(写りたい期間)にしておくと良いでしょう。

Credit : Analytical Graphics, Inc

シナリオに入れ込む対象を聞かれます。今回は、場所と衛星を入れ込みます。まずは場所を選択、右側に出てくるいずれかの方法で場所を指定します。

例えば、STKに入っているデータベースを使う場合、[From City DataBase]を選択肢し[Insert]を押下すると、以下の画面が出てきます。

Credit : Analytical Graphics, Inc

場所を指定して[Search]ボタンを押すと、候補地が右側のウィンドウに出てきます。今回は「Tokyo」を選択して[Insert]を押します。

これで、街が設定されました。続いて、衛星を設定します。

Credit : Analytical Graphics, Inc

先ほどの同じ画面から[Satellite]>[From Standard Object Database]で[Insert]を押します。

Credit : Analytical Graphics, Inc

Nameの欄に衛星名、今回の場合は[Sentinel-2]を入力し、[Search]を押すと、該当する衛星が右に出てきます。

先に説明した通り、Sentinel-2は2機の衛星からなるため、両方を選択して[Insert]を押します。

Credit : Analytical Graphics, Inc
Credit : Analytical Graphics, Inc

さらに、衛星に撮影用のカメラを付け加えます。
[Sensor]>[Insert Default]

Credit : Analytical Graphics, Inc

どの衛星に紐づけるか聞かれるので、衛星を選択します。これを2回繰り返し、2機ともにカメラをつけます。

これで全ての対象を入れ終わったので[close]で対象挿入ウィンドウを消します。

Credit : Analytical Graphics, Inc

これがSTKの基本画面です。左側に先ほど作成した対象が入っています。
右側では3Dと2Dで衛星の軌道が表現されています。

Credit : Analytical Graphics, Inc

軌道は青い線で表現され、軌道上にある丸点が衛星です。衛星からコーン状に広がるのが、センサの視野になります。

※今回の解析にはあまり関係がないですが、画面上部にある三角の再生ボタンを押すと、衛星が地球を観測する様子をアニメーションで見ることができます。

センサの視野について、衛星の光学センサの視野はコーン状ではなく四角錐であることが多いです。今回の場合はSentinel-2という衛星のセンサの視野で、調べると以下のような記述がありました。

The 12 detectors on each focal plane are mounted in a staggered formation (Figure 4) to cover the whole 20.6o instrument field of view, resulting in a compound swath width of 290 km on the ground track. As illustrated in the figure below, due to the staggered positioning of the detectors on the focal planes, a parallax angle between the two alternating odd and even clusters of detectors is induced in the measurements, resulting in a shift along track of approximately 46 km (maximum) inter-detector.

Sentinel-2 MultiSpectral Instrument (MSI) Overview

ということで、衛星進行方向と直交する方向に20.6°だということが分かります。絵で描くと上図の様なイメージです。衛星進行方向についての角度の記述がないですが、地表面上で46kmだとすると、比率で考えて3.3°程度というところでしょうか。

Credit : Analytical Graphics, Inc

これをセンサのプロパティから入力します。

Credit : Analytical Graphics, Inc

デフォルトで[Simple Conic]になっているSensor typeを[Rectangular]へ変更し、それぞれ角度を入力します。ココでの値はHalf Angle(半頂角)となっているので、先ほど計算した値の半分にしておくことに注意です。

Credit : Analytical Graphics, Inc

センサの視野角が四角になったことが確認できました。

それではようやくここから衛星の視野と、観測場所のアクセス解析を行います。

Credit : Analytical Graphics, Inc

場所を選択した状態で右クリックから[Access]を選択します。

Credit : Analytical Graphics, Inc

ここで、確認したいセンサと期間をセットし、Reportの[Access]をクリックします。
少し時間が掛かって以下の画面が表示されます。

これが、観測地点を衛星が通過する時刻です。

Start TimeとStopTimeがあるのは、進行方向にも視野の広がりがあるためで、観測が開始される(衛星の視野に入る)タイミングと終了する(衛星の視野から出る)タイミングという意味です。

今回は厳密には計算していないので、念のためそれぞれ前に5分と後ろに5分ほど幅を持って写ることをおすすめします。

昼間でなければ撮影できないので、この中でも日本時間で昼間になる以下の3日が観測のタイミングとなります。

Tokyo-To-Sensor1
—————-
Access Start Time (UTCG) Stop Time (UTCG) Duration (sec)
—— ———————— ———————— ————–
2 4 Dec 2019 01:37:15.862 4 Dec 2019 01:37:22.465 6.603
5 14 Dec 2019 01:37:13.116 14 Dec 2019 01:37:19.723 6.607
8 24 Dec 2019 01:37:09.826 24 Dec 2019 01:37:16.437 6.611

10日毎に衛星が来ることが分かります。同様にもう一つの方のセンサも観てみると、

Tokyo-To-Sensor2
—————-
Access Start Time (UTCG) Stop Time (UTCG) Duration (sec)
—— ———————— ———————— ————–
2 9 Dec 2019 01:37:09.919 9 Dec 2019 01:37:16.525 6.605
5 19 Dec 2019 01:37:06.205 19 Dec 2019 01:37:12.814 6.610
8 29 Dec 2019 01:37:01.819 29 Dec 2019 01:37:08.433 6.613

この3日で一つ目のセンサと合わせると5日おきに来ていることが確認できました。

(4) 解析結果の確認

衛星が通るタイミングは前章で分かりましたが、そのタイミングで撮影をしているとは限りません。

Sentinel-2衛星は、公式サイトが観測予定を公開しています。

Sentinel-2/Acquisition Plans
https://sentinel.esa.int/web/sentinel/missions/sentinel-2/acquisition-plans

KMLファイルと呼ばれる、地図系のファイル形式で公開されているので、ダウンロードしgoogle mapなどで読み込むことで撮影が本当に行われるか確認ができます。(Tellusでは残念ながらまだKMLファイルには対応していません。)

Credit : google

衛星がくまなく地球を観測している様子が確認できます。
観測地点が含まれる領域をクリックすると詳細が表示されます。

解析結果通り、確かに12月4日に観測が予定されている様です。

また、同様の情報が携帯アプリ「Copernicus Sentinel」でも確認できます。

▼Google Play
https://play.google.com/store/apps/details?id=esa.sentinel&hl=ja

▼App Store
https://apps.apple.com/jp/app/copernicus-sentinel/id1036738151

このアプリは、携帯電話の位置情報を有効にしておくと、衛星が近づいたタイミングで通知をくれるので、実際外に出て写ってみる前にインストールしておくと大変便利です。

(5) 前編まとめ

本記事では、写ることができる衛星と写り方、衛星が来る時間の調べ方について紹介しました。

後編では実際に衛星に写りに行きたいと思います!
一緒に写ってくれる方募集中です!