宇宙で銛を打つ実験が実施される【週刊宇宙ビジネスニュース 2/11~2/17】
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民間による有人宇宙飛行に向けての活動が活発になるにつれて、徐々に話題にあがる頻度があがっているようにも思えるデブリ問題。
その数も年々増えてきており、デブリ回収に向けた動きも出始めています。
国内の民間企業としてはアストロスケールと川崎重工が、国外だとSSTLが実際に回収に向けて動き始めています。
SSTLは昨年にRemoveDEBRIS satelliteと呼ばれる、デブリ回収の実証実験を行う衛星を打ち上げました。
すでに2つの実証実験を成功させており、つい先日に3つ目の実験も成功させました。
1つ目は投網を衛星から放出することで、衛星回収を試みる方法。宇宙空間では作用反作用が地上に比べて大きな影響として出てくることから、物体を放出しようとすると、衛星自体に力が作用してしまいます。そのため、ターゲットに向けて狙いを定めて物体を放出するのは非常に難しく、物体を捉えることができたのは、非常に大きな成功でした。
次の実験は、LiDARとカラーカメラによる目的物の撮像でした。デブリ回収のためには、物体の状態を正確に認識することが必要となります。
デブリがどのような形状をしており、どのような動き(回転)をしているのか、把握できないままに回収することはできません。そのため、物体の状況を正確に捉える技術も、デブリ回収には必須なのです。
そして今回成功させたのが、対象物に向けて銛(モリ)を打つ、というミッション。回収対象が小さいデブリの場合は投網でも回収できますが、例えばロケットのエンジンなど、大きな物体となると、投網で回収するのも一苦労です。
そのため、大きな対象物の際に有効となることを想定して検討されたのがこの銛で回収する方式なのだと推測されます。こちらの実験も見事に成功しており、SNS上ではお祝いの声が多くあがっていました。
地上の環境問題ですら、解決することが難しい中で、私たちが日常目にすることがない、かつ解決に莫大な費用がかかる宇宙の環境問題の解決というのは、非常に難しい課題だと思われます。
しかしながら、今後の有人宇宙飛行を見据えると、デブリが軌道上に多く周回している今の状況は非常に危険であり、何かしらデブリ回収のためのエコシステムを構築することが重要となります。
また、回収に失敗した際にどのような対応をするのかという法整備や、誰が誰にお金を払うのか、という観点なども整備していくことが必要となります。
デブリ回収の技術実証が成果を見せ始めている中で、次は各国どのように協力しながら、持続的にデブリの回収を実際にしていくか、世界各国みんなで考えていくことが必要となります。