ispaceが月周回衛星を活用した通信・測位サービスを発表。地球と月をつなぐハブ、月周回衛星があれば何ができる?【宇宙ビジネスニュース】
2026年3月27日、ispaceは月周回衛星を活用した通信・測位サービスの立ち上げを発表しました。「地球と月面」をつなぐハブとして機能していくのか、今後の動向に注目です。
2026年3月27日、ispaceは月周回衛星を活用した通信・測位のサービス「ルナ・コネクトサービス」の立ち上げを発表しました。これは、月およびシスルナ空間における将来的な経済活動の活発化を見込んだ、新たな取り組みです。
宙畑メモ:シスルナ空間とは
地球と月の間の宇宙空間のこと。月への移動軌道、月周回軌道、ラグランジュ点(重力が釣り合い宇宙機がとどまりやすい地点)付近なども含めた領域を指す。近年、この空間を新たな経済活動の場(月資源の利活用や地球と深宇宙をつなぐ燃料補給拠点など)として活用しようとする動きが活発になっています。
ispaceは、高頻度かつ低コストな輸送サービスおよび撮影データや環境データを取得・販売するデータビジネスを主軸に、月面開発を手がけるスタートアップです。これまで2度の月面周回・着陸ミッションへの挑戦を通して、自社開発の着陸船を月周回軌道まで輸送・投入・運用する能力を獲得・実証してきました。
また、直近の2026年1月には宇宙戦略基金の「月極域における高精度着陸技術」(支援上限200億円)に採択され、2029年のミッション4「月南極付近への高精度着陸を目指すミッション (採択当時はミッション6) 」に向けた開発開始を発表するなど、着実な歩みを見せています。
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では、今回発表された月周回衛星のサービスは、これからのシスルナ空間における宇宙ビジネスにどのようなメリットをもたらすのでしょうか。
現在、米国主導のアルテミス計画を筆頭に、月面拠点の構築に向けた取り組みが世界的に本格化しています。それに伴い、月面活動(南極への探査や水資源のサンプルリターンなど)とそれを支える通信や測位、月面観測、SSAなどに対する需要も高まっています。
宙畑メモ:SSA(Space Situational Awareness / 宇宙状況把握)とは
宇宙空間にある人工衛星やスペースデブリ(宇宙ゴミ)などの位置・軌道・運用状況を観測し把握すること。安全な宇宙活動を行うための交通整理やリスク管理において、インフラを支える非常に重要な役割を担う。
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今回の新サービス展開により、月面で活動する顧客に対して、月面内・月面〜月周回間・月〜地球間を結ぶ安定かつ高速な通信サービスや、一定精度の位置情報(緯度・経度・時間等)を提供します。さらに、月面観測やSSAなどデータサービスへの拡大も見込んでいます。
また、地球側では大容量のデータ(月面の観測画像や科学探査による多様な計測データ)を月面から安定的に受信する必要があり、地球の地上局は大きな役割を果たします。この整備にあたり、同社はKDDIと共同検討を進めるべく、基本合意書を締結しています。KDDIは2024年11月に宇宙戦略基金に採択され、関連する技術テーマ「月-地球間通信システム開発・実証(FS)」を進めています。
ispaceは本サービスの第一弾として、米Argo Space Corp.の宇宙輸送サービスを利用し、最速で2027年に最初の自社衛星を月周回軌道へ投入する計画です(ミッション2.5)。これにより、同年度中のサービス開始を目指します。
また、同社は2030年までに少なくとも5基の自社衛星を段階的に月周回軌道に投入していく見通しを明らかにしました。
さらに、月面着陸機についても、以下の図の通り、新たなミッションスケジュールを発表しています。
月面開発というと、これまで「いかにして月へ到達するか」という輸送技術に注目が集まることが多かった印象ですが、今回の発表では、その先の「月での経済活動をどう支えるか」という、より具体的なインフラ構築へとフェーズが移りつつあることが印象的でした。
月面活動が本格化する中で、地球との安定した通信網は非常に重要です。ispaceの月周回衛星サービスが「地球と月面」をつなぐハブとして機能していくのか、今後の動向に注目です。
参考
ispace、月周回の自社衛星を活用した新たな事業構想を発表
ispace、宇宙戦略基金事業「月極域における高精度着陸技術」に採択!

