【インド宇宙開発への試練】PSLVロケットが2回連続の軌道投入失敗、アストロスケールなど世界の衛星ミッションへの影響【宇宙ビジネスニュース】
ISROのPSLVが2連続で失敗。アストロスケールなど世界の衛星ミッションへの影響が懸念されます。早期の原因究明と、強固な機体での再スタートが期待されます。
2026年1月12日、インド宇宙研究機関(ISRO)は、サティシュ・ダワン宇宙センターから打ち上げられた「PSLV」ロケットが、フライト中の不具合により軌道投入に失敗したことを発表しました。
The PSLV-C62 mission encountered an anomaly during end of the PS3 stage. A detailed analysis has been initiated.
— ISRO (@isro) January 12, 2026
宙畑メモ:PSLV(極軌道衛星打ち上げ用ロケット)とは
インドが開発した4段式で、固体燃料と液体燃料のステージを交互に組み合わせているのが特徴のロケットです。1トン〜1.7トン程度の衛星を、地球観測衛星などがよく利用する「太陽同期軌道(極軌道の一種)」へ投入する能力を持っています。
搭載されていた主衛星「EOS-N1」や、タイの地球観測衛星「THEOS-2A」など、相乗りしていた衛星はすべて失われたと見られています。ISROにとって、PSLVの打ち上げ失敗は2025年5月のミッションに続き2回連続となります。
ISROは、インドの宇宙開発を担当する国家機関であり、2014年に初挑戦で火星周回軌道投入に成功した「マルガルヤーン」や2023年に世界初となる月の南極への着陸を果たした(月面着陸としては4カ国目)月探査機「チャンドラヤーン3号機」など、高い技術力で知られています。
今回失敗したPSLVは、ISROが1993年から運用している主力ロケットです。低軌道(極軌道)から静止トランスファー軌道(静止衛星向け)まで衛星を投入する能力を持っています。
これまで64機のロケットを打ち上げ、うち60機が成功しており、比較的低コストながら成功率は93%と比較的高い水準です。
今回の打ち上げでは、ロケットは第3段の燃焼終了付近で異常が発生し、予定された軌道への投入に失敗した模様です。PSLVは長年、高い成功率を維持してきました。
しかし、直近の2連続の失敗は、第3段の不具合という同じ打上げ過程での失敗でした。この場合、設計または製造工程に何らかの課題が発生している可能性があると思われます。
この停滞は、インド国内のみならず、世界の衛星ビジネスに波及します。日本企業への影響も懸念されます。
軌道上サービスを手がけるアストロスケールは、NewSpace India Limited(ISROの傘下企業)との間で、デブリ観測ミッション衛星「ISSA-J1」の打ち上げ契約を締結したことを発表していました。同社は、ISSA-J1でのデブリ観測、デブリ除去、さらには衛星への燃料補給のサービス開始に向けて開発を加速させています。
関連記事
【地上活動の当たり前を守るために】アストロスケール上場、CEO岡田氏が記者発表会で語った事業内容と強み
アストロスケール、宇宙空間における衛星への燃料補給の技術開発を加速【宇宙ビジネスニュース】
同社は、2027年春にISSA-J1の打ち上げを発表していますが、PSLVの原因究明や対策が長引けば、何らかの影響が出ることが予想されます。
今回の打ち上げ失敗は、宇宙開発において「成功を続けること」の難しさをあらためて浮き彫りにしました。これは、同じく8号機の打ち上げに失敗し、原因究明中であるH3ロケットの現状とも重なります。やはり、宇宙という極限環境での挑戦において、技術的な課題は避けて通れません。
関連記事
「みちびき5号機」の喪失と「みちびき7号機」の打上げ延期。7号機体制の構築計画への影響は【宇宙ビジネスニュース】
H3ロケットとPSLV、アジアを代表するロケットとして、早期の原因究明とより強固な機体となっての再スタートが期待されます。

