宇宙資源採掘活動に関するビルディング・ブロックを発表【週刊宇宙ビジネスニュース 11/11~11/17】
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ハーグWGが宇宙資源採掘活動に関するビルディング・ブロックを発表
今月12日、ハーグ宇宙資源ガバナンスワーキンググループ(The Hague Space Resources Governance Working Group 以下、ハーグWG)は宇宙資源活動に関する国際的な枠組みのあり方を検討するためのビルディング・ブロックを発表しました。
同組織は、ライデン大学航空宇宙法研究所やルクセンブルク大学をはじめとする各国の研究機関や宇宙機関、関連企業等で構成されています。日本からはメンバーとして西村あさひ法律事務所・藤井 康次郎氏と、国際電気通信連合・坂本 光弘氏、オブザーバーとしてはJAXAや学習院大学法学部教授・小塚 壮一郎氏らが参画。また、宇宙資源採掘を目指す日本発のベンチャー企業・ispace社の子会社ispace Europeがメンバーとして参画しました。
今回のビルディング・ブロックは、宇宙資源の利用を可能にするための国際的な法的枠組みの開発において考慮されるべき要素として、宇宙資源の権利や国際的な責任、宇宙資源活動によって生じうる影響とその軽減についてなど20件の項目が記されています。
ハーグHGは2016年に発足したのち、翌年2017年9月にはビルディング・ブロックの草案を発表。その後、寄せられたパブリックコメントの審議を含む議論など、発足から4年を経て今回の採択に至りました。現実味を増す宇宙資源活動のあり方を検討するうえでの大きな拠り所となることでしょう。
ルクセンブルク宇宙庁と国連が資金提供協定を締結
今月13日より2日間にわたって開催されたカンファレンス「NewSpaceEurope」にて、ルクセンブルクの開発協力および人道大臣のポーレットレナート氏と国際連合宇宙局(United Nations Office for Outer Space Affairs 以下、UNOOSA)・局長 シモネッタディピッポ氏が資金提供協定に署名しました。
同協定は、UNOOSAが進める既存の国際宇宙法の遵守強化を含むニュースペースのステークホルダーのための宇宙法プロジェクトをルクセンブルクが国としてサポートするというもの。
今回の協定締結に関して、ルクセンブルクの担当大臣ポーレットレナート氏は、SDGs(持続可能な開発目標)に紐づく169のターゲットのうち40%が宇宙利用から利益を受けることができることを示し、「革新的で将来を見据えたこのプロジェクトは、発展途上国および後発開発途上国にも国際宇宙法に関する議論への参画とニュースペース事業への参入の機会提供を与えることを目指しています」とコメントしました。
関連企業の誘致や宇宙資源に関する法整備等を進めるルクセンブルクの勢いに乗って、UNOOSAの活動も促進されることが期待されます。
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参考文献
UNOOSA AND LUXEMBOURG LAUNCH NEW “SPACE LAW FOR NEW SPACE ACTORS” PROJECT
Final Building Blocks Released by Hague International Space Resources Governance Working Group