宙畑 Sorabatake

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中国の宇宙資源ベンチャー Origin Spaceが望遠鏡開発に向けて衛星メーカーと契約【週刊宇宙ビジネスニュース 4/21〜4/27】

一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新!

Origin Spaceが光学望遠鏡開発に向けて衛星メーカーと契約

中国・深セン発のスタートアップ企業Origin Space(オリジン・スペース)が光学宇宙望遠鏡の開発に向けて、DFH Satelliteと契約を締結したことを発表しました。

Origin Spaceは地球近傍の小惑星の鉱物資源開発を目指し2017年に設立されました。以来、中国のベンチャーキャピタル Matrix Partners ChinaとLinear Ventureよりエンジェルラウンドで700万ドルを調達しています。

また、国内外の大学や研究機関と協力することで、研究開発費を削減し、複数の衛星開発プロジェクトを並行して実施していることが同社の強みと言えるでしょう。

さらに、従業員の経歴も多岐にわたります。CEO兼共同創業者のMeng Su氏は北京大学、ハーバード大学、MITで天文学を研究したのちに香港大学で准教授を務めていました。COO兼共同創業者のTianhong Yu氏はデータサイエンティストでゲーム会社を設立した経験があります。

DFH Satelliteは、中国航天科技集団公司(CASC)傘下にあり、衛星の研究開発や設計、小型衛星の軌道上サービスの提供を行っています。

宇宙望遠鏡や契約についての詳細は明らかになっていませんが、Space Newsによると打ち上げは2021年を予定しているとのことです。

同じく宇宙資源開発分野で頭角を現していたDeep Space IndustriesやPlanetary Resourcesは相次いで他社に買収されたこともあり、ベンチャー企業による宇宙資源開発は現時点ではハードルが高いように見受けられる中でのOrigin Spaceの挑戦に期待が集まるのではないでしょうか。

また、中国では宇宙資源の利用に関する法制度は整備が進んでいません。今後どのようなスタンスを取っていくのかにも注目したいと思います。

中国初の火星探査ミッションは「天問」。年内に打ち上げへ

4月24日、中国国家航天局(CNSA)は、惑星探査ミッションの総称を「天問 (Tianwen)」火星探査ミッションを「天問1号(Tianwen-1)」と名付けたことを発表しました。

Credit : CNSA

国内初の衛星「東方紅1号」は1970年4月24日に打ち上げられたことから、中国では毎年4月24日は「宇宙の日」と制定され、以来重要な発表がされたり、関連のイベントが開催されたりしています。今回の発表は東方紅1号の打ち上げ50周年を記念するものです。

探査機は7月に長征5号によって打ち上げられ、2021年2月に火星に到達する見込みです。

さらに、ドバイの宇宙機関MBRSC(The Mohammed bin Rashid Space Centre)は三菱重工に火星探査機の打ち上げ輸送サービスを発注していて、今年7〜8月頃にH-ⅡAロケットに搭載されて打ち上げられる予定です。

これまでに、米国、ロシア、ESA、インドが火星軌道への投入に成功しており、中国とドバイがミッションを成功させればそれぞれ世界で5・6番目の到達国となります。

人工流れ星、動作不良で年内の実現断念。23年に延期へ

4月20日、世界初の人工流れ星ビジネスを目指す、国内のベンチャー企業ALE(エール)は、2019年12月に打ち上げた衛星に不具合があり、年内の実現の実現は難しいと判断したことを発表しました。

今回利用する計画であった2号機は、2019年12月にRocket Labのエレクトロンロケットに搭載されて打ち上げられました。
プレスリリースによると、流星源の装填動作用の部品が正常に動作していないため、2号機では人工流れ星の実現が難しく、3号機を2022年後半に打ち上げ、2023年に商用運用開始を目指すとのことです。

ALEは、人工衛星から流れ星の素となる粒(流星源)を正確に放出し、大気圏へ突入させることで、人工流れ星を再現します Credit : ALE

また、初号機は2019年1月に革新的衛星技術実証1号機の衛星の一つとして、JAXAのイプシロンロケットに搭載されました。同機は今年2月に軌道降下ミッションを開始。
2月の発表時点では、およそ1年間で人工流れ星の放出を計画している高度400kmに到達し、技術検証を行った後に人工流れ星の放出運用を開始する見込みでしたが、その後同機の状況については明らかになっていません。

初号機と2号機で得た知見やノウハウを活かし、3号機ではぜひ人工流れ星の実現を達成してほしいと思います。

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参考

Chinese space resource utilization firm Origin Space signs deal for space telescope

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