宙畑 Sorabatake

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米国が月の資源開発に関する国際協定を構想。日本とも協議開始の予定か【週刊宇宙ビジネスニュース 5/4〜5/10】

一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新!

友好国間での月資源開発協定、日本の姿勢はいかに

米国政府は月の資源開発に関する国際協定「アルテミス協定(Artemis Accords)」の締結を目指し、草案の作成を進めていることをロイター通信が報道しました。

Credit : NASA

有人月面着陸や基地建設を計画するアルテミス計画にちなんで名付けられたもので、月面で採掘された資源の所有に関する枠組みや、国や企業から干渉を防ぐ「安全区域」の用意などが内容として盛り込まれているとのことです。

米国政府は、今後数週間で日本、カナダ、ヨーロッパ、UAEと協定について正式に交渉を開始する方針。ロシアや中国は現時点では対象とされておらず、米国主導で友好国と枠組みを構築したい考えなのではないでしょうか。

日本においてもアルテミス計画は、経済活動や外交・安全保障にも影響を与える一大プロジェクト。米国からの提案に対し、日本がどのようなスタンスを取っていくのか注目が集まるのではないでしょうか。

アストロスケールとノースアンブリア大学教授が共同研究

5月4日、スペースデブリの除去サービスの開発に取り組むベンチャー企業・アストロスケールが、英国のノースアンブリア大学(Northumbria University)のChristopher Newman(クリストファー・ニューマン)教授と、寿命を終えた衛星の除去に関する法的課題について、共同研究を行う覚書きを締結したことを発表しました。

アストロスケールでHead of Business Analysisを務めるHarriet Brettle(ハリエット・ブリトル)氏は、「(ニューマン教授との)コラボレーションを通して、衛星業界をより持続可能な未来へと先導できる革新的な法的枠組みや方針、ビジネスモデルを提言することを目指しています」とコメントしています。

ニューマン教授は、国際宇宙法学会(International Institute of Space Law 通称、IISL)のメンバーで、これまでに衛星の扱いや宇宙環境に関する研究を行っています。また、教育や講演活動にも熱心な一面もあるようです。


ニューマン教授が登壇したTED

今回の研究では、石油や原子力分野における環境責任に関する法制度を参考に、運用終了後の衛星の取り扱いを検討する方針。アストロスケールとニューマン教授によるワーキングペーパーは、今年後半に公開される予定です。

Virgin GalacticとNASAが提携。高速機の開発へ

5月5日、宇宙旅行サービスの提供を目指すVirgin Galactic(ヴァージン・ギャランティック)社はNASAと、地球上で2点間の移動が可能な高速機の開発に向けて、新たに契約を締結したことを発表しました。

NASAのAeronautics Advanced Air Vehicles Programでディレクターを務めるJames Kenyon(ジェームズ・ケニヨン)氏は「民間航空業界向けの新しいソリューションの可能性を模索しています」とコメントしています。

機体の詳細は未発表ですが、超音速旅客機・コンコルドの最高速度が2179kmなのに対して、Virgin GalacticのSpaceShip Twoは時速4000kmで、高速機を開発するポテンシャルは十分にあると言えるのではないでしょうか。

また、Virgin Galacticは5月1日に、ニューメキシコのSpaceport Americaでの飛行試験成功を発表したばかりです。新型コロナウイルス(COVIT-19)感染症のパンデミックにより勢いを落とす企業も多い中、次々と前向きなプレスリリースを発表する同社への期待が高まります。

今週の宇宙ニュース

参考

Exclusive: Trump administration drafting 'Artemis Accords' pact for moon mining – sources

Astroscale Signs MOU With Northumbria University to Advance Standardization of End-of-Life Practices in the Satellite Industry

Prof Christopher Newman

Virgin Galactic enters Space Act Agreement with NASA

Virgin Galactic is partnering with NASA to develop supersonic point-to-point air travel

Concorde