宙畑 Sorabatake

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【九州で宇宙ビジネスが盛り上がっている3つのポイント】 8月22日の宇宙ビジネスイベントを要チェック!

8月22日に北九州市で開催予定の「九州宇宙ビジネスキャラバン2024」について、イベントの概要と九州で宇宙ビジネスが盛り上がっているポイントを3つ紹介しています。

2024年8月22日、福岡県北九州市にて「九州宇宙ビジネスキャラバン2024」が開催されます。

本イベントは2023年12月に東証グロース市場に上場したQPS研究所ほか、ワールドインテック、㈱西日本新聞社、九州工業大学、北九州市、福岡県宇宙ビジネス研究会、経済産業省九州経済産業局、九州航空宇宙開発推進協議会という産学官すべてのプレイヤーが実行委員として名を連ねています。

本記事では、イベントの概要と宙畑が注目するポイントを3つ、また、イベント前後で行われる再度イベントについて紹介しています。九州にお住まいの方、また、九州における宇宙ビジネスの盛り上がりが気になっているという方はぜひご参加ください!

(1)豪華登壇者が集い、多角的に宇宙ビジネスの今が分かる!

宇宙ビジネスと聞くと、ロケットをイメージする方が多いのではないでしょうか? ちなみに筆者の私は熊本出身なのですが、大学入学とともに東京に住み始め、JAXAの特別公開を訪れるまで宇宙=星というイメージしかありませんでした。

実は、宇宙ビジネスのうちロケットの市場規模は5%もありません。ロケットが多くの人工衛星を宇宙に運び、それらの人工衛星によって提供され、私たちの生活がより便利になっていることに関わるサービスの市場規模が約70%を占めています。

例を挙げると、以下のようなものがあります。
・地図アプリやカーナビの位置情報
・飛行機内で利用できるWi-Fiや災害によって通信設備が無くなってしまっても視聴できる衛星テレビ
・天気予報

上記の3つはほんの一例ですが、これらがなくなると困ると思う方は少なくないでしょう。

8月22日開催の「九州宇宙ビジネスキャラバン2024」では、多角的に宇宙イベントの今を知ることができるセッションが並んでいます。

例えば、キーノートではインターステラテクノロジズのファウンダーである堀江貴文さんが「宇宙ビジネスの展望とスタートアップへの期待(仮)」をテーマに宇宙ビジネスの最新事情をお話いただくことが期待されます。

「衛星データのビジネス利用アイディア」のセッションでは天気予報に代表されるような地球を観測するデータを活用した新しいビジネスの広がりについてお話があるでしょう。衛星データは農業や漁業といった一次産業のほか、災害時の被害状況把握や金融機関や保険会社によるリスク把握などにも活用されています。

衛星やロケットそのものを開発するといった”ものづくり”に興味がある企業に勤めるにとっては「宇宙機器開発・製造への参入に必要なこと」は注目のセッションです。

また、宇宙産業におけるキャリアの話を聞きたい、宇宙産業に参入したい、転職したいという方には「宇宙ビジネスに携わる人材の確保」のセッションもおすすめです。

そして、キーノートの2人目は九州大学出身の元JAXA宇宙飛行士で、現在は商用の宇宙ステーション開発や、NASAとの契約で宇宙飛行士が月面での活動時に着用する宇宙服を開発するAxiom Spaceで宇宙飛行士兼アジア太平洋地域CTOとして働く若田光一さんです。若田さんは「民間主導・地球低軌道ビジネスの現在地と展望(仮)」というテーマでのスピーチを行うこととなっており、人類が宇宙に進出する新しい時代の到来を感じていただけるでしょう。

(2)九州における宇宙ビジネスの盛り上がりが分かる3つのポイント

上記の通り、豪華な登壇者が並ぶ九州宇宙ビジネスキャラバンですが、九州における宇宙ビジネスと言えば何を思い浮かべる方が多いでしょうか?

近年、九州において宇宙ビジネスは大きく盛り上がっています。そのポイントを産学官の3つに分けてそれぞれ紹介します。

1.産業:QPS研究所が上場! 社名の由来は九州にあり

ひとつめは、冒頭でも紹介していたQPS研究所の上場です。QPS研究所は九州大学発ベンチャーとして小型のSAR衛星開発を行っており、2023年12月に上場。その後も防衛省から宇宙領域の活用に必要な共通キー技術の先行実証に向けた衛星の試作と打上げに関して合計で72億500万円を受注しているほか、内閣府の「令和6年度 小型SAR衛星コンステレーションの利用拡大に向けた実証」でも約15億円の受注が決まっています。

SAR衛星は雲が出ていても地上の状態が分かることから、安全保障に加えて、大雨時の浸水状況や地震発生時の建屋への被害状況を迅速に把握できる特徴があります。

QPS研究所は今後も小型SAR衛星の開発と打上げを行い、36機のコンステレーション構築を目指しています。

ちなみに、QPS研究所の社名にあるQPSとは「Q-shu Pioneers of Space」の頭文字をとったもの。サイトHPにも明記されているビジョンは「九州から日本を宇宙イノベーションの創生地にする。衛星を通じて、人々を不安から解放し、日々の暮らしを支える。」となっており、九州への強い思いがうかがえます。

2.大学等:九州工業大学は小型・超小型衛星の運用数が7年連続世界一!

宇宙開発を学べる大学は世界各国に存在する中で、実は九州工業大学は世界的な宇宙産業の調査を行う「BryceTech」発行のレポート「Smallsats by the Numbers 2024」で運用する小型・超小型衛星の数において、大学・学術機関の中で世界1位となっています。これは2018年から7年連続の1位となります。産業だけでなく、学術・教育という観点でも力を入れていると言えるでしょう。

ちなみに、2位以下のランキングは以下の通りです。

■ 学術機関の小型衛星数(2014年-2023年)
1位:九州工業大学(日本) 22
2位:ベルリン工科大学(ドイツ) 17
3位:サウスウェスタン大学(アメリカ) 14、マサチューセッツ工科大学(MIT)(アメリカ) 14
4位:コロラド大学 (アメリカ) 10、ボストン大学 (アメリカ) 10、南洋理工大学(シンガポール)10

3.官公庁:九州4県+山口県は宇宙ビジネス創出推進自治体!

産業、学校に加えて、官公庁、つまり、地方自治体という観点でも九州は宇宙ビジネスに力を入れてます。

その現れと言えるのが九州4県(福岡、大分、鹿児島、佐賀)と隣接する山口県が「宇宙ビジネス創出推進自治体」に選ばれているということ。宇宙ビジネス創出推進自治体とは、内閣府と経済産業省によって創設された「S-NET事業」にて、地域における自律的な宇宙ビジネス創出を加速させるため、衛星データ等を活用した宇宙ビジネス創出を主体的・積極的に推進する自治体として選ばれた自治体です。

また、宇宙ビジネス創出推進自治体ではない熊本県でもブルーカーボンのポテンシャル調査や、野生のイルカが生息する生物多様性にに関する調査で衛星データを活用する取り組みが行われているほか、宮崎県や長崎県でも森林の把握に衛星データを活用するといった取り組みが行われており、宇宙技術の利用が進んでいます。

以上、九州で宇宙ビジネスが盛り上がっている例として産学官に分けて3つのポイントを紹介しました。ここで紹介した内容以外にも、鹿児島県には種子島と内之浦という2つのロケット射場がある他、大分県が宇宙港の開発を進めていることなど、九州が日本における宇宙の玄関口としてさらに機能するだろう未来など、注目すべきポイントは他にも多くあります。ぜひその盛り上がりを会場で感じていただければと思います。

(3)衛星データ利活用セミナーに宇宙∞会議、2つのサイドイベントにも注目!

また、「九州宇宙ビジネスキャラバン2024」では、8月21日に「福岡県×Tellus 衛星データ利活用セミナー」、8月23日に「第5回 宇宙∞会議」と、2つのサイドイベントがあります。

いずれのサイドイベントもこれから宇宙ビジネスに参入したい!という個人の方、企業にとって良い気付きを得られるイベントとなっています。

以下、簡単にそれぞれのイベントについて紹介します。

8月21日開催:衛星データ利活用セミナー

8月21日開催の衛星データ利活用セミナーは、衛星データプラットフォームTellusを運営する(株)Tellusと福岡県宇宙ビジネス研究会の共催イベント。

プログラムの前半では、衛星データの基礎を学んだ後、実際にTellusを利用した衛星データの解析方法をハンズオンで学び、後半では、衛星データを使った将来のサービスを考えるワークショップを行い、衛星データビジネスに参入を検討する参加者を後押しする内容となっています。

定員は25名の先着順となっており、気になる方は早めの予約を!

■申込はこちらから
https://www.robot-system.jp/support/3523

8月23日開催:宇宙∞会議

8月23日開催の宇宙∞会議は、2023年4月に上場したispace社の最初のベンチャーキャピタルとして投資を行ったインクルージョン・ジャパン(以下、ICJ)が運営するイベントです。

HPによると、ispaceを始めとした事業開発や事業成長を成し遂げてきたスタートアップからの知見を集め、新たに宇宙開発にチャレンジするスタートアップに対してノウハウとして提供。また、宇宙開発スタートアップの顧客になりえる、まだ宇宙開発に本格的な投資を行う前の大企業を巻き込み、宇宙開発スタートアップへの発注、事業開発が活発化し、スタートアップ側が事業拡大・事業成長を行いやすい環境づくりを目指して開催されています。

そのうえで、第5回のテーマは「宇宙×自分たちのビジネス」となっています。『宇宙兄弟』(小山宙哉)初代編集者である株式会社コルクの佐渡島社長による『宇宙兄弟』が国民的人気漫画になるまでの作品秘話や、どのようにして宇宙をエンターテインメントとして広げていったのかについてお話があるほか、JAXA有人宇宙技術部門にてISS(国際宇宙ステーション)「きぼう」日本実験棟の利用を推進する内川技術領域主幹による「きぼう」利活用に関する現状と最新の自動実験システム(GEMPAK)構築に関するご紹介があるそうです。

いずれもとても面白そうなお話が聞けそうですね。本イベントの定員は約80名で、事前登録必須、応募多数の場合抽選となっています。こちらも早めの予約がおすすめです!

■申込はこちらから
https://space8meetup.com/

■イベント概要

・日時:2024年8月22日(木)10:30-18:10
※開場:10:00~
・場所:北九州国際会議場(福岡県北九州市小倉北区浅野)
・人数:200名~300名(先着順)
・参加費:無料
・参加登録はこちらから
-現地参加:https://qsbc2024.peatix.com/
-オンライン参加:https://qsbc2024-online01.peatix.com/