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「人工流れ星」開発のALE、小惑星探査へ本格参入。プラネタリーディフェンスや資源探査に貢献へ【宇宙ビジネスニュース】

【2025年4月21日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。

人工流れ星の開発などを手がけるALEは4月9日、「流れ星の放出技術」を応用し、小惑星探査分野へ本格参入することを発表しました。

同社は、アメリカの宇宙探査企業ExLabs社との間で、近地球小惑星「アポフィス」を対象とする探査ミッション「ApophisExL」において、小惑星の表面に小さな衝突を複数回起こす「低エネルギーマルチインパクト実験装置」を提供する契約を締結したということです。

Apophisイメージ図 Credit : NASA

「ApophisExL」はExLabs社が主導する国際的なプロジェクトで、2029年4月に地球へ約32000㎞まで接近するアポフィスに探査機を接近させ、その表面および内部構造の変化を科学的に観測します。

ALEはこのミッションにおいて、小型人工物体による「低エネルギーマルチインパクト実験」を実施し、アポフィスのレゴリスの結合度や岩石の強度、宇宙風化の影響などを評価し、将来のプラネタリーディフェンス(防災) や宇宙資源探査に向けた基礎データの取得に貢献したい考えです。

小惑星の構造がどのようになっているかを把握することは、どれくらいの速度でどれくらいの質量のものをぶつけたらどのように軌道が変わるのかを予測する精度に関わるため、非常に重要です。なお、低エネルギーマルチインパクト実験装置による衝突のエネルギーは小惑星探査機「はやぶさ2」が試料採取時に発射した弾丸のエネルギーの半分以下で、アポフィスの軌道を変化させるようなものではないといいます。

また、ALEは「低エネルギーマルチインパクト実験」の実現可能性を検証するため、東京大学大学院理学系研究科 橘省吾研究室と共同研究契約を締結したことを発表しました。

同社は「ALEの人工流れ星技術は、これまで主にエンターテインメント用途として展開されてきましたが、今回初めて宇宙科学探査の分野に本格的に応用されることとなります。」と説明しています。

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参考

ALE、惑星探査へ新たな一歩。〜人工流れ星の技術を、小惑星「アポフィス」探査に活用〜

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