Muon Space、XL衛星プラットフォームを発表。宇宙からのBluetooth接続に成功したHubble Networkが初の顧客に【宇宙ビジネスニュース】
Muon Spaceは、自社で最も高性能となる衛星プラットフォーム「MuSat XL」を発表し、Hubble Networkが初の顧客となることを明らかに。その概要と展望について紹介します。
2025年8月7日、Muon Spaceは、自社で最も高性能となる衛星プラットフォーム「MuSat XL」を発表し、Hubble Networkが初の顧客となることを明らかにしました。
Muon Spaceは2021年に設立された宇宙システム企業で、宇宙でのリアルタイムな演算・意思決定を可能にする、ミッションに最適化された衛星コンステレーションを設計・製造・運用しています。2024年度は山火事監視を行う衛星や安全保障向けの衛星開発など、実績を続々と公開していました。
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今回発表されたMuSat XLは、質量約500kgの次世代低軌道(LEO)ミッション向け衛星で、コンステレーション展開に必要なスピード、拡張性、コスト効率を維持しながら、従来機より大幅に高い電力供給能力、機動性、ペイロード搭載(衛星に載せる機器やシステム)の柔軟性を備えています。特に地球観測(EO)や通信、商業・国家安全保障分野におけるミッションに最適化されているとのこと。
最初の顧客となるHubble Networkは、2024年に地上にあるIoTデバイスを、衛星と直接Bluetooth接続することに成功しています。
今回のMuSat XLを用いた場合、フェーズドアレイアンテナと、従来の衛星より20倍の性能を持つ受信機を備え、消費電力も30分の1で信号検知が可能となります。これにより、低コストかつ省電力のデバイスを、これまで電力網が十分に行き届いてなかった世界中どこからでも直接Bluetooth接続ができ、物流、インフラ、国防、民生分野などでの利用が期待されます。
例えば、物流においてはコンテナひとつひとつ、あるいは荷物ひとつひとつの追跡が当たり前になる未来も可能になるかもしれません。

Muon Space CEOのジョニー・ダイアー氏は
「MuSat XLは単なる大型の衛星バスではありません。Hubbleのように軌道上での可能性の限界に挑む顧客にとって、本物の実現手段です。彼らの革新的なBLE(Bluetooth Low Energy)技術は、宇宙ベースのサービスの未来を象徴しており、MuSat XLとHaloスタック(衛星の設計から運用までを一貫して支えるMuon Spaceの統合技術基盤)で、そのミッションを実現できることを非常に嬉しく思います。」
とコメントしています。
Hubble Networkの共同創業者兼CEO、アレックス・ハロ氏は
「Muonのプラットフォームは、地球を包み込む真のBluetoothレイヤーを構築するための規模と電力を与えてくれます。」
とコメントしています。
今回の発表から、衛星コンステレーションが実現できるサービスの規模と種類が今後もより進化していくことを感じさせます。今後、私たちの生活に衛星技術がどのように浸透していくのか、ますます楽しみなリリースでした。
【参考記事】
Muon Space Unveils XL Satellite Platform, Announces Hubble Network as First Customer