衛星から桜は見える! 衛星画像を使った桜の探し方
衛星データから桜の開花状況を検出できるのか? 宙畑編集部でチャレンジしてみました!
先月末、「衛星から花見会場を探せる!? 開花情報をリアルタイム取得の未来」と題して、文系出身の宙畑編集部員が、衛星画像を使ってお花見会場探しにチャレンジしました。
結果としては、残念ながらうまく探すことはできませんでした!というものだったのですが、それを見ていた理系出身の宙畑編集部員が「もう少しいじれば、見えるのでは?」と思い、今年の桜画像でチャレンジしてみた結果をご報告します!
本記事は衛星を利用して何かできないか探る連載「宇宙データ使ってみた-Space Data Utilization-」の第1弾です。
衛星画像は、赤青緑だけじゃない!
まず、最初に思ったのは、「普通の写真だと、さくらが白っぽくて分かりにくいのでは」ということです。普段、私たちは赤青緑の3つの色の組み合わせで、カラー写真を見ています。いわゆる、”光の三原色”というやつです。
しかし、衛星には、この三原色だけではない色が見えるセンサが搭載されているケースがあります。例えば、ヨーロッパの衛星Sentinel-2では、12色(波長)が見えるセンサになっているのです(表参照)。
なぜこんなにたくさんの色(波長)が見えるようにしているかというと、それぞれの色毎に見えるものが違うからです。表の「観測項目」に示す通り、それぞれの色(波長)で見たいものが意図されています。
今回、桜がどの色でよく見えるのか分からないので、ひとまず解像度の良いSentinel-2のB3、B4、B8という色(波長)の画像を使ってみることにします。
画像は、以下の産総研Landbrowserというサイトから、無料で色ごとにダウンロードできます。
また、解析にはQGISという無料ソフトを用いました。
実際にダウンロードしてみた、2018年3月29日の代々木公園付近の画像が以下の通り。
ご覧のとおり、同じ場所を同じ時刻に撮った写真でも、波長の違いで様子が違うことが分かります。この時点では、画像は白黒です。
赤い丸で囲った部分が、宙畑が3月25日にお花見をしていたあたり、つまり、桜が咲いていた場所、ということになります。B3、B4で明るく見えることが分かりました。特に、B4で顕著に見えています。
そこで今度は、疑似的にこの3枚の写真に赤青緑を割り付け、カラー画像のようにしてみます。B4が最も顕著だったのでB4に目立つように赤を、B3に緑を、B8に青を割り振ってみることにします。ちなみに、B8はNIRと呼ばれる波長で、植物の様子(植生)がよく分かると言われています。
ご覧のとおり、B4で明るく見えていた部分が赤く見えるため、より強く桜の場所を確認することができました。ちなみに、左下で赤く見えているのは競技場のグラウンドの赤です。
園内は植物が多いため、全体としては青っぽく見えていますね。
桜が咲いていない時と咲いている時の差を見てみる
これだけだと本当に桜なのか、もともとこういう風に見えているのかよく分からないため、2018年3月14日のSentinel-2の画像も見てみることにします。同様の処理をしたものがこちら。
明らかに、赤い丸の中ののピンク色が減っていることが分かります。
どうやら本当に桜のようです。
念のため、代々木公園の園内マップで桜の場所を確かめてみます。
およそ良い相関を示していると言えそうです。
他の名所も探してみる
代々木の桜が確認できたところで、他の名所も確認してみます。
新宿御苑
赤い丸で囲った部分が特に変化大きいことが分かります。新宿御苑の園内マップで見てみると、”桜園地”とあり、桜がよく咲いている箇所があるようです。
写真の次の日の新宿御苑の公式サイトで、桜が良く咲いていることが報告されています。
桜のみどころ情報【3月30日号】
井の頭公園
池のほとりの桜の様子が見てとれます。
インターネット上で、2018年3月29日の井の頭公園の写真を検索してみると、
東京吉祥寺・井の頭公園の桜満開など、
確かに満開であったことが確認できます。
結論!衛星画像で桜は見える
以上より、Sentinel-2というヨーロッパの衛星画像を用いて、桜が見えることが分かりました。今後も季節のものが衛星から見えないか探していきたいと思います。
実際に衛星画像を触ってみたくなった方は、以下の記事をチェック!