宙畑 Sorabatake

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Maxar Intelligence、デジタル変革と市場開拓のプロを商業利用部門の要職に任命【宇宙ビジネスニュース】

2025年5月29日、商用で最高レベルの光学衛星画像を提供するMaxar Intelligenceは、Enterprise事業部門におけるシニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーにトッド・サーディ氏を任命すると発表。サーディ氏の経歴について簡潔にまとめました。

2025年5月29日、アメリカに本社を構え、商用で最高レベルの光学衛星画像を提供するMaxar Intelligenceは、Enterprise事業部門におけるシニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーにトッド・サーディ氏を任命すると発表しました。

テクノロジー分野の先導者としての軌跡

サーディ氏は、Google、SAP、Salesforce、Zoomなどのテクノロジー業界の主要企業で実績を積み重ねている人物です。

サーディ氏のキャリアにおいて注目すべきキャリアのひとつは、VMwareでの5年以上にわたる経験です。VMWareは、2023年11月に、アメリカの通信機器大手Broadcomにより買収された会社であり、仮想化技術 (1台のコンピュータで複数のOSやアプリケーションを同時動作させる技術) において有名なブランドです。

VMWareでは、Emerging Products組織やハイブリッドクラウドビジネス向けのBusiness Venturesチームなど、複数の革新的な事業部門の立ち上げを主導し、VMwareのハイブリッドクラウドサービスを世界中の新市場に導入することに成功しています。特筆すべきは、VMwareの世界的パートナーエコシステムのCo-Channel Chiefとして、同社の年間収益の85%以上を牽引し、世界中の70,000を超える独立系パートナー企業のチャネル戦略を統括したという実績です。

また、サイバーセキュリティ企業のPalo Alto Networksでは、営業チームの市場参入方法を抜本的に変革し、エンタープライズビジネスを年間30%以上成長させている実績を持ちます。

さらに、SAP時代の同僚からは「確固たるビジネスセンスと倫理観の絶妙な組み合わせ」を持つ人物として信頼を得ていました。

直近では、2022年7月から2023年10月にZoomにhead of global channel and business developmentとして入社し、現在もベンチャーキャピタルであるBessemer Venturesのポートフォリオ企業に対するOperating Advisorとして活動しています。

上述のキャリアをまとめると、サーディ氏の専門性は「高成長営業組織の構築」、「パートナーエコシステムの専門的知識」、「新事業・新市場開発のリーダーシップ」の3つに集約され、これからは発展は期待されるが、まだまだ売り方や市場の開拓方法にも課題が残る衛星画像の利用拡大においては重要な要素です。

Maxarでの展望と使命

Maxar Intelligenceは、安全で高精度な地理空間情報を提供するリーディングカンパニーとして、AI搭載の地理空間ソフトウェアソリューションの開発により、政府・防衛顧客中心の事業に加えて商業市場への拡大を目指しています。

Maxar Intelligence CEOのダン・スム―ト氏は、サーディ氏の任命について次のように述べています。

「トッド氏は、高成長の営業組織の構築と革新的なソフトウェア技術の新市場への導入において、数十年にわたる実績を有しています。彼の経験は、当社が成長の重要な局面において顧客基盤の拡大を継続する上で、大きな役割を果たすでしょう。当社は、商業顧客が直面する最大の課題解決を支援する、より革新的なAI搭載型地理空間ソフトウェア製品の開発を継続しています。ナビゲーション用の高解像度地図の提供から、エネルギー業界におけるリアルタイムに近いサイト監視まで、幅広い分野で貢献していきます。トッド・サーディさんのリーダーシップは、当社のグローバルな存在感とパートナーシップの拡大に大きく貢献するでしょう。」

サーディ氏はEnterprise事業部門のシニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーとして、消費者向け地図サービス、エネルギー、自動車、電気通信業界の商業顧客向けにサービスを提供する事業部門を統括し、MaxarのAI搭載地理空間製品の商業的採用を加速する責任を担います。インテリジェントマッピング、サイトモニタリング、自律ナビゲーションなどの幅広い用途をサポートする製品群の市場展開において中心的な役割を果たすことが期待されています。

プレスリリースの中で、サーディ氏は、以下のように意気込みを語られていました。

「Maxar Intelligenceは、地理空間産業の可能性を革新するエキサイティングな旅の真っ只中にあります。特に、同社の産業をリードするデータを活用してより革新的なソフトウェアソリューションを提供することにおいて、その可能性は無限大です。このイノベーションを世界中のより多くの顧客に届ける機会は数多く存在し、既存の顧客および新規の商業顧客と協力して、彼らが直面する最も困難な課題解決に取り組むことを楽しみにしています。」

地球観測衛星によって取得されたデータの安全保障用途の利用機運が高まる中で、Maxarから商業部門の拡大に関する重要や役職者任命のプレスリリースが出たことは、非常に注目すべきポイントだと思いました。

同氏のデジタル変革と市場開拓に関する豊富な経験は、Maxar IntelligenceのAI搭載地理空間ソリューションの商業市場への展開を大幅に加速させることが予想されます。

【参考】
https://www.maxar.com/press-releases/maxar-intelligence-appoints-todd-surdey-to-lead-its-commercial-business