宙畑 Sorabatake

特集

宇宙ビジネス成功のカギとは? 「宇宙ビジネス事業の鳥瞰」イベントレポート

2019 年12 月 4 日日本橋のX-NIHONBASHIイノベーションハブにて、Tokyo Moonshot ChallengeラーニングセミナーのDAY1「宇宙ビジネス事業の鳥瞰」が開催されました。

2019 年12 月 4 日日本橋のX-NIHONBASHIイノベーションハブにて、Tokyo Moonshot ChallengeラーニングセミナーのDAY1「宇宙ビジネス事業の鳥瞰」が開催されました。

シスコシステムズ合同会社が仕掛ける新しい都市体験を提供するサービスの創出を目的としたプログラム 「Tokyo Moonshot Challenge」とは? 宇宙ビジネスや衛星データはその中でどのような立ち位置なのか?など、DAY1で語られた内容をまとめ、本記事でご紹介します。

(1) Tokyo Moon Shot Challengeとは

Tokyo Moon Shot Challenge」とは新しい都市体験を提供するサービスの創出を目的としたプログラム です。

シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)と慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(以下、慶應SDM)が共同で開催し、宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)が後援として加わります。

参加者は以下の5つのステップを通して、新しい都市体験を提供するサービスを創出します。

特徴的なのは、2019年11月から2020年4月まで数カ月以上ものインプット期間が設けられ、「2020 年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた安心・安全な都市を実現するサービスや、暮らしを支える最先端のデジタルサービスなど、大会後も見据えた新しい都市体験を提供するサービス」のデザインに参加者がチャレンジするということ。

人工衛星データ、地理空間情報、IoT、5G などの宇宙規模のIoT(以下、宇宙IoT)の活用も視野に入れた先端技術を活用したサービス創出が期待されています。

最優秀アイデアには100万円、優秀アイデアには50万円が各1組ずつ賞金として授与され、副賞はなんと、オリンピックの観戦チケット。

今回開催されたのは、2つ目のステップ「ラーニングセミナーDAY1:宇宙ビジネス事業の鳥瞰」です。

セミナーではまず、シスコのイノベーションセンターのセンター長である今井 俊宏 氏からTokyo Moon Shot Challengeの説明がありました。

続いて、ゲストスピーカーとして一般社団法人SPACETIDEの代表理事/CEO、石田真康さんとさくらインターネット株式会社の牟田が宇宙ビジネスの全体像に関する講演を行い、後半では慶應義塾大学の神武直彦教授をモデレータに、スピーカーの2人とパネルディスカッションを行いました。

まずはそれぞれのパートで何が語られたかを簡単にご紹介します。

(2) セミナー講演概要

宇宙ビジネスの新潮流/石田 真康 氏(A.T. カーニー株式会社)

アポロ計画による月面着陸から50周年を迎える2019年、当時と比較して宇宙という分野が官から民へ、宇宙ビジネスとして一般の人が関われる時代になってきたという潮流が紹介されました。

特に世界では2019年、宇宙ベンチャーの様々なビジョンが形になり始めた一年だったということで、その一例として小型ロケットベンチャーのRocket Labが商用打ち上げを継続して行った例などが挙げられました。

日本では政府が宇宙ビジネスの成長に極めて積極的であることと、多種多様な産業、プレーヤーが宇宙ビジネスに興味を持ち始めていることが特徴として紹介され、日本の宇宙ビジネスの今後の可能性が感じられました。

※当日の模様は以下ページの「宇宙ビジネスの新潮流」からご覧いただけます
https://www.cisco.com/c/m/ja_jp/training-events/events-webinars/2019-moonshotchallenge-day1.html

宇宙ビジネス情報サイト宙畑が考える宇宙サービスの現状と未来/牟田梓(さくらインターネット株式会社)

続いて、さくらインターネットでTellusのビジネス企画を行いつつ、宙畑で企画も担当する牟田から、宙畑視点での宇宙サービスの現状と未来について紹介。

宙畑で7,000ダウンロードを超える宇宙業界マップを軸に、それぞれのプレーヤーの役割とトレンドを紹介しました。

その中でも、宙畑としては自身が公式メディアを務めるTellusをはじめとする衛星データビジネスに注目しており、講演の最後には簡単にTellusの紹介もさせていただきました。

※当日の模様は以下ページの「宇宙ビジネス情報サイト宙畑が考える宇宙サービスの現状と未来」からご覧いただけます
https://www.cisco.com/c/m/ja_jp/training-events/events-webinars/2019-moonshotchallenge-day1.html

(3) パネルディスカッション

続いて、慶應義塾大学の神武直彦教授をモデレータに、スピーカーの2人とパネルディスカッションを行いました。

自動車業界と宇宙業界で起きていることは似ている!?

元々自動車業界のコンサルをされていた石田さん。石田さん曰く、自動車業界で起きている変化と宇宙業界で起きていることはそっくりなんだとか。

近年の自動車業界は、自動運転やMaaSなどデジタル技術によって変革がもたらされようとしています。新しく入ってくるプレーヤーはGoogle、Amazon、facebookといったIT業界を牽引し続ける、元々自動車業界とは関係の無いプレーヤーです。

今、宇宙業界も同じことが起きています。これに対して、石田さんはGoogleやAmazonが宇宙ビジネスに入ってくることになんの違和感もなく、むしろ、外の業界の人の方が意外と宇宙業界を今動かしているドライビングフォースが見えやすいという利点を挙げられていました。

日本列島に閉じて考えていては宇宙ビジネスは成功しない

会場から「宇宙ビジネスにおける日本のプレーヤーの強みと弱みについて」問われた石田さん。

最近の宇宙ビジネスベンチャーは従業員の半分が海外の方であるなど、日本のプレイヤーという定義がそもそも難しく、あまりみんな気にしていないのではないか、と前置きした上で、日本の強みとして中小企業のモノづくりの力が強いことを挙げられました。

一方で、弱みとして、物事を日本列島の中で考える人が多すぎる点を指摘。衛星データ利用を考える際、日本列島に閉じて考えていては、日本は地上にIoTのセンサをたくさん置いているので、衛星データの良さを発揮できないとの回答がありました。

神武先生から、そういう意味では、マーケットとして今後広がっていくアジアを考えるのが良く、日本はアジアに物理的に近いことが強みになるといった見解も飛び出すパネルディスカッションでした。

※当日の模様は以下ページの「パネルディスカッション・全体討議」からご覧いただけます
https://www.cisco.com/c/m/ja_jp/training-events/events-webinars/2019-moonshotchallenge-day1.html

(4) 宙畑が考えるTokyo Moon Shot Challengeのポイント

冒頭でご紹介した通り、今回はTokyo Moon Shot Challengeと呼ばれるサービス創出プログラムのステップ2ラーニングセミナーのDAY1です。

まだDAY1の内容のみではありますが、語られた内容をもとに、本プログラムで評価されるアイデアとはどのようなものなのでしょうか。宙畑として考えてみました。

まず、本プログラムの審査基準を確認すると、以下の5項目が挙げられています。

● 課題設定の妥当性
● アイデアの独自性
● 宇宙 IoT の有効活用性
● ビジネスとしての可能性
● 提案者のモチベーション

今回のセミナーで言及されたのは「宇宙IoTの有効活用性」の項目です。

石田さんがパネルディスカッション中で指摘されている通り、日本は既に地上にIoTセンサが多く設置されており、改めて衛星で取得したい情報がそう多くはないのが現状です。

そう考えると、神武先生が仰られていた「アジア」というキーワードは、IoTセンサが地上に十分にない地域へのサービスは一つ大きなヒントになるかもしれません。

日本はそれに対して、地上の様子もIoTデータで把握できるので、衛星データを扱う上で教師データを持っている国とも考えることができます。

また、地上のIoTが苦手とする分野・性質を考えることもヒントになるのではないでしょうか。

衛星データ、IoTデータそれぞれの強み・弱みについては以下の記事で紹介していますのでぜひご覧ください。

(5) まとめ

Tokyo Moon Shot ChallengeラーニングセミナーDAY1では「宇宙ビジネスの事業の鳥瞰」と題して、宇宙ビジネスの現状と将来についてインプットが行われました。

DAY1のセミナー全体を通して感じたのは「広い視野で考える」ということ。

日本列島だけで考えていては、なかなか衛星データビジネスは広がりを持たず、衛星データビジネスも、衛星データだけで考えていてはできることに限界があります。
広い視野をもって、その他データとの組み合わせを柔軟に考え、また、その考え方自体が特定の都市だけに限らず他の地域、国でも応用できるものであることがこれからの都市デザインのアイデアとして求められている。
そのためにも、今どのような技術が存在しているのかを学べたのが今回取り上げたDAY1、実際に今どのようなアイデアが世に出ているのかがDAY2、最後にどのようなアイデアが求められているのかを知ることができるDAY3……と、基礎をしっかりとインプットできる場があることはとても重要だと感じました。

しっかりとインプット期間がも設けられたうえで、審査と表彰が行われるのが2020年4月18日(土)、どのような素敵なアイデアが飛び出すのかとても楽しみですね。

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