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いよいよ迫る米国からの有人飛行・丸紅が米国宇宙ベンチャーと資本提携【週刊宇宙ビジネスニュース 5/18〜5/24】

一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新!

目前に迫るSpaceXによる有人打ち上げ

9年ぶりのアメリカからの有人打ち上げが目前に迫っています。
SpaceXCrew Dragon Demo-2による有人試験飛行は、5月27日の予定です。

今のところ不具合などの報告はあがってきておらず、準備は順調のようです。5月22日に実施されたflight readiness review(FRR)において、NASAがすべてのシステムとすべてのリスクの徹底的なレビューを行ったところ、今回の有人試験飛行の決行をNASAは承認しました。

39Aの打ち上げパッドに設置されるFalcon9とCrew Dragon
Credit : NASA/Bill Ingalls

5月23日には、ロケットに燃料は充填しないが今回搭乗するBob Behnken氏とDoug Hurley氏にフライトスーツに着替えてもらい、実際にCrew Dragonに搭乗する「ドライドレスリハーサル」を実施しました。

2人の宇宙飛行士を運ぶ運搬車は、NASAのロゴが入ったテスラのモデルXです。

NASA仕様のモデルXに乗り込む2人の宇宙飛行士 Credit : Spaceflight Now

実際にCrew Dragonに2名の宇宙飛行士が搭乗した様子を見ると、2名用の宇宙船としては船内は広々としている印象です。また、過去のアポロ計画やスペースシャトル計画の時は打ち上げスタッフは白色の作業服を着用していましたが、SpaceXのスタッフは全身黒色の作業服に身を包んでいるのが新鮮ですね。

また、船内には宇宙飛行士の前に大型スクリーンが設置されるようです。タッチパネルなのかスクリーンだけなのかは定かではありませんが、近未来SFのような船内となっています。

搭乗準備中の2名の宇宙飛行士 Credit : Spaceflight Now
Crew Dragon船内の様子 Credit : SpaceX

しかし、アメリカ空軍が出した天気予報では、5月27日の打ち上げは60%の確率で不可となるようです。当日の天気にも注目です。

世界中が見守る打ち上げは、5月27日午後4:33(日本時間:5月28日 午前5:33)の予定です。アメリカ本土からの9年ぶりの有人打ち上げ、そして、民間企業のロケットと宇宙船で初めてとなる有人打ち上げ。打ち上げの成功を祈りたいと思います。

丸紅が小型衛星スラスタを開発するPhase Fourと資本提携

小型衛星に搭載する電気推進小型スラスタ開発・製造を手がける宇宙ベンチャーのPhase Fourが丸紅と資本提携をし、同社の小型スラスタ”Maxwell”の日本向け独占販売代理店契約・販売代理店契約を締結したことを発表しました。

Phase Fourは2015年にロサンゼルスで創業した宇宙ベンチャーで、高周波電子技術を用いた小型スラスタを開発しています。同社のMaxwellは、スラスタの設計の大幅な簡略化及び、製造期間の短縮・高性能・高信頼性を実現しています。

Maxwellの外観 Credit : Phase Four

丸紅は、小型衛星の打上・運用に必要なあらゆる機能を供給するソリューションプロバイダーを目指しています。丸紅はPhase FourのMaxwell の供給を通じて、小型衛星を活用した様々な事業の展開を促進していくと見られています。

総合商社として民間宇宙産業の底上げに貢献している丸紅の動向にも引き続き注目です。

Northrop Grummanが米軍から衛星開発の資金を追加獲得

Northrop Grummanが、ミサイルの警告を発する、極軌道上に投入予定の人工衛星の追加開発資金をアメリカ空軍から獲得したことを発表しました。獲得資金の総額は23億7000万ドルと見られています。

アメリカ空軍は2018年に、次世代の計画早期警戒衛星OPIR(Overhead Persistent Infrared)開発の主契約社として、Northrop GrummanとLockheed Martinを選んでいます。Northrop Grummanは2018年8月に4,700万ドルの契約を獲得し、衛星の設計に着手していました。今回の追加資金は、衛星の開発を加速化させる狙いのようです。

米宇宙軍の宇宙・ミサイルシステムセンターは、2025年に次世代OPIR(Overhead Persistent Infrared)衛星を打ち上げ、2029年までに5つの衛星コンステレーションを完成させることを目標としています。このコンステレーションは、米国及び同盟国に対する弾道ミサイル攻撃の初期警告を提供することを目的としています。

今後推進していくと見られるアメリカ宇宙軍の充実に、既存の宇宙企業がどう関わっていくのか注目です。

赤外線ミサイル警告衛星のイメージ図 Credit : U.S. Air Force

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SpaceX Demo-2 commercial crew mission passes flight readiness review

Photos: Falcon 9 and Crew Dragon roll out to pad 39A

Video: Dragon astronauts practice for launch day

Phase Four Partners with Marubeni Corporation

米国 Phase Four 社との資本提携及び代理店契約締結について

Northrop Grumman gets $2.3 billion Space Force contract to develop missile-warning satellites