宙畑 Sorabatake

ビジネス事例

北極観測で気象予測の精度向上へ、OHB Swedenが欧州連携の衛星コンステレーションで約450億円超の契約を獲得【宇宙ビジネスニュース】

2026年3月18日、OHB Swedenは、衛星コンステレーション「EUMETSAT Polar System–Sterna」の構築に向け、大型契約を獲得したと発表しました。契約総額は、約2億4,800万ユーロ(約450億円超)であり、スウェーデン宇宙産業において最大規模の衛星契約となる見込みです。

2026年3月18日、OHB Swedenは、衛星コンステレーション「EUMETSAT Polar System–Sterna(以下、EPS-Sterna)」の構築に向け、大型契約を獲得したと発表しました。契約総額は、約2億4,800万ユーロ(約450億円超)であり、スウェーデン宇宙産業において最大規模の衛星契約となる見込みです。

OHB Swedenは低コストの小型衛星ミッションの設計・開発・試験において30年以上の経験を持ちます。代表的な小型衛星の一つに「InnoSat」があり、幅広い宇宙ミッションに柔軟に対応できるよう設計されています。

OHB Swedenはドイツのブレーメンに本社を置く宇宙技術グループ「OHB SE」の子会社です。OHB SEは衛星の開発からデータ処理、ロケット部品の生産など、幅広く宇宙事業を手がけており、計15の拠点で3,000人以上の従業員を雇用しています。

従来の静止気象衛星は高緯度地域を十分にカバーできず、北極圏のデータが不足していました。北極圏は氷の融解など、気候変動の影響が顕著に現れる領域で、気候変動の研究には不可欠です。今回の衛星コンステレーションは、既存の気象衛星群を補完し、北極域のデータ取得を強化する役割を果たします。

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以前OHB Swedenが開発した衛星「Arctic Weather Satellite(以下、AWS)」は、マイクロ波観測装置を搭載しています。これにより厚い雲や激しい降雪・降雨下でも、大気中の温度や湿度を高精度に測定できました。

宙畑メモ:マイクロ波観測装置
大気中の水蒸気などが放つ電波(マイクロ波)を捉え、温度や湿度の分布を測定する装置。マイクロ波は雲の影響を受けづらいため、厚い雲や降水を通して大気内部の状態を観測でき、安定したデータ取得が可能となります。

今回のEPS-Sternaは、このAWSの成果をもとに開発します。また、EPS-Sternaは3世代、各世代6機の衛星(計18機)で構成され、広範囲、かつ高頻度のデータ取得を実現する設計となっています (最初の6機 (第1世代) は、2029年の打上げ予定)。これらの工夫により、より早い段階で正確な気象予測を実施できると期待されます。

また、地球規模の気候モデル(気候をコンピュータで再現し、その変動を予測するプログラム)の改善にもつながると期待されています。

本プロジェクトは、欧州の気象衛星機構(EUMETSAT)が主導し、これに加盟している国の資金で進められます。

宙畑メモ:EUMETSAT
ヨーロッパの気象衛星システムの構築・運用・データ活用を担う政府間組織のこと。気候変動対策に向けたモニタリングなどを実施しています。ドイツのダルムシュタットに拠点を置き、30か国が加盟しています。

EUMETSATは地上システムの構築、打ち上げサービスの調達、衛星の運用・管理、観測データの配信までを一括して担い、約13年間の運用が計画されています。

開発は欧州宇宙機関(ESA)が主導し、OHB Swedenが主契約者として小型衛星を設計・製造します。

また、EPS-Sternaの衛星開発は欧州全体の産業連携によって進められます。例えば、スウェーデン企業のOmnisysは、主要な気象観測機器であるマイクロ波センサーを供給します。他にも約30社が参加し、ドイツの中小企業も重要な機器開発に関与します。

OHB SwedenのCEOであるマルコ・フックス氏は以下のようにコメントしています。

「OHB Swedenのチームを誇りに思い、信頼を寄せてくださるパートナーに心より感謝しています。彼らは私たちが大規模な衛星コンステレーションを構築する能力を評価してくれています。EPS-Sternaが欧州の地球観測能力を一層強化し、スウェーデンの宇宙産業における史上最大の衛星契約をOHB Swedenが獲得することを嬉しく思います。」

今回の契約から、北極圏というこれまで十分に観測されてこなかった領域に対し、持続的かつ高精度なデータの取得・提供が可能になると期待されます。

北極圏の観測は、地球規模の気候変動の観測という大きな話のみならず、最終的には、農業の計画や防災対策など、私たちの生活のさまざまな場面で役立つでしょう。

宇宙から観測して得られる北極圏のデータが、地球規模の課題解決に貢献していく未来に期待が高まります。

参考記事

OHB wins EUR 248 million contract for satellite constellation to monitor the Arctic

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ESA - OHB Sweden to build Sterna weather constellation

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国立極地研究所 北極観測センター │ 研究・観測活動 │ 北極温暖化研究の序章

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