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ロケット産業の活性化に向け、アメリカ空軍が複数社に大規模な投資を発表。競争激化へ【週刊宇宙ビジネスニュース10/8~10/14】

毎週宇宙ビジネスの気になる話題をピックアップする本連載!今週は2018/10/1~10/7までの話題です。

ロケット産業の活性化に向け、アメリカ空軍が複数社に大規模な投資を発表。競争激化へ【週刊宇宙ビジネスニュース10/8~10/14】

一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新!

今週のキーワードは宇宙産業の活性化。企業同士が競い合うことによって、宇宙産業が盛り上がることが期待されています。

1.アメリカ空軍が大規模な投資を発表。競争激化による宇宙産業発展を目指す

Air Force awards launch vehicle development contracts to Blue Origin, Northrop Grumman, ULA

10月10日に、アメリカ空軍は、宇宙関連会社の3社(Blue Origin、Northrop Grumman、ULA)と約2000万ドルの契約を結んだことを発表しました。
3社に競争させることで、現行のロケットを更に発展させることを目的とされています。
アメリカ空軍は2024年までに打ち上げることを求めており、Blue Originには500万ドル、Northrop Grummanには792万ドル、ULAには967万ドルを今回は投資することを明らかにしました。

アメリカ空軍は2020年に再度、企業選定を予定しており、この際には今回選定されたところ以外の企業も含めて、2社へ追加投資するとのことです。

この2回目での参入をささやかれているのが、初の月への民間宇宙飛行の実現に向け日本でも話題になっているSpaceXです。
アメリカ空軍のウィル・ローパー氏も今回選定されていないspaceXについても、選ばれる可能性はあるとコメントしているものの、どのようになるかは2020年になってみるまで分かりません。

大型ロケットの話題が多い週ではありましたが、小型ロケットを開発するロケットラボも先日に工場を公開しました。
インタビューには写真も多く、読みやすいので合わせてぜひご覧ください。
同社は毎週のロケット打ち上げを目指しており、写真からはそれが実現しそうな様子が見て取れます。
アメリカ空軍が打ち上げるロケットは、低コスト化を目指すロケットであることから、打ち上げる衛星によってはこのような小型ロケットが利用される場合もあるのでしょうか。

このような取り組みの目的は、各社に競争させることで技術的な発展を促し、宇宙産業の基盤を成熟させることにあります。
アメリカ空軍が求める競争が激化する中で、どのような新しいロケットが生まれるのか注目していきたいところですね。

2.アストロスケールとSSTLが共同で開発。ELSA-d打ち上げ実現へ

SSTL and ASTROSCALE team up for Orbital Debris Removal missions

この1週間でも、国内外含めて多くの企業が衛星打ち上げ計画を発表しました。

日本発のベンチャー企業であるアストロスケールは回収を行う衛星である「ELSA-d」を2020年を目途に打ち上げる計画を表明しました。

チェイサー外観 Credit : ASTROSCALE
ターゲット外観 Credit : SSTL

現在、宇宙空間には、宇宙ゴミと呼ばれる人工物体(デブリ)の増加が一つの問題となっています。
このデブリを回収するための基礎技術を実証することがこの「ELSA-d」のミッションです。

ELSA-dは、チェイサーとターゲットという二つの部位から構成されます。
チェイサーをアストロスケールが、ターゲットをSSTLがそれぞれ開発しています。
チェイサーは物体を光学的に観測し、接近してドッキングプレートによって捕獲する機能を持っています。

ターゲットにはマーカがついており、チェイサーが接近する様子を観察する機能があるようです。
ターゲットはドッキングプレートに接続しており、このドッキングプレートによって、チェイサーがターゲットの状態をする仕組みになっています。
デブリを確保して、大気圏に突入し燃え尽きるという計画で開発を進めています。

さらに、2016年にハイパースペクトルカメラによるデータをアメリカ政府や商業的な顧客に提供することを認可されたHyperSat LLC.は、2020年に高分解能ハイパースペクトル画像を撮影できる観測衛星を打ち上げる計画を表明しました。
この打ち上げに関し、既に8500万ドルの投資額を確保したことも発表しています。

開発中の衛星は、重さ200~300Kgほど、500~600Kmの低軌道に投入される予定です。
ハイパースペクトルカメラを搭載した衛星打ち上げについては、HyperSatだけでなく、Satellogic、Cosine、Planetary Resources、NorStar Space DataやHypSpecIQといった多くの企業でも計画されており、 競争が激化していることが背景として上げられます。
HyperSatは、コンピューター技術の発達によって、データに軽量化が進んでいる今、高分解度ハイパースペクトル画像は益々身近なものとして需要が高まっていくとが考えています。

今後も多くの衛星が打ち上げられていく予定です。
その中には、従来の衛星とは少々異なる、ELSA-dやHyperSatのような新しい技術のものも含まれています。
地上の民生業界でどのような技術がトレンドになっているのか、宇宙業界と比べながら追っていくと、次にどのような技術が流行しそうか、読めるかもしれません。

3.衛星でとらえるタンカー衝突。衛星情報がさらに身近なものに

Mediterranean slick
今月8日、地中海にあるコルシカ島沖で2隻のタンカーの衝突により20キロメートルにわたって石油が抽出していることが分かりました。

下の画像はこの事故現場をSAR衛星でとらえたものです。

Credit : contains modified Copernicus Sentinel data (2018), processed by ESA

SAR衛星は、合成開口レーダーという電波を利用したセンサーを搭載した人工衛星です。
衛星から能動的に発した電波が観測地点から跳ね返ってきたものを観測することで観測します。
反射特性が異なると異なった様相で見えるため、画像で石油と海とで色の違いがみられます。
広範囲にわたる撮影も可能のため、今回のような状況に適した写真となりました。
またSAR衛星では、雲がかかっていたり、夜でも自ら電波を発して観測しているため、地上の状況を認識できるのも特徴の一つと言えます。
そのため、SAR衛星はこのような緊急時に非常に有用です。

一方こちらはDove衛星が撮影した船の衝突の様子です。

planetのTwitterより Credit : planet

planetのTwitterより

 

この衛星は、電波ではなく可視光を利用して画像を取るため、このようにはっきりとした画像が撮れることができます。
今回の貨物船衝突による油流出についてはこちらの記事に詳細をまとめていますので、興味のある方はご覧ください。

各画像にこのような特徴がある中で、衛星画像の解析技術も学習データの蓄積が進んでいることで、かなり発展しています。
実際に、画像解析系ベンチャーへの投資も増加の一途をたどっています。

VC investment in Space Data Analytics Startups Credit : 2018Birdi LTD.All rights reserved

衛星情報が蓄積したのちにどのような技術発展があり、私たちの生活がどのように変わるのか考えてみるのはどうでしょうか。

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