宙畑 Sorabatake

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「data(データ)」の語源、知っていますか? 第5回「今週のSPACE ENGLISH」

「今週のSPACENEWS」で紹介する英単語も今回で50個目となりました。お金やデータのお話などビジネス色がポツポツと出てきました。

英語が苦手で最新の宇宙ビジネス情報をキャッチするのに四苦八苦。そんな宙畑編集部員T.N.と一緒に、宇宙ビジネスで使用される英単語を学ぶ本連載。

今週は4/22~4/28の7日間で『SpaceNews』内で最も頻繁に出現した英単語(※これまでに同連載でご紹介した英単語を除く)を10個ご紹介します。

それではさっそく、Let’s 今週のSPACE ENGLISH!!

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集計対象記事:『SpaceNews』で該当期間に公開された記事のすべて
集計期間:2018/4/22~2018/4/28
※()内の数字は該当期間の登場回数です

1.data(116)

データ。日本語でもよく使われる単語のため、解説の必要はないと思われるが、辞書的な意味では「①コンピューターで処理されるデジタル情報」「②物事の推論の基礎となる事実」という意味がある。語源はラテン語で「datum(与えられたもの)」である。

宇宙ビジネスに限らない話だが、様々なところで「データ!データ!データ!が重要だ」という話を耳にする。ただ、耳にタコができるほど聞き飽きた話かもしれないが、「データ」は事実に過ぎない。

重要なのは「(自らのビジネスに)どう活用したいから、どのようなデータが欲しい、だからこういう衛星が必要」の設計である。

2.intelligence(67)

(意思決定をするために必要な)情報。『SpaceNews』においては第2回で登場した「defense」と並んで登場することが多く、その際の意味は諜報活動など、重要な事項に属する「情報」という意味を持つ。

アメリカ国防総省の諜報機関の「DIA(アメリカ国防情報局)」は「Defense Intelligence Agency」の頭文字をとったものである。

また、日本語では「インテリジェンスに富む」「インテリジェンスに欠ける」など、「知能」「知識」「知性」と言う意味での使い方をすることをしばしば耳にするが、「知能」という使い方も登場することはもちろんあり、「AI(人工知能)」は「Artificial Intelligence」の頭文字をとったものである。

 

3.million(55)

100万。第1回の「year」のところで、宇宙ビジネスの成功までには「時間」がかかると述べたが、同じように宇宙ビジネスの成功までには多くの「お金」も必要だ。そこで、「$540 million = 540ドル x 100万 = 5億4,000万ドル = 約550億円」というように、大きなお金を表す際に「million」という英単語が頻出する。

また、「Million US Dollar」の略で、「MUSD」という記述もよく見かける。

 

4.services(41)

「service」の複数形。日本における通常の会話でも「サービス」という言葉を用いることがあるが、辞書的には「(他人に対する)奉仕、役に立つこと、有用……」といった意味がある。

ビジネスで「お金を得る」ためには「(誰かの)役に立つこと」をまず先に考えなければならないが、宇宙ビジネスを考えるにあたっては「宇宙空間のみで役に立てること」には限りがある。

だからこそ、宇宙機器産業以外の産業に目を向け、「他産業の課題を宇宙ビジネスで解決できることはないか」と他産業の見識を深めることが重要である。

 

5.percent(39)

パーセント。百分。これは日本における会話でもよく使われるため、意味については解説を割愛する。

使用例としては「up 136 percent year over year = 前年比で136%増」があり、このケースで●倍という言い方をすると「前年比2.36倍」になる。基本的には収益レポートの話の際によく見かける英単語だ。

ちなみに「EBITDA(イービットディーエー)」というアルファベットの羅列を収益レポートの話でみかけるが、これば「Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortization」の頭文字をとったもので、利払い前・税引き前・減価償却前利益のこと。会計上の利益である純利益に関係する税率や、借入金利、減価償却費の扱いは国によって異なるため、国際的な企業価値を比較したり評価したりする場合、「EBITDA」が有用な指標として利用されている。

 

6.agency(39)

政府機関、局。JAXAの最後のAはまさに「Agency」の頭文字をとったものである。その他、「Agency」の頭文字をとった政府機関は多数あり、今回登場したものだけでも「欧州宇宙機関(ESA)」「アメリカ国家地球空間情報局(NGA)」などがある。

 

7.bill(38)

法案。宇宙ビジネスはまだ発展途上であるために、法律の整備も宇宙ビジネスの発展とともに進める必要がある。そのため、アメリカで「●●法案が通った」というお話も『SpaceNews』では記事になることがしばしばある。

ちなみに、今回話題に上がった法案はリモートセンシング規制の改正と、これまでになかった商用宇宙利用についての認可制度を定めるもので、下院を通過したという内容だった。

なぜ認可制度が必要なのかと言えば、国際宇宙法6条で「条約の当事国は、月その他の天体を含む宇宙空間における自国の活動について、それが政府機関によって行われるか非政府団体によって行われるかを問わず、国際的責任を有し、自国の活動がこの条約に従って行われることを確保する責任を有する(※)」とあり、各国が自国の宇宙空間に置ける活動については責任を持っているからである。

※『宇宙ビジネスのための宇宙法入門 第2版(有斐閣, 小塚 荘一郎, 佐藤 雅彦)』より引用

8.geospatial(38)

地理空間。今回英文解析をした記事の中には4月24日に開催された「2018 GEOINT Symposium」について取り上げられているものが複数あった。「GEOINT」は「Geospatial Intelligence」の略称で、地理空間情報のこと。

また、先に上げたIntelligenceの話とつなげるならば「(意思決定をするために必要な)地理空間情報」である。

「2018 GEOINT Symposium」については、地理空間情報は新鮮であることが非常に重要であり、データを取得するスピードの重要性の話題が上がっていたようだ。

 

9.bridenstine(36)

ジェイムズ・ブライデンスタイン氏。2018年4月23日、NASA発足から60年、初の政治家出身者として就任したNASA長官。トランプ政権発足から15ヶ月間、NASA長官の座は空席状態だったがようやく決まった形だ。ただ、以前宙畑でも紹介した気候変動(地球温暖化)については懐疑的な意見も持っており、地球観測衛星についても優先順位が下がってしまう可能性もある。今後もNASAの方針には注目していきたい。

10.market(35)

市場。広く言うと宇宙ビジネス市場だが、ロケット市場、衛星市場、さらに詳細にSAR衛星市場など、記事によっては市場のレイヤーが違うので、読み進めるときには注意が必要な英単語。

また、「first-to-market advantage = 市場初の優位性」と言った言葉も、まだまだ開拓する余地のある宇宙ビジネスだからこそよく見かける表現なのかもしれない。

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以上、第5回「今週のSPACE ENGLISH」いかがだったでしょうか。

次回の「今週のSPACE ENGLISH」は5/13(日)に4/29(日)~5/5(土)に公開された「SpaceNews」記事の最頻出英単語TOP10(これまでに紹介した英単語は除外)をご紹介します。

これまで英語が苦手でなかなか海外の宇宙ニュースを敬遠していたという方も、「今週のSPACE ENGLISH」で少しずつ宇宙英単語を学んで海外の宇宙ニュースにチャレンジしてみましょう!

 

執筆者:トウモロコシ担当T.N.
※これまでの「今週のSPACEENGLISH」はこちら

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