宙畑 Sorabatake

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推進系の異常により、サービス中の通信衛星が機能喪失【週刊宇宙ビジネスニュース 4/15~4/21】

一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新!

Credit : Intelsat

インテルサット社が通信サービスを提供している人工衛星のうちの1機が、推進系(燃料漏れ)と通信系の異常により、機能を全喪失したそうです。

この衛星はIntelsat 29Eと呼称され、静止軌道に配置されている通信衛星です。ボーイング社が開発し、2016年に打ち上げ、設計寿命は15年を予定していました。

すでに利用客のついたサービス提供中の衛星だったこともあり、株価も2%下落したようです。

異常発生後の対応は早く、インテルサットが保有する他の衛星のみならず、他社の衛星も含めて50機の衛星でサービスを代替することで、顧客にサービス提供を継続しているようです。

迅速な対応ができたため、株価の下落は2%に留まった、という見方もできるかもしれません。
迅速な対応の裏には、何かしらのトラブルが発生したあとの対応手順がきちんと社内で決まっていた、かつ他社とも何かしら連携が組めていた、ということがあるのかもしれません。

現在、故障原因を詳細に調べるため、委員会が立ちあげられています。

今回故障した衛星と、基本的な構成を同じくする衛星は他にも打ち上げられています。そのため、今回の故障原因によっては、他の衛星も今後故障する可能性があることから、原因究明は非常に重要と言えるでしょう。

他にも利用可能な構成の衛星(汎用バスや衛星プラットフォームと呼ばれたりします)を開発することで、開発期間の短縮や開発コストを下げることができるなどのメリットは当然あります。

が、ひとたびトラブルが発生した場合には、他の衛星にも同様のトラブルが発生する可能性があります。コスト的に安く、運用期間の短い超小型衛星ならば影響は軽微かもしれませんが、果たして運用期間の長い大型衛星の場合には、汎用的なものと一品もの、どちらが良いのか、は難しい問題であることが改めて浮き彫りとなりました。

昨年末には、民間分野でもっとも地上分解能が良いWorldView-4が故障したことでも、大きな影響が顕れました。衛星が故障しないように、厳しい試験を課すという手段もあり得ますが、そうすると結果として衛星の開発期間は伸びて開発コストは高くなります。

このバランスをうまく取ることが重要になるのですが、
・OneWebをはじめ、通信衛星分野でも小型衛星が主流になりつつある今、大型衛星の在り方はどのようになっていくのか
・配置できる衛星数に限りのある静止軌道を使う必要性があるミッションはどのようなものか?
も注目していきたいポイントです。

大型衛星と小型衛星を比較する際には、例えば以下のような比較項目が考えられます。
各項目の掛け算の結果から、想定しているサービスの場合には、どちらの方がお得か?ということも少しは見えるかもしれません。

衛星の信頼性をどこまで高めるか、異常に対する保証をどうするか、他の企業との連携をどうするか、どのように採算を取れるようにするか。衛星を用いることで簡単に解決できるようになる課題がある一方で、検討しなければならない課題があるのも事実です。

勝利の方程式のようなものが存在しない世界で、どのような構成が王道となるのか、読者の皆さんもぜひ想像してみてはいかがでしょうか。

今週の週刊宇宙ビジネスニュース

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参考

Intelsat-29e declared a total loss

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