宙畑 Sorabatake

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NASA・アルテミス計画、有人月面着陸と基地建設の計画が明らかに【週刊宇宙ビジネスニュース 5/20~5/26】

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米国・NASAは先週、アルテミス計画の詳細なスケジュールを明らかにしました。
2024年までに再び月面有人着陸を目指す同計画については、NASAが同計画で使用する月着陸船の開発をSpaceX社やBlue Origin社をはじめとする米国企業11社に打診したことを先週20日の週刊宇宙ニュースでも取り上げた通り、NASAが力を注ぐ一大プロジェクトとして注目を集めています。

有人月面着陸と月面基地建設のスケジュール Credit : NASA

今回公開されたスケジュールでは、2024年までに有人月面着陸を実施すること、翌年以降も毎年続けて行い、2028年までに月面基地の建設を開始することが説明されています。宇宙飛行士の輸送や燃料補給を目的とした輸送機の打ち上げをNASAと民間企業で合わせて37機行う計画も明らかになりました。

さらにNASAは23日に、月面を周回する宇宙ステーション「GateWay」の最初の建設にあたる、電気推進装置の開発をMaxar Technologies社に委託したことを発表しました。同社は、通信衛星、衛星データサービス、宇宙ロボティクスの研究開発等を手がける米国企業。低コストの電気推進装置の開発に成功したことが、今回の委託企業への選出につながったとされています。

NASA・長官のジム・ブリデンスタイン氏は、このアルテミス計画に頭金として16億ドルを求めています。また、NASAの年間予算が200億ドルであることから、同計画の年間予算は60〜80億ドルになるだろうと見込まれています。
財源の確保は、同計画における難関の一つであり、各所にはそのシワ寄せが。なかでも、政府が支給している、米国最大の「ペル奨学金」は、2020年度予算案から36億ドルの削減が求められ、批判的な声もあがっています。

そのような状況の中で、不安視されているのは、米国の政治情勢です。来年2020年に予定されている米国の大統領選で政権が変わった場合、予算の調達は難航する可能性があげられます。
一方で、運用に110億ドルがかかっていると言われている、国際宇宙ステーションが、主導国の米国の政権が代わりながらも長期の運用を実現しているのは、ロシアや日本、ヨーロッパ諸国などの協力体制があったことも重要なポイントです。

今回のアルテミス計画では、官民共同で月面着陸船を開発するプロジェクトはあるものの、現在のところその全ては米国企業です。同計画の進行維持には、国際協力がカギとなる可能性も考えられるのではないでしょうか。

参考

NASA’s full Artemis plan revealed: 37 launches and a lunar outpost
Maxar Selected to Build, Fly First Element of NASA’s Lunar Gateway
Trump’s bid to dip into Pell Grant reserves to fund NASA faces uphill battle
How much does it cost to maintain ISS per year?

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