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Rocket Labは2025年、年間21回打上げ・成功率100%達成。日本が小型衛星用ロケットElectronを8回利用で最多利用国に【宇宙ビジネスニュース】

小型ロケット市場で独走するRocket Labの実績を解説。2025年の実績、年間21回・成功率100%を支える製造技術と日本企業の利用状況を紹介します。

2025年12月21日、米Rocket Lab社がElectronロケットの打ち上げに成功しました。これにより2025年の年間打ち上げ回数21回・成功率100%という新記録を達成したと発表しています。

今回のミッション「The Wisdom God Guides」では、Electronが日本のQPS研究所が開発したSAR衛星「QPS-SAR-15」を軌道に投入しています。これは2025年最後の打上げであり、通算79回目のElectronミッションとなりました。なお、79回の内6回はHASTE (サブオービタル打上げ用のElectronの派生型ロケット) の実績です。

Rocket Labは2006年にニュージーランドでサー・ピーター・ベック氏によって設立された宇宙企業です。小型衛星専用の打ち上げサービスを主力事業としています。2017年5月に初のElectron打ち上げを実施し、2018年1月には初の軌道投入に成功しました。現在はニュージーランドのマヒア半島と米国バージニア州に射場(打上げ施設)を保有しています。民間ロケット打上げ実績はSpaceXに次ぐ規模です。

2025年に実施した21回の内、小型衛星用を打ち上げたのは18回。初回打上げの2017年から毎年の打上げ数および累計成功率を宙畑編集部にてまとめました。なお累計成功率は初回から当該年までの打上げ成功率です。

Rocket Labは2017年の初打上げで失敗したものの、そこから多くの打上げを成功させており、累計成功率は94.5%に達しました。Electronの年間18回という打上げ回数は、小型ロケットとしては圧倒的な数字です。

この凄さは競合他社と比較すると一層明確になります。例えば、同じ小型ロケット市場で競争するFireflyのAlphaロケットは、2022年に軌道投入に初成功しました。しかし、2025年9月には打ち上げ前試験中に爆発事故を起こしています。かつて空中発射方式で注目を集めたVirgin Orbitは2023年に経営破綻しました。Astra社も次世代機への移行に時間を要しています。Electronはこれらの競合を大きく引き離し、小型ロケット市場で独走状態にあります。

では、なぜRocket Labはこれほどの量産体制を実現できているのでしょうか。その鍵は「製造の自動化」と「3Dプリント技術」にあると考えられます。

2019年、同社は大型製造ロボット「Rosie」を導入しました。従来は400時間以上かかっていたカーボン複合材の加工工程を、わずか12時間に短縮しています。さらに、Electronに搭載されるRutherfordエンジンは主要部品の大半が3Dプリントで製造されています。24時間でプリント可能で、年間200基程度の生産能力を獲得する予定です。

Rocket Labはニュージーランドと米国の2つの射場を活用し、48時間以内に2回の打ち上げを実施しています。このように運用面でも高い効率性を実現。こうした製造・運用両面での革新が、他社には真似できない打上げ頻度を支えています。

また、Electronの打上げについて注目すべき点は、2025年のElectron利用国として日本が最多である点です。2025年に打上げたElectron18機の利用国分布を下記にまとめました。

日本はQPS研究所が6回、JAXAが1回、Synspectiveが1回と計8回の利用があり、2位の米国(7回)を上回りました。Rocket LabはQPS研究所にとって主要な打ち上げパートナーです。2023年から現在までに7機の衛星を軌道投入しています。さらにQPS研究所向けに2026年以降も5回の打ち上げが予定されています。

Rocket Lab創業者兼CEOのサー・ピーター・ベック氏は次のようにコメントしています。

「QPS研究所のコンステレーション最新ミッションの成功、そしてRocket Labチームによる記録的な打ち上げ実績を祝福します。Electronは頻繁かつ高い信頼性で打ち上げを実現し、他のアメリカの小型軌道ロケットを年々引き離しています。2026年には、複数の打ち上げによる衛星コンステレーション展開の拡大、日本や欧州の民間宇宙機関・国際宇宙機関向けの専用ミッション、そして極超音速技術や国家安全保障を目的とした防衛用途の亜軌道・軌道打ち上げを通じて、Electronのグローバルな展開を拡大します。」

Electronの年間21回打ち上げ・成功率100%という実績は重要です。これは小型ロケット市場で「信頼性」と「打ち上げ頻度」を両立することがいかに難しいかを示しています。競合が苦戦する中、Electronは着実に実績を積み重ねています。

一方、日本企業がElectronを多く利用する背景には、国内に同等の打ち上げ能力を持つロケットが少ないという課題があります。国内でロケット製造体制が整備されれば、国内の衛星開発者に新たな選択肢が生まれ、海外の輸出管理規制に伴う手続きも回避できるようになります。

このような課題意識から、衛星産業の成長を支えるためにも、国内ロケット開発の推進が重要であり、宇宙戦略基金やその他様々な政府支援で小型ロケットの開発が支援されています。

なお、ロケット開発を加速させるためにはロケットそのものだけでなく、構成機器や部品の開発も肝要です。トヨタ自動車がインターステラテクノロジズと協業してロケットエンジンを開発しているように、日本の様々なものづくり企業にも参入チャンスがあります。ロケット機器や部品開発市場は参入機会が多い分野の1つと言えます。

日本のものづくり企業の結束により、日本の打上げ需要に対応可能な供給網が構築されることが期待されます。

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