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OneWeb 破産申請検討が報道されるも打ち上げは続行【週刊宇宙ビジネスニュース 3/16〜3/22】

一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新!

OneWeb 破産申請を検討が報道されるも打ち上げは続行

3月20日、OneWeb(ワンウェブ)社が破産申請を検討している旨が一部のメディアで報道されました。

OneWebは、低軌道衛星コンステレーションを用いた通信サービスの提供を目指す、米国のベンチャー企業。同社は創設以来、ソフトバンクグループやエアバス、欧米の通信企業・クアルコムらからおよそ3600億円を調達しています。

SNSでは驚きのコメントが散見されましたが、報道があった翌日21日に新たに34機の衛星の打ち上げに成功。今回の打ち上げにより、現在宇宙空間にあるOneWebの衛星は74機となりました。

同社は2020年後半に地域向け、2021年にはグローバルでの商用サービスの提供開始を計画しており、Arianespace社との打ち上げ契約を締結しています。

地球観測衛星であれば、衛星コンステレーションが構築されるまでの間でも、衛星画像の販売等のサービスを提供することができますが、通信衛星の場合はコンステレーションの構築途中でサービスを開始するのは難しいと言えるのではないでしょうか。

SpaceXの「StarLink」をはじめとする競合企業との競争に晒されながらも、衛星コンステレーションの構築に向けて順調に動いているように見えていたOneWebのニュースに、衛星通信事業の一筋縄ではいかない難しさを感じさせられます。

Lynk Globalが低軌道衛星から地上の携帯への通信に成功

一方、米国 バージニア州のスタートアップ企業・Lynk Globalが低軌道衛星から地上の携帯への接続に成功したことを発表しました。

同社は衛星を利用して、世界中の50億台の携帯電話にブロードバンドサービスを提供することを目指しています。

NASAの商用宇宙利用部門でシニアアドバイザーを務めていた経験を持つCEOのチャールズ・ミラー(Charles Miller)氏は、「2020年末までに数百万人に、世界初のソリューションを提供することができると確信しています」とコメントしています。

テストの様子

Rocket Labが衛星メーカー・Sinclair Interplanetaryを買収

3月16日に、小型ロケットの打ち上げサービスを提供しているRocket Labは、大手衛星メーカーのSinclair Interplanetaryを買収する合意に達したことを発表しました。金額の条件などは明らかになっていません。

Sinclair Interplanetaryは2001年にカナダ・トロントを拠点に設立。これまでにRocket Labが打ち上げたAstroDigitalやBlackSkyを含む90機以上の衛星に、Sinclair Interplanetaryのハードウェアが使用されてきました。

Rocket Labの創設者兼CEOであるペーター・ベック(Peter Beck)は、「両社の経験とスキルを組み合せ、Rocket Labは信頼性と柔軟性の高い衛星および打ち上げソリューションを提供します」とコメントしています。

5月後半にクルードラゴンの有人飛行テストを実施

3月18日、NASAは5月後半にSpaceXのクルードラゴン宇宙船に宇宙飛行士2名を搭乗させる有人飛行テストを実施する計画を発表しました。

搭乗するのは、NASAの宇宙飛行士であるロバート・ベンケン(Robert Behnken)氏とダグラス・ハーレイ(Douglas Hurley)氏。

ロバート・ベンケン氏(左)とダグラス・ハーレイ氏(右) Credit : NASA

2人はともに、2000年に宇宙飛行士として選出され、それぞれ2度のフライトを経験しています。今回のテストフライトでは、ISSに到達し数日間滞在したのちに、地球へ帰還するというものです。

また、新型コロナウイルスの感染拡大がNASAにどのような影響を及ぼすのかにも懸念が生じます。ケネディ宇宙センターでは、一部の作業を停止させたり、テレワークを実施したりするなどの対応を行なっています。

また、4月9日には、ロスコスモスによるNASAの宇宙飛行士を含む3名が搭乗するソユーズの打ち上げが実施される予定です。訓練の実施に影響はなく、宇宙飛行士を打ち上げの2週間前より隔離するなどの対策をとることが発表されており、クルードラゴン宇宙船のテストフライトに関しても同様の措置が取られるのではないかと考えられます。

クルードラゴンでのテストフライトは、2011年にスペースシャトルが退役して以来9年ぶりの米国の宇宙船での有人飛行となります。暗い話題が続く中、クルードラゴンのテストが成功すれば米国だけではなく、世界中を活気づけるニュースとなるでしょう。

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参考

OneWeb successfully launches 34 more satellites into orbit in second launch of 2020

Soyuz launches 34 OneWeb satellites

Lynk claims successful test of satellite-to-cell-phone communications, cites potential public-safety value

Rocket Lab to Acquire Satellite Hardware Manufacturer Sinclair Interplanetary

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