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衛星の「payload」とロケットの「payload」の違いは? 第19回「今週のSPACE ENGLISH」

第19回「今週のSPACE ENGLISH」では、同じ単語でも文脈によってその意味が変わる「payload」について紹介しています

英語が苦手で最新の宇宙ビジネス情報をキャッチするのに四苦八苦。そんな宙畑編集部員T.N.と一緒に、宇宙ビジネスで使用される英単語を学ぶ本連載。

今週は7/29~8/4の7日間で『SpaceNews』内で最も頻繁に出現した英単語(※これまでに同連載でご紹介した英単語を除く)を10個ご紹介します。

それではさっそく、Let’s 今週のSPACE ENGLISH!!

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集計対象記事:『SpaceNews』で該当期間に公開された記事のすべて
集計期間:2018/7/29~2018/8/4
※()内の数字は該当期間の登場回数です

private (30)

民間の。「private company」で民間企業。

莫大な資金が必要な宇宙開発では、政府主導で進められてきたが、近年では民間主導の動きも見られ始めている。民間が主導することで、コストを低減したり宇宙利用を拡大したりといったことが期待される。

NASAは地球低軌道への打ち上げロケットや宇宙ステーションへの補給機を民間に委託を進め、先週は地球低軌道の有人活動についてパートナーとなる企業が選定されたニュースがあった。
ただし、NASAの監査官による新しいレポートでは、NASAが2025年に国際宇宙ステーションの運用を民間に移管する計画の実現性に疑問が呈されている。

crewed (27)

有人の。uncrewedで、無人の。

宇宙機の設計は、人の有無によって大きく異なる。生命維持装置や人間が耐えられる振動に抑えるなど観点は様々。何を機械に任せて、何を人に任せるのか、昨今のAIが人間の仕事を奪うのかという話に似ており、議論は尽きない。

今週はボーイングとスペースXが進める宇宙ステーションへの宇宙飛行士の往還機のテストフライトに関するニュースが出ていた。

また、NASAはボーイングとスペースXの有人デモ飛行に搭乗する宇宙飛行士の名前を発表している。

schedule (26)

スケジュール。予定する。

何を開発するにもスケジュールは重要だ。遅れることはあっても早まることはほぼないのが世の中の常。国際宇宙ステーションは1992年に完成予定だったが、紆余曲折ありスケジュールが遅れ2011年にようやく完成した。

世界標準となっている、プロジェクトマネージメントの知識体系PMBOKの中でもプロジェクト遂行のための重要な要素と位置づけられている。

article (25)

記事、条約や契約の条項、数あるもののなかの一つ。

今週話題に上がったのは、test articleで試験片としてボーイングの有人宇宙飛行の話と、宇宙条約第6項の話。

宇宙条約とは1967年に発効した宇宙空間における探査など利用の自由を定めた条約。100カ国以上が批准している。6条では月その他の天体を含む宇宙空間における自国の活動について、それが政府機関によって行われるか非政府団体によって行われるかを問わず、自国が責任をとらなければならないということが謳われている。

1967年当初は各国が政府主体で宇宙開発を行っており、政府が責任を負うことに問題はなかったが、近年民間企業が宇宙ビジネスを行う動きが活発になってきており、それに対し国がどのように責任を負うのか、議論になっている。

日本ではこのような動きをうけ、2017年に宇宙活動法と衛星リモセン法を施行している。

参考:月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約

aug (25)

Augustの略称。8月。

boeing (24)

ボーイング。米国の宇宙機メーカー。

一般的には、飛行機メーカーとして知られるボーイングだが、宇宙関係の製造についても、大きなシェアを持っている。静止衛星を始め、火星探査機や有人宇宙機、ロケットなど幅広い。なお、航空機でのライバルはAirbusだが、宇宙業界でもAirbusがライバル。

 

flights (24)

飛行。
人の乗る宇宙機で用いられることが多い。前述のcrewedと合わせて、crewed flightなど。

現在国際宇宙ステーションへの唯一の人を輸送手段であるソユーズ宇宙船にはフライトエンジニアという資格がある。コマンダー(ロシア人が担当)を補佐するクルーで、ソユーズ宇宙船のシステム運用やスラスタ制御を担当する。日本の宇宙飛行士でもフライトエンジニアの資格を有している人がいる。

pentagon (24)

五角形。転じて、五角形の建物をしているアメリカの国防総省を指す。

宇宙ビジネスは、国家の安全保障と密接に関わる分野であり、最近ではトランプ大統領が、宇宙軍の創設を指示して話題となった。

 

payloads (22)

pay+loadで、お金を払って乗せてもらう荷物。

ロケットにとってのペイロードは衛星であり、衛星にとってのペイロードは観測機器などのミッション機器なので、英語でニュースを読む際には注意が必要。

“hosted payloads”は自分の衛星の余剰スペースを、他の企業に使ってもらうサービスで、今はやりのシェアリングエコノミーの一種。

ホスト側は余剰スペースでお金が稼げ、借りる側は衛星全体を作らずとも自分のミッションを打ち上げることができるというメリットがある。

maxar (21)

宇宙業界の巨大企業Maxar Technologies。

商用衛星世界シェアNo.1の米国Space Systems Loral(SSL)、宇宙ステーションのロボットアームやSAR衛星群などに強みを持つカナダのMDA、商用No.1性能の光学衛星を有し商用画像販売世界No.1のDigital Globe、画像解析技術を有するRadiant SolutionsがM&Aを繰り返して誕生した。地球観測衛星に関する商流すべてを網羅している。

従業員の数は6,500人。対する日本の宇宙開発従事者数は9,000人と言われており、企業の巨大さがうかがえる。

今週Telesat LEOという通信衛星のコンステレーションの設計企業に選定された。117機の衛星を打ち上げ2022年にサービスを開始させる。別のニュースでSSLはこれまでの主力だった静止衛星市場から低軌道(LEO)市場へ軸足を移すことが発表されていた。

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以上、第19回「今週のSPACE ENGLISH」いかがだったでしょうか。

次回の「今週のSPACE ENGLISH」は8/19(日)に8/5(日)~8/11(土)に公開された「SpaceNews」記事の最頻出英単語TOP10(これまでに紹介した英単語は除外)をご紹介します。

これまで英語が苦手でなかなか海外の宇宙ニュースを敬遠していたという方も、「今週のSPACE ENGLISH」で少しずつ宇宙英単語を学んで海外の宇宙ニュースにチャレンジしてみましょう!

 

執筆:ルッコラ担当

※これまでの「今週のSPACEENGLISH」はこちら

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