宙畑 Sorabatake

宇宙ビジネス

「海外のルール適用で日本は不利に?」大成建設が取り組むネイチャーポジティブ実例とその評価手法の必要性

近年、企業の環境への取り組みにおいて注目される概念「ネイチャーポジティブ」について、評価手法を開発する九州大学の馬奈木教授と具体事例を多く保有する大成建設さまに、ネイチャーポジティブの重要性と実践方法をうかがいました。

近年、企業の環境への取り組みにおいて「ネイチャーポジティブ」という概念が注目を集めています。これは単に自然環境への悪影響を最小限に抑えるだけでなく、積極的に生物多様性を向上させ、自然資本を増やすことを目指す考え方です。本記事では、ネイチャーポジティブに関する九州大学の馬奈木教授と大成建設とが進める先進的な取り組みについてのインタビューを通じて、ネイチャーポジティブの重要性と実践方法を探ります。

また、ネイチャーポジティブの評価手法だけではなく、大成建設による環境に配慮した取り組みは建材の技術開発まで多岐にわたります。
本記事が、環境問題への企業の取り組みがここまで進歩し、そしてこれからの未来を持続可能なものにするために重要なのかということを知る参考となれましたら幸いです。

■今回、お話をうかがったみなさま
・九州大学大学院工学研究院 主幹教授 馬奈木 俊介さま
・大成建設 クリーンエネルギー・環境事業推進本部 自然共生技術部 自然共生推進室 室長 鈴木 菜々子さま
・大成建設 クリーンエネルギー・環境事業推進本部 ZEB・スマートコミュニティ部 ZEB推進室 室長 吉田 典彦さま
・大成建設 クリーンエネルギー・環境事業推進本部 資源循環技術部 環境再生・資源循環室 専任部長 守屋 雅之さま

(1).ネイチャーポジティブはビジネスチャンス!? その注目の背景

宙畑:なぜ今、ネイチャーポジティブが注目されているのでしょうか?

鈴木ネイチャーポジティブという潮流が急速に経済界に入ってきており、カーボンニュートラルと並ぶ国際目標になってきました。2022年12月のCOP15で世界的に合意され、日本でも生物多様性国家戦略や30by30アライアンスへの登録が開始されました。

宙畑メモ:30by30
2030年までに、 陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標のこと。

鈴木:また、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)による情報開示枠組みが公開され、企業は生物多様性情報を公開していく必要が出てきています。こうした流れに加えて、環境省、農林水産省、経済産業省、国土交通省の連名でネイチャーポジティブ経済移行戦略が発表され、企業としてもネイチャーポジティブに対応していく意識が高まっています。

宙畑メモ:TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)
企業や金融機関が自然環境に関連するリスクと機会を評価し、開示するための枠組みを開発・推進する国際的なイニシアチブのこと。

馬奈木:「昔はコストが増えるからやらない」という考えもありましたが、近年では「取り組みたいけど取り組み方が分からない」という流れに変わっています。

経営者レベルでも、自然が資本となるものだと考えられるようになっており、企業から成功事例を作って、業界標準にする動きがここ1、2年で出てきています。まだネイチャーポジティブに取り組んでいない他社も、うちの会社でもその路線に進めるぞ、というように業界全体がポジティブな方向に向かっているのが面白いところです。

宙畑:ネイチャーポジティブへの取り組みの意義や経緯について教えてください。

馬奈木:私はサステナビリティの計測といった研究をしながら、国連に向けた報告書の作成も行っています。10年ほど自然資本やネイチャーポジティブについてのメッセージを出し続け、G7主要国会合などでその言葉が認知されるようになりました。自然資本を増加させることが、ネイチャーポジティブになります。

背景には、カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすること)への理解の広がり、そして、カーボンニュートラルを実現するうえで、カーボンクレジットを売買する市場を使う必要があることの理解の広がりがあります。

同様に、企業の取り組みとして自然資本クレジットを継続して作ることも重要です。つまり、カーボンクレジットは、企業や自治体の収益源でもありコストにもなり得るのです。

そのためにも、ネイチャーポジティブは非常に重要であり、まだ国際的な標準がない中で日本から事例を作って海外に波及させたいと考えています。

宙畑:カーボンニュートラルやグリーンの分野では海外によるルールメイキングが進んでいますが、ネイチャーポジティブに関しては日本が事例を積み上げていける領域だと考えられますか?

馬奈木:その通りです。実は、京都議定書のころは日本の環境技術は世界一でしたが、今は世界に遅れをとってしまっている状況だと考えています。

ネイチャーポジティブについては、自然資本(生態系保全)とカーボンの2つの側面があり、まだ市場が出来ていない自然資本クレジットの分野では日本にチャンスがあると考えています。興味深いことに、自然資本クレジットは通常のカーボンクレジットよりも値段が5倍くらい高いんです。日本には多様な自然がたくさんあるので、国内で良い事例を作るには適した環境があります。

さらに、日本にはセンサー技術など、いろんな基礎技術を持つ中小企業がたくさんあります。これらの技術を活用して事例を作っていけば、売上を増やせる可能性があるのです。

(2)「評価があることで進歩する」評価手法がある重要性

宙畑:評価手法を確立することはどのような意義があるのでしょうか?

馬奈木:特に重要なのは、網羅性と汎用性です。さまざまなことに対して最低限は評価できるツールが必要であり、汎用的なツールを作ることで、別のプロジェクトや他の改善テーマにも役立ちます。

評価をするというのを子供の教育に例えると、テストを受けて70点取ったとします。大事なのは、残りの30点をどう伸ばすかを学ぶことです。採点の結果から間違ったところが分かり、それを改善することで次に同じ問題をやったら80点取れるかもしれません。これを繰り返すことで、100点に近づいていくわけです。

一方、評価しない社会は、問題を解くけど採点しません。そうすると、答えがわからないから永遠に点数は変わらないんです。これでは意味がありません。評価があることで進歩し、どうやったら点数が上がるかを標準化して理解することができるのです。

(3)大成建設が実践する先進的なネイチャーポジティブ事例

宙畑:では、評価手法についてうかがう前に、大成建設におけるネイチャーポジティブへの向き合い方を教えていただけますか?

鈴木:建設業は社会基盤の整備を通じて社会と経済を豊かにしていく業態です。そのため、社会や経済にとって良いことをしてきたという自負はあるのですが、その一方で自然資本を重視してこなかった過去があるとも思っています。

これからの建設業は、社会と経済に加えて自然資本も豊かにしていかなければと考えています。社会や経済は環境の上に成り立っています。環境が成り立たなくなると、社会も経済も成り立ちません。そこで私たちは、環境をよくしながら社会基盤を作っていくというシナジーを生み出すことを目指しています。

当社のグループ理念は「人がいきいきとする環境を創造する」となっており、自然との調和の中で建設事業を中核とした企業活動を通じて良質な社会資本形成に取り組んでいくということを目指しています。

宙畑:まさにネイチャーポジティブの考え方ですね。具体的にどのようなプロジェクトがあったのでしょうか?

鈴木:いくつか代表的な事例をご紹介します。

例えば、2024年4月に発表した山梨県小菅村と取り組む事例です。小菅村には多摩川の源流があり、東京に住む人が普通の生活を送れているのは、この源流が守られているからこそです。そこで、何か新規の開発する際に私たちは小菅村にある人工林の木材を積極的に使うと同時に、伐採後にもう一度スギやヒノキを植えるのではなく、グリーンインフラとしての機能が高い自然の姿の森に戻す取り組みを行っています。

Credit : 大成建設

鈴木:都市部の開発に木材を活用することで、CO2を都市部に貯留し、同時に木材を供給している中山間地域の森を再生することが可能となります。また、そこに自然の森ができることは、水源涵養機能や生物多様性保全機能、気候調整機能といった良い生態系を築くことができる複合的なメリットもあります。

また、「富士山南陵工業団地」プロジェクトでは、自然と共生する工業団地として10年以上にわたって森づくり活動を行っています。自然環境の保全と再生というハード面、人と自然を結びつけるソフト面の両面を融合させた取り組みです。

ハード面では樹林化を行っています。特徴的なのは、わざと樹木間の競争を促すように、木を1本1本植えるのではなく数本まとめて植えていること。そのようにすることで自然界のような生存競争が起こり、自然に近い森を創出できるのです。

ソフト面では、(通常ゼネコンは工業団地を創って終わりである場合が多いなか)竣工後、10年以上も工業団地の企業と一緒に森づくり活動をやっています。この工業団地に入居する企業は、入居時に森づくりのための基金も同時に支払っていただくため、単独でCSR活動を行うのが難しいという企業であっても、自動的に森づくり活動への参画企業となり、CSR報告書に記載できるというメリットもあります。

さらに、地域の方々やNPOも参加して、森づくりをやっています。特に人気のイベントはヒメボタルの鑑賞会です。企業と地域の人が一緒になって地域の魅力を再発見した事例となっています。

宙畑:大手町の森と同様に、自然に近い形の森づくりをされているのですね。

鈴木:最後に、「札幌ドーム」プロジェクトは長い時間をかけてすでに成果が出ている事例です。もともと畑だった場所にドームを建設するにあたり、ドームを作る前より自然を多様にしようと考えました。敷地内に森や池などの様々な環境を作り、22年間モニタリングを続けています。その結果、鳥類が1.5倍、蝶が3.7倍、トンボが5.6倍に増加したことが確認されています。

(4)「今後はサプライチェーンまでも評価の対象に」ネイチャーポジティブ評価の今とこれから

宙畑:あらゆるプロジェクトで、生物種の増加などがしっかりモニタリング出来ているのですね。それらの評価はどのように行っているのでしょうか?

鈴木:まず行っているのは「エコロジカルプランニング」です。これは、土地の特徴を調べるためにスケールの視点と、人や水、緑などの切り口で分析し、プランを作成する手法です。このプランニングは、プロジェクトの最初に行います。

Credit : 大成建設

鈴木:また、生物多様性コンシェルジュという評価ツールも開発しています。これには「いきものコンシェルジュ」「森コンシェルジュ」「水辺コンシェルジュ」があります。例えば住所を入力するだけで、計画地を訪れることが予想される鳥やトンボ、チョウの種類が分かったり、その土地の気候風土にあった緑地の構成種が分かります。

宙畑:すでにそのようなツールを自社で保有されているのですね。

鈴木:その上で、現在九州大学の馬奈木教授と協力して新しく開発を進めているのが、ネイチャーポジティブ評価手法です。この手法では、建設事業の事前事後の土地の状態から、自然資本の変化を評価します。さらに建設地に直接及ぼす影響の評価だけでなく、建設材料のサプライチェーン全体での自然資本への影響も評価します。これによって評価ツールを使うお客様に建設事業全体を通したネイチャーポジティブな選択の支援が出来ると考えています。

Credit : 大成建設

宙畑:新しい評価手法が生まれることは、大成建設、そして大成建設の顧客にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。想定される具体的な利用シーンがあれば教えてください。

鈴木:例えば、イングランドではすでにネットゲイン(生物多様性が差し引きで増加)しなければ開発許可が出ないということが行われ始めています。イングランドだと、大手町の森のように「①現場で再生させる手法」、山梨県小菅村の自然を守っているというように「②別の場所で再生する手法」、そして「③クレジットを買ってオフセットする」という3つのパターンでネットゲインの実現がなされています。

もし、この流れが日本でも主流となった場合、大成建設、そしてお客様にとってはどうしたらその開発がより良い評価を得られるのかを把握することが非常に重要であり、逆にどの程度環境にネガティブなのかを把握する必要があります。また、どうすればその評価が変化するのかを正しく評価できることも非常に重要です。

宙畑:日本が評価手法で一歩先に抜きんでるという重要性も理解しつつ、海外で開発される評価手法に準ずるというのは難しいのでしょうか?

鈴木:日本の自然は、海外の自然環境と違います。最も大きな違いは海外では開発や資源の使いすぎなどでオーバーユースが問題になっているという一方で、日本は里山の利用が減ったり、雑木林を放置したりとアンダーユースが問題になっています。そのため、日本の生物多様性が海外の指標で計られてしまうと、日本にいる私たちは非常に不利な状態にあるのです。

宙畑:日本と海外の状況が違う中で海外のルールが適用されてしまうというのは非常に問題ですね。

(5)ネイチャーポジティブ評価における衛星データの活用

宙畑:馬奈木先生が開発するネイチャーポジティブ評価において、衛星データが活用されていると拝見しました。実際にどのように活用されているのでしょうか?

馬奈木:ネイチャーポジティブ評価では、オンサイト評価とオフサイト評価の二つの側面から評価を行っています。特に、開発が行われている現地を評価するオンサイト評価において衛星データを活用しています。

衛星データを使うことで、土地がどのように使われているか、そして事前と事後でどのように変化したかを把握することができます。これは非常に重要な情報です。ある場所の土地利用が変わったとき、その変化が自然資本としての価値にどう影響するかを見ることができます。衛星データの良さは、継続的にトラッキングできることです。

宙畑:衛星データで見る対象は主にどのようなものでしょうか?

馬奈木:主に大規模プロジェクトを対象としています。例えば、都市計画の中で自然資本がどれだけ増えたかを見ることができます。大手建設会社が手がけるような大規模プロジェクトであれば、基本的には問題なく評価できます。特に、地域の都市計画まで変えるようなプロジェクトであれば、より評価の意義が高くなります。

一方で、他と切り離された単発の小さな工場や建設案件などだと、他への波及効果も少ないので、優先順位は下がります。そのため、最初の事例としては、比較的大きめの、他への波及効果があるものを見ながら進めていくことが重要だと考えています。

宙畑:オフサイト評価についても教えていただけますか?

馬奈木:オフサイト評価は主にサプライチェーンに関する評価です。その評価ツールとして株式会社aiESGの開発した仕組みを使っています。これは、日本中、世界中の地域のデータを、産業がどう取引しているかというデータから始まって、経済活動だけでなく、CO2や生態系、大気汚染、ジェンダー、地域経済貢献などを計算できるAIの仕組みです。

例えば、ある会社がジーンズを作ったときの、調達サプライチェーン全体での評価ができます。ジーンズを作るための材料を輸入した場合、長時間労働や人権問題などのリスクが数値で出るなど、様々な側面から評価が可能です。

これがオフサイト評価であり、CO2や生態系、人権問題などサプライチェーン全体での評価となります。この評価を応用して企業のネイチャーポジティブ評価に活用してもらいます。

(6)技術開発が進む大成建設の環境に配慮した建築技術

宙畑:大成建設では、街づくりとその評価だけでなく、建材についても環境に配慮した建築技術開発を進められていると拝見しました。

吉田:省エネや創エネに加えてウェルネスやスマートも組み込まれた、グリーン・リニューアルZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)に取り組んでいます。

例えば、横浜支店ビルや関西支店ビルのリニューアル工事では、ビルで消費するエネルギーを減らす工夫として、断熱性を高めたり、照明をLED化したり、空調設備を高効率なものに更新したりしました。さらに、外壁一体型・窓一体型太陽光発電システムを導入して創エネを行っています。

ウェルネスの視点では中で働く人の快適性をあげるために照明制御と空調制御を出来るセンサーを取り入れています。竣工後のエネルギー消費量の分析では、設計値よりも良い値が出ており、技術を取り入れた成果が出ていることが確認されました。

守屋:大成建設では環境に配慮したコンクリート「T-eConcrete®」を開発しています。通常コンクリートを作る際はCO2はコンクリートの元となるセメントを作る過程で発生するのですが、コンクリートは建設業の主要部材の1つなので、コンクリートを作る際に何とかCO2を減らせないかと考えたのがきっかけです。

そこで、セメントの量を減らして別の素材を使用することで、コンクリートの生産時に発生する二酸化炭素を大きく減少させることに成功しました。

Credit : 大成建設 Source : https://www.taisei.co.jp/portal/tech/commentary/02.html

守屋:また、このうちT-eConcrete®/Carbon-Recycleは、CO2をカルシウムに吸収させて製造する炭酸カルシウム(CaCO3)などのカーボンリサイクル製品と、製鋼時に発生する産業副産物である高炉スラグを用いて製造するコンクリートです。当社技術センターの現場打ち舗装コンクリートでは、コンクリートを1m3作る際に吸収したCO2量は171kg/m3、排出したCO2量は55kg/m3でした。つまりCO2排出量の収支がマイナス116kg/m3となっており、カーボンネガティブを達成しています。

開発にあたっては、通常のコンクリートと同じような性状とするための炭酸カルシウム(CaCO3)の品質と最適添加量の探求には非常に苦労しました。このコンクリートで脱炭素社会に貢献していきたいと考えています。

Credit : 大成建設 Source : https://www.taisei.co.jp/portal/tech/commentary/02.html

宙畑:考え方はとてもシンプルですが、カーボンネガティブを実現できる興味深い技術ですね。

(7)ネイチャーポジティブの実現に必要な「やる気のレベル」はどこまで?

宙畑:ネイチャーポジティブやその他技術開発の実現に向けて、専門家や研究機関との連携はどのように進めるべきでしょうか?

馬奈木:連携を成功させる上で最も重要なのは、「やる気」です。というのは、担当者だけにやる気があっても上の人がやる気がなかったら議論だけで終わってしまいます。担当者が上の人を説得できる「やる気」があるかが大事です。私は担当者が上の人へ話を通せる「やる気」があるかを見ています。

例えば、専門家が企業と話すだけで終わっては大事な時間の浪費です。これは失敗例で、企業としても専門家としてもプロジェクトをやり切れる人と出会う必要があります。

他にも、企業の興味と専門家の興味は往々にしてずれることがあります。例えば、専門家や科学者は論文を書きたい、新しいことをしたいと考えます。

一方、企業は「今年度中に終わりたい」「2年以内に終わらないといけない」といったスピード感を求めます。そこを調整する「やる気」が互いに必要ですし、理想設定と時間設定を合意するのも大事ですね。私の場合、難しい目標であっても、関連するデータやアプローチを考えられるので、必要に応じて何でもやりますし、締め切りは相手に合わせます。最後に継続性が大事です。開発は終わりますが、いまの生成AIと同様に新しい方法論とデータを常に付加価値で追加できるので、継続して進めていくことが大事です。

宙畑:その点、大成建設のみなさまの動きは様々なプロジェクトが着実に動き、そしてモニタリングもできていることから、今後のさらなるアップデートにも大きく期待できるものだと感じました。引き続き今後のネイチャーポジティブに関する取り組みに注目しています。