宙畑 Sorabatake

衛星ソリューション

衛星データで「インフラ管理」「防災・災害対応」を革新する技術開発求む! 「NEDO Challenge, Satellite Data-衛星データで革新する未来の都市インフラ-」の公募開始_PR

経済産業省とNEDOが主催する懸賞金活用型プログラム「NEDO Challenge, Satellite Data」の次のテーマが「社会インフラ」となりました。解決が求められる課題と衛星データ活用に期待されるポイントを紹介します。

経済産業省および国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」)が主催する懸賞金活用型プログラム「NEDO Challenge, Satellite Data -衛星データで革新する未来の都市インフラ-」の公募が開始されました。応募期間は2026年7月15日から8月31日です。

【お知らせ】
2026年8月5日(水)10:00~11:00で応募説明会がオンラインで開催予定です。以下、その概要となっています。
開催日時:2026年8月5日(水)10:00~11:00
開催方法:オンライン(Zoom Webinar配信)
参加方法:当日は下記URLをクリックし、”メール”欄に「連絡可能なアドレス」、“名前”欄に「ご所属/ご氏名」を入力の上、ご参加ください。
ZoomURL:https://us06web.zoom.us/meeting/register/0lrgwcxCRj6fUHGUUz48jA
※説明会後、公式サイトにアーカイブ動画を公開予定です。

本プログラムは、老朽化するインフラの維持管理、担い手不足、そして激甚化する自然災害への対応という喫緊の社会課題を、衛星データの活用によってより効果的に解決する、革新的・独創的な技術シーズをより多く募ることを目的とします。

今回のプログラムでは、各テーマで1位に2,000万円、2位に1,000万円、3位に500万円という懸賞金が設定されており、NEDO Challenge, Satellite Dataシリーズ最高額となっています。
また、上位3位までに選出されない場合でも、公共性・公益性が高く、将来的に社会課題解決に繋がり得ると判断されたものについては、審査委員特別賞が授与されることもあります。

現在はマッチングプログラムへの参加を受け付けており、コンテストに向けたチーム組成・共同研究の準備を進めることができる期間(2026年7月24日までを予定)で、衛星データの解析スキルを持つ事業者だけではなく、課題を持っている事業者にも応募の門戸が開かれています(詳細は後述)。

■「NEDO Challenge, Satellite Data -衛星データで革新する未来の都市インフラ-」専用サイト

・専用サイトを見る

(1)NEDO懸賞金活用型プログラムの概要

NEDOの懸賞金活用型プログラムは、社会課題の解決に資する多様な技術シーズやアイデアを広く募り、将来の新産業創出に繋がるシーズをいち早く発掘する取り組みです。

これまでにも量子コンピュータや国産基盤モデルを用いたAIエージェント、化粧品業界の未来を切り拓く研究開発など、さまざまな先端技術分野や課題の解決に向けたテーマが設けられています。

衛星データ活用がテーマとなったのは今回で3回目。7月15日には「NEDO Challenge, Satellite Data -農林水産業を衛星データでアップデート!-」と題された第2回の最終選考会が開催されます。

第1回ではグリーン分野の課題解決がテーマとなり、第2回の農林水産業。そして、冒頭の通り、第3回目となる今回は、社会・産業全体の基盤を支えるインフラ管理や防災分野に焦点が当たっています。

(2)日本のインフラを取り巻く課題と衛星データの強みを活かす3つの期待

高度経済成長期に集中整備された日本のインフラは、現在、急速な老朽化の局面を迎えています。さらには、人口減少による維持管理の担い手不足、自然災害の激甚化・頻発化が重なり、インフラメンテナンスの手法そのものを抜本的に再定義することが急務となっています。

インフラメンテナンス国民会議会長の家田仁氏も、本プログラムへのメッセージのなかで「インフラサービスの維持が困難となると、我が国の経済活動や国民生活に大きく影響することが懸念されます」と、日本のインフラの将来への強い危機感についてコメントしています。

このような課題の解決策として、期待されているのが衛星データの利用です。

なぜインフラ管理や防災に対して衛星データが有効なのか、少なくとも「広域・面的なモニタリングの高頻度化」「災害対応の迅速化」「3D都市モデルとの融合」という3つの衛星データの強みが活かされると期待されます。

1.広域・面的なモニタリングの高頻度化

橋梁・道路・ダムといった構造物は全国に膨大な数が存在し、従来の目視点検では人員的・物理的に限界があります。

例えば、橋梁は日本全国に約72万橋存在し、建設後50年を経過した橋梁(2m以上)の割合は、2024年時点で約39%から、2034年には約63%と増加します。

そのうえで、橋梁の点検は5年に1回すべて見回ることが求められており、以下のスライドのように点検が行われていますが、人口減少が進んでしまうと、一人当たりの点検すべき橋梁数が増え、十分に見回りができなくなってしまう可能性があります。

Credit : 国土交通省

そこで、見回りに行かずとも広い範囲を面的に一度に観測できる衛星データの強みが活かされます。

同様に、山奥のダムのような「重要なインフラでありながら、頻度を上げて観測するのが難しい場所」でも、衛星なら地表面の変化を定期的に捉え続けることが期待されていることが、本プログラムの開催にあたって実施された勉強会(2026/8/31まで閲覧可能)で紹介されました。

実際に、InSAR(干渉合成開口レーダー)を用いた地盤変動や構造物変位の広域検出は、インフラ管理における優先的に対処すべき場所の選定をするための有力な手段として実証研究が進んでいます。

また、衛星による「面的把握」は、人が見回りに行きづらい山間部や離島のインフラ点検においても、その強みが活かされると期待されています。

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2.災害対応の迅速化

2024年に発生した能登半島地震のような大規模災害では、孤立地域の把握や各地の被害状況の早期の確認が初動対応のボトルネックとなります。

衛星データを使えば、土砂崩れや地割れなどによって道路が寸断されアクセス困難なエリアを含む広域の被害状況を速やかに把握できます。

JAXAが公開する「宇宙からの災害状況把握~令和6年能登半島地震におけるJAXAの対応について~」では、能登半島地震発生からどのようにして衛星観測を行ったのかが非常に分かりやすくまとめられていますので、ぜひご覧ください。

また、九州で発生した土砂災害では、家屋が崩れた現場まで近づくこと自体が二次被害のリスクを伴う状況でも、衛星なら山の上の鉄塔や支柱の状態も含め広域の被害把握が可能だったと、事前の勉強会では紹介されていました。

孤立地域の把握や被害状況の把握はひとつの例ですが、大規模災害が起きた際に広域にどのような情報を即座に得られると嬉しいか、また、それが衛星データから把握できるのかという観点で、アイデア創出が求められます。

3.3D都市モデル「PLATEAU」との融合

最後に紹介するのは、国土交通省が推進するProject PLATEAUと衛星データとの融合です。

宙畑メモ Project PLATEAUとは
国土交通省が推進する日本全国の都市を3Dモデル化するという壮大なプロジェクト。2020年12月に始動し、都市の建物や街路の3次元形状をCGモデルで再現することで、まちづくりのデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しています。誰もが自由に利用できるオープンデータとして提供されています。
参考:グランプリを受賞した「街の”未来”を描く地図」とは? PLATEAU AWARD 2024の結果と3Dモデル&衛星データの融合例

現在、PLATEAUにより、全国各地の3D都市モデルが整備されつつあります。今回のNEDO Challenge, Satellite Dataでは国土交通省都市局も協力機関に名を連ねており、衛星データとPLATEAUを組み合わせた新たなインフラマネジメント・防災ソリューションの創出が期待されています。

勉強会でもPLATEAUを担当する国土交通省の担当者の方から現状と課題が説明されました。
2020年の開始以来、現在は全国329都市で整備済み(人口カバー率約55%)となっており、2027年度末に500都市達成を目標に設定。すでに浸水・延焼シミュレーション、橋梁のひび割れ情報を3Dモデルに記録する道路管理、電気・ガスなど地下埋設物の一元管理といった実用化も進んでいます。

一方で、大きな課題として挙げられたのが更新頻度でした。モデルのベースとなる都市計画基本図の更新は最短でも5年に1度であり、災害直後の迅速な状況把握やリアルタイムな都市管理への活用には課題があります。そこで今年度から、衛星データとAIを組み合わせた「更新箇所の自動検出」と「3Dモデルの自動作成」の技術開発に着手しています。

また、従来は人が航空写真を目視確認していた作業の自動化によるコストと時間の削減など、今回のNEDO Challengeでは、PLATEAUなどの3D都市モデルと連携した衛星データ活用についても提案を期待していることが話されました。

(3)衛星データで分かるコト・モノ

では、具体的に衛星データから何が分かるのでしょうか。すでに紹介している事例もありますが、あらためて衛星データの基本情報を整理しました。

1.土地利用の変化や人の営みが分かる光学衛星

光学衛星は、「宇宙から広く地球の状態を分かりやすく伝えられる高性能カメラ」です。また、私たちの目で見ることのできる可視光の波長だけでなく、近赤外線や短波長赤外線といった「目に見えない波長」を捉えられる点も大きな特徴です。

例えば、植物の葉に含まれるクロロフィルは近赤外線を強く反射するため、これを解析することで植物の活性度を数値的に把握できます。これにより、農作物の生育状況はもちろん、インフラ管理においても、特定の地域の「植生が安定しているか」や必要に応じて「土壌の水分量」といった、現場の安全に関わる情報を得ることができます。

さらに、光学衛星は「雪」の観測にも非常に有効です。雪は特定の波長帯で非常に高い反射率を示すため、積雪エリアを特定可能です(可視光で見ると同じように白い雲が映っていても、雲の白なのか、雪の白なのかを判別可能)。これにより、山間部の積雪状況を把握して雪解け水を予測したり、道路やインフラ施設への積雪状況を監視したりと、防災・インフラ運用の現場でも欠かせない情報を提供することができます。

【参考記事】

一方で、光学衛星の弱点は雲があるとその下の地上の状態が分からないということ。その弱点をカバーできるのがSAR衛星です。

2.雲があっても定期的に地上の変化が分かるSAR衛星

SAR(合成開口レーダ)衛星は、自ら電波を発して地表に跳ね返ってきた反射波を受信する仕組みで地上を観測しており、天候や昼夜に左右されず、同じ場所を観測できます。

光学衛星と比較すると判読が難しい画像ではありますが、上記の強みを活かし、定期的な地上の状態変化(建物の有無や土地利用の変化など)を確実に行う際に有効な衛星データです。

また、繰り返しになりますが、インフラ監視において「干渉SAR解析」は非常に重要な技術です。

これは、同じ場所を撮影した異なる時期の2枚の画像データを重ね合わせ、波の「位相(ズレ)」を精密に計算する技術です。

この手法を用いることで、地表面のわずか数ミリメートル単位の変動を検出。地滑りの兆候や地盤沈下、橋梁やダムなどのインフラ構造物に生じる微細な「たわみ」を把握することが可能です。見た目には変化がない平穏な場所であっても、内部で着実に進行する異変をいち早く察知する、まさにインフラを守るための衛星データといえます。

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3.衛星データの限界と展望

ここまで衛星データの利点を紹介してきましたが、衛星データは広く定期的に何でも捉えられるというわけではありません。

例えば、「見たいその瞬間にいつでも撮影できるわけではない(衛星が上空にくるのを待つ必要がある)」「撮影してから地上のアンテナでデータを受信し、手元で解析するまでにタイムラグがある」といった、物理的な限界や制約がどうしても存在します。

今後も物理的に難しいことは一定残ることを想定しながら、ドローンや航空機観測、地上のIoTセンサの活用など、さまざまな観測手段と組み合わせることが重要です。

一方で、近年は宇宙ビジネスを取り巻く技術の急速なアップデートにより、こうした「これまでは難しかったこと」も次々と解決されつつある良い話題も増えています。

例えば、小型衛星の打ち上げ数が爆発的に増加し、多数の衛星を連携させる「コンステレーション」が構築されたことで、数時間〜数十分単位という高頻度での地球観測が現実のものとなってきました。

さらに、大容量のデータを宇宙空間で高速伝送する「光通信」や「中継衛星」ネットワークの整備、軌道上の衛星内でデータを即時処理して必要な結果だけを降ろす「エッジコンピューティング」、そして地上での「AI技術の進化」が掛け合わさることで、観測から解析、そして私たちの手元にデータが届くまでの時間は劇的に縮まるでしょう。

重要なのは、現在の「できること・できないこと」だけにとらわれないことです。今回のNEDO Challengeにおいても、数年後にこれらの宇宙技術や周辺技術がさらに進化し、よりリアルタイムに地球をモニタリングできる未来を見越しながら、「その時、どんなインフラ管理や防災のアイデアが実現可能になっているか」という視点を持つことが、革新的なソリューション創出の鍵となります。

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(4)衛星データ活用が期待される2つのテーマ

今回、以下の「インフラマネジメント及び都市活動における課題解決に資する技術開発」「インフラに係る防災・災害対応における課題解決に資する技術開発」という2テーマで衛星データ活用アイデアの応募が求められています。

それぞれのテーマについて、公式サイトでは以下の通り説明されています。

テーマ1:インフラマネジメント及び都市活動における課題解決に資する技術開発

インフラ構造物の劣化・点検・監視、インフラ周辺状況のモニタリング、3D都市モデル(PLATEAU等)の作成・更新、土地利用変化・建物更新の把握、交通量等の都市活動のモニタリングなどの課題解決を衛星データで実現する技術が対象です。

【応募例】
・インフラ構造物の劣化等の点検やモニタリングの効率化・高度化・人手不足解消
・河川・港湾・海岸・ダムなどの浸食・堆積や地盤変動等の広域的・時系列的な変状把握
・インフラ周辺状況(地盤、植生・樹木、土地利用など)の継続的な変化把握及びこれまで把握が困難であった地下空間や周辺リスクの把握
・インフラ点検の評価・診断や予防保全計画策定の効率化など、広域インフラ管理や複数インフラのマネジメントサイクルへの衛星データ活用
・3D都市モデル等の生成や都市計画基本図等の作成における、土地利用変化(空き家・空き地化、建物の更新等)の把握、地上や地下の物体・空間、物体の分類・識別の高度化
・都市の交通量・人流のモニタリングにおける、衛星データと他データを組み合わせた都市活動分析の高度化

テーマ2:インフラに係る防災・災害対応における課題解決に資する技術開発

衛星データを活用した災害リスク評価、災害・異常検知、災害時の広域的・動的な状況把握、3D都市モデルと組み合わせた被害状況の可視化などの課題解決に資する技術が対象です。

【応募例】
・平時の災害リスク評価
・災害発生前の異常検知や予兆把握
・浸水や河川水位などの広域的・動的な状況の把握
・発災直後の迅速な複数インフラ被災状況や道路閉塞(電柱倒壊、車両乗り捨て等含む)の把握
・応急対応期の広域的・継続的な情報把握及びインフラ復旧へ向けた応急対応・復旧計画立案
・3D都市モデル等と組み合わせた、発災時の広域的な状況の可視化や、平時の災害リスクの可視化

また、2つのテーマを考えるうえで、衛星リモートセンシングデータ利用タスクフォース大臣会合にて国土交通省が提出した資料「国土交通省の主な衛星リモートセンシング関連施策」も参考になるでしょう。同会合で展開された各府省庁の衛星データ活用の案件整理資料も、利用する衛星データについても記載があり、非常に参考になります。

(5)選考フローとスケジュール

本プログラムの選考フローとスケジュール(予定)は以下の通りです。

1次審査を通過した応募者には、半年以上のシステム開発・メンタリング期間が提供される予定です。応募要項などの詳細は、公式サイトをご確認ください。

(6)マッチングプログラムで課題保有者と技術保有者を繋ぐ

本プログラムでは、社会インフラ分野における課題・ニーズ保有者と衛星データ利活用の技術シーズ保有者をマッチングし、コンテストに向けたチーム組成・共同研究を促すプログラムが用意されています。

インフラ維持管理の現場を知る自治体やインフラ事業者と、衛星データを扱う宇宙関連事業者が組み合わさることで、課題の解像度が高く実用性のあるソリューションが生まれる可能性があります。

技術シーズは持っているが実際のニーズが分からないという方にも、ニーズの解像度を上げる絶好の機会となるでしょう。実際に、農林水産業をテーマとした前回のプログラムでは、18組のマッチングが成立していることも公開されました。

マッチングプログラムへの応募受付期間は2026年5月20日(水)〜7月24日(金)正午まで。応募は公式サイトの応募フォームから行えます。

マッチングプログラムの応募フォーム
【参考】申込内容下書き検討用資料

(7)おわりに

老朽化・担い手不足・自然災害の激甚化という、複合的な課題に直面する日本のインフラ。本プログラムは、その複合的な課題を一挙に解決できる可能性を衛星データに見出している取り組みとも言えます。

インフラメンテナンス国民会議会長の家田仁氏さんは「従来の『地表』に近い視点に、『宇宙』からの視点を加えることで、革新が生まれると確信している」とコメントされています。

その言葉の通り、今回のプログラムでは既存の技術体系を超えた自由な発想こそが求められています。衛星データや地球観測技術に知見を持つ方はもちろん、インフラ現場のリアルな課題を抱える自治体・民間事業者の方も、まずはマッチングプログラムへの参加から検討してみてください。

【応募説明会の概要】
開催日時:2026年8月5日(水)10:00~11:00
開催方法:オンライン(Zoom Webinar配信)
参加方法:当日は下記URLをクリックし、”メール”欄に「連絡可能なアドレス」、“名前”欄に「ご所属/ご氏名」を入力の上、ご参加ください。
ZoomURL:https://us06web.zoom.us/meeting/register/0lrgwcxCRj6fUHGUUz48jA
※説明会後、公式サイトにアーカイブ動画を公開予定です。

■「NEDO Challenge, Satellite Data -衛星データで革新する未来の都市インフラ-」
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