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ダイモンの小型月面探査車も搭載の米Intuitive Machinesの月着陸船、月面で横転。ミッションは早期終了【宇宙ビジネスニュース】

【2025年3月14日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。

アメリカのIntuitive Machinesが打ち上げた月着陸船「Nova-C」(愛称Athena)が3月7日に月の南極地域への着陸を果たしました。

Athenaが3月7日に撮影した画像 Credit : Intuitive Machines

横転して着陸。運用時間は当初の計画よりも短縮

Intuitive Machinesは2024年2月に月着陸船の着陸に挑み、民間としては初となる月面着陸を成功させました。同社による月着陸船の打ち上げは今回が2回目となります。

業月面輸送サービス(CLPS)で委託を受け、月の地下を探査して氷が存在する可能性のある場所を分析する装置やフィンランドのNokiaと共同で開発した世界初の月面移動通信ネットワークの実証実験装置などのペイロードを月面に輸送しました。

Athenaは月面着陸には成功したものの、機体は横転していることがわかりました。そのため、地上との通信は確立しましたが、太陽電池による発電が十分に行えずに、着陸から約13時間後に運用が終了し、計画通りの実証が実施できないペイロードもありました。

なお、2024年2月に実施した1回目の月面着陸においても、月着陸船は横倒しになっていました。こうした状況を受け、同社の株価は下落しています。

ダイモンが開発した小型の月面探査車「YAOKI」も搭載

Athenaには日本のベンチャー・ダイモンが開発した小型の月面探査車「YAOKI」も搭載されていました。

YAOKIのミッションは、月着陸船から分離し、遠隔操作で月面を走行しながら撮影したデータを地球に送信することでした。Athenaの着陸姿勢が予定通りではないことから、YAOKIは着陸後約5日後に計画していたミッションを、着陸直後に実行する計画変更の指示を受けたといいます。電力供給の制限や、温度の低温化など、時間が経つほど環境が悪化する状況下にあったにもかかわらず、月面での写真撮影・データ送信に成功しました。

YAOKIに搭載されたカメラで撮影した画像 Credit : ダイモン

また、着陸船から月面に解放されるに至らずも、YAOKIが月面で予定していた所定の動作が正常に作動することが確認されたということです。

ダイモンの代表取締役・中島 紳一郎さんは、「YAOKIは月のクレーターの中で倒れた状態でも元気に機能し、『七転びYAOKI』を文字通り実現できたことを誇りに思います」と述べています。

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参考

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Liftoff! NASA Tech, Science En Route to Moon with Intuitive Machines

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