衛星データを利用して理想の移住先探しはできるのか!?理想高めなOLの日本全国移住先探しの旅【後編】
衛星データを利用して、自分が理想とする条件に当てはまった土地、家に住むことはできるのかを検証しました。
2022年8月31日以降、Tellus OSでのデータの閲覧方法など使い方が一部変更になっております。新しいTellus OSの基本操作は以下のリンクをご参照ください。
https://www.tellusxdp.com/ja/howtouse/tellus_os/start_tellus_os.html
みなさまこんにちは!宙畑編集部の城戸です。
前回、勤めている会社が原則リモートワーク勤務になったことをきっかけに、全国好きなところを旅しながら暮らす「多拠点移住暮らし」を始めようと決意。お友達の玉置さんに協力を仰いで、衛星データを使って移住先を探してみました!
そして決まった移住先は、長野県駒ヶ根市。
駒ヶ根市といえば、東に南アルプス(赤石山脈)、西に中央アルプス(木曾山脈)という山々を見渡すことができる風光明媚で自然を満喫できるスポットですよね!これは私が希望する条件にもマッチしていて期待できそう!
後編である今回は、衛星データを使って見つけた理想の場所「長野県駒ヶ根市」に実際に住んでみましたので、そのレポートをお届けします!
まだ前編をご覧になっていない方は、ぜひこちらをご覧ください。
衛星データを利用して理想の家探しはできるのか!?理想高めなOLの日本全国移住先探しの旅【前編】
※本記事は2020年7月〜9月における城戸彩乃の長野県駒ヶ根滞在をレポートしたものです。
1. 移住先の条件をおさらい
それでは実際のレポートの前に、私が希望する移住先の条件をおさらいしてみましょう!
前回の記事で、私の希望する移住先は以下の3つの条件を満たす場所というお話をしていました。
条件 | 解釈 | 使うデータ | データの一覧性 |
いい感じに涼しい場所が良い | 最高気温30℃以下、最低気温20℃程度 | MODIS地表面温度 | 高 |
空が綺麗 | 光害が少ない 夜間が暗い |
World-view 夜間光 | 高 |
災害リスクが少ない | ハザードが起きにくい | ハザードマップポータル | 低 |
この条件をもとにMODIS地表面温度、World-view夜間光、ハザードマップポータルをTellus OS上に重ねて、駒ヶ根市のマンスリー住宅を選んだわけです。
早速マンスリーに問い合わせをしてみたところ、空いている!ということで7月から入居することが爆速で決まりました!
新天地への挑戦に不安も少しありますが、玉置さんにもご協力いただき衛星データを使って見つけた理想の住まい候補……とても楽しみでもあります!
2. 駒ヶ根に実際に行ってみて
さて、いよいよもって引っ越し!
到着した駒ヶ根は、まずなにより空気が美味しいし、新居の前には畑が広がり、両側も壮大な日本アルプスに囲まれた爽やかな場所でした!
これはもうほぼ「あたり」なんじゃないかしら……? とはいえ、1日みただけではまだわかりません。
これから2か月は住むのだから、洗い出した私が理想とする条件にほんとうにマッチしているかもう少し探ってみようと思います。
条件①いい感じに涼しい場所
青天の日には、日光を遮るものが少なく太陽が燦々と輝いていました。日差しが強く、日向にいると汗がだくだく……ただし、日陰にはいると爽やかな風が吹いていて、涼しく過ごすことができました。
都心では、日陰も日向もむしむししていて、風も熱風となりどこにいても汗が吹き出してくる……という感じだったので、条件①「いい感じに涼しい場所」は達成◎!
条件②空が綺麗
駒ヶ根自体も光害が少なかったですし、近くには星空が有名な阿智村もあり、初めて星空の写真撮影に挑戦することができました。
都心ではなかなか見ることができない美しい星空に心も洗われるようでした。
ということで、条件②の「空が綺麗」ももちろん達成◎!
条件③災害リスクが少ない
最後の条件③「災害リスクが少ない」。確かに、いい感じに涼しく、空が綺麗で、災害リスクの少ない場所を選択することができましたが、しかし……しかし……到着してからはまさかの雨。
来る日も来る日も雨……。雨……。
なんと、到着してから1ヶ月ほとんどが雨…!!
2ヶ月滞在のうち1ヶ月が丸っと雨に見舞われて、目と鼻の先にキャンプ場があるのに、雨ばかり〜!長野県は47都道府県で最も降水量が少ない土地なのにど~して!?
晴れる日もたま〜〜〜にはあるものの、1ヶ月のうち80%が雨天だったといっても過言ではありませんでした。九州から北上した大雨が信州でも影響を及ぼし、長雨による土砂災害や河川氾濫の危険が高まり、毎日警戒警報が唸っていました。
とはいえ、私が住んでいた地域は、ハザードマップで土砂災害警戒区域からも、河川氾濫の警戒区域からも離れた場所だったので、バケツをひっくり返したような大雨に見舞われたものの、幸い避難する事態にはならず、家の中でじっと雨が過ぎるのを待っていました。
なので条件③「災害リスクが少ない」も達成〇!
そんなわけで、事前の読み通り、私が理想とする条件3つは達成!成果のあった長野県駒ヶ根市滞在となったのでした。
……いや、落ち着こう。理想の移住先探しへの挑戦をたった一度やっただけで終わるわけにはいきませんよね。
自分の夢を叶えるため、素敵で理想な街で暮らすため、次の移住先を探していきたいと思います!
3. リベンジ!移住先の条件を考え直す
ということで、長野での生活は、検証できたものの、雨が多くてちょっとだけ残念な結果になってしまいました。気を取り直して、次の行き先を探します。今回も玉置さんにご協力いただこうと思います。玉置さん再びよろしくお願いいたします!
よろしくお願いいたします。
爽やかな夏キャンプのできる場所が多いイメージで、北海道に一度行ってみたいと思うんですよね〜。
10月末にはかなり冷え込むので、北海道に行くのであれば9月〜10月半ばくらいに行っておくのが良さそうですね。じゃないと来年になってしまう(笑)
たしかにそうですね!MODIS地表面温度とWorld-view夜間光を重ねてみると、北海道のどこが良さそうだろう……。
MODISのデータを見ると、富良野や名寄など、内陸部から寒くなってくるようだね。札幌から函館の間あたりに住むのが、初心者には良さそう。
たしかに。10月半ばでも内陸部は10℃以下とキャンプ初心者にはなかなかハードな寒さだね……。内陸部は寒さに耐えられるか自信がないので、いい感じの家のあった小樽市に住むことにします!
展開が早い。
4. そして北海道へ
大変です。北海道でも、毎日雨が降っています……。
北海道は「遅れた梅雨」とか言われて、本州の梅雨とは違い8~9月とか結構雨多いみたいですね……。
なんと…!!私としたことが、2度も同じ過ちを繰り返してしまった…。せっかくお試しで移住しているのになんだかなあ……。もちろん晴れた日に出かけると楽しいし、長く住めば雨もあるだろうけど、せっかく衛星データを使っているのにあんまりです……。
条件を少し見直してみましょうか。城戸さんが「いい感じに涼しい場所が良い」と言っているのは、アウトドアライフを楽しみたいという希望が根底にあるので、快適にアウトドアができるつまり、「雨が少ない」ということを解釈に追加したほうが良いですね。
なるほど!条件の解釈が少し甘かったんですね。追加してみます。
条件 | 解釈 | 使うデータ | データの一覧性 |
いい感じに涼しい場所が良い | 最高気温30℃以下、最低気温20℃程度 雨が少ない |
MODIS地表面温度 | 高 |
空が綺麗 | 光害が少ない 夜間が暗い |
World-view 夜間光 | 高 |
災害リスクが少ない | ハザードが起きにくい | ハザードマップポータル | 低 |
気象庁の降水量データで、長野と北海道をざっくり見てみると良いかもしれません。過去の気象庁のデータは公式サイトから検索できます。
住んでいたところに近い北海道の石狩地方は、過去3年分を見てみると7月〜8月または8月〜9月に年間降水量のピークが立っているなあ。ということは、9月〜10月に滞在するのはここ3年くらいのデータを見る限りは良かったってことなのかも。今年は少し、降水量のピークが遅れてしまっているみたいだね。
長野県の方は、駒ヶ根市に近い伊那のデータで見ると、年間降水量の最も多い10月に次いで7月が2位だ。長野から北海道に行った順番は、もしかしたら悪くなかったかもしれないけれど、2ヶ月滞在するなら、春先がよかったのかもしれないね。
そうですね。こんなふうに条件を設定して分析して、現地に行って結果を確認し、また条件設定に戻っていくと、条件の精度が高くなってきて、城戸さんが理想とする年間多拠点移住プランが出来上がるのではないでしょうか。
玉置さんありがとうございます!もっとたくさんの条件を洗い出して、色んなデータのことを知って、紐付けてみたいと思います!
5. 移住を終えて(まとめ)
衛星データを使って理想の移住先として、長野県駒ヶ根市に住んでみました。結論としては、当初の条件として提示していた①いい感じに涼しい場所 ②空が綺麗 ③災害リスクが少ないという3点において駒ヶ根市は満点に近い場所でした。
今回の反省点は、条件の洗い出しがざっくりすぎたことです。自分が移住先で求めるライフスタイルをきっちりと定めていれば、アウトドアな暮らしをするためには雨が少ない場所がよいといった条件も洗い出せていたことでしょう。
また、「①いい感じに涼しい場所」の地表面温度や「雨が少ない場所」の降雨量など、過去のデータを参照した条件に関しては、過去1〜3年程度しかデータを参照していなかったために、精度が高くならなかった可能性があります。外れ値などの影響も鑑みて、もっと大量の過去データを参照していくのも、一つの手かと思いました。
いやあ、移住先探しは、奥深い。難しい。おもしろい!
私の全国移住の旅はまだまだ続きます。衛星データや地上の様々なデータをもっとたくさん組み合わせて、自分の理想のライフスタイルが達成できる街を探していきたいと思います。