ALEが産学連携プロジェクト「AETHER」を発表。NTT・理研・国立天文台と連携して民間気象衛星の開発へ【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/9/27〜10/3】
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ALEが産学連携プロジェクト「AETHER」を発表。NTT・理研・国立天文台と連携して民間気象衛星の開発
人工流れ星事業に取り組む株式会社ALEが、民間気象衛星で防災・減災に挑む新たなプロジェクト”AETHER”における共同研究および実験契約を発表しました。
AETHERは、各社が以下のように開発を担当して共に気象衛星開発に取り組む、産学連携プロジェクトです。
◆株式会社ALE
ハードウェア全体の総括と衛星運用、新気象事業に繋げるBiz Dev(ビジネス開発)。
◆日本電信電話株式会社(以下NTT)の先端集積デバイス研究所および大学共同利用機関法人自然科学研究機構国立天文台
NTTの高周波デバイス技術と国立天文台の観測機器技術を持ち寄り、小型マイクロ波サウンダーのコア研究開発。
◆国立研究開発法人理化学研究所(以下理研)の計算科学研究センター
大型計算機システムを用いた気象学の知見を活用し、気象予報のソフトウェア開発。
AETHERで開発予定の3辺が10cm規模の超小型衛星には、マイクロ波サウンダーを搭載される予定です。取得した大気データを基に気象予報の精度向上を図り、ALEによる独自の気象予報サービスの提供や、幅広い分野の企業活動への気象活用支援など、災害多発国である日本から世界中に今の地球環境に適した気象情報の提供を目指すとのことです。
宙畑メモ:マイクロ波サウンダ―
可視光や赤外線より波長の長いマイクロ波帯域の電波を検知し、対象物から放射される電磁波を観測する受動型センサーに該当します。サウンダ―とは、鉛直分布の測定を主目的とするセンサーの名称であり、気象予報においては気温や水蒸気のように鉛直分布の測定が重要になります。
また、1衛星あたりの開発費が数億円、プロジェクト規模で数十億円と既存の気象衛星開発の約1/100のコストで運用することを目標にしています。
AETHERの詳細は、こちらの記者会見動画で紹介されています。
記者会見では、2023年頃までに地上での技術実証を行い、2025年頃に実際に気象衛星を打ち上げ軌道上での技術実証を実施。その後10~20機による気象衛星コンステレーション網を構築し事業に活用していくスケジュールが発表されました。
人工流れ星事業に取り組む宇宙エンタメ企業のイメージが強いALEですが、2011年の創業当初から掲げるミッションは「科学と社会をつなぐ」です。産学連携プロジェクトとして気象衛星開発に挑むAETHERに引き続き注目です。
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参考記事
宇宙スタートアップ企業ALEが、NTT、理研、国立天文台と 産学連携プロジェクトAETHER(アイテール)を発足 ~民間気象衛星の宇宙実証を目指す日本初のプロジェクト~