宙畑 Sorabatake

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アストロスケール、シリーズD累計100億円超の投資獲得【週刊宇宙ビジネスニュース10/29~11/4】

毎週宇宙ビジネスの気になる話題をピックアップする本連載! 今週は10/29~11/4までの話題です。

一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新!

今週のキーワードは新規技術。ベンチャーの話題が多くありました。

1.アストロスケールがシリーズDで50億円超の追加投資

Astroscale Secures Series D Round Funding to Clean Low Earth Orbit, Bringing Total Capital Raised to US $102 Million

運用を終えた衛星やロケットなどの部品(デブリ)を回収することで、軌道上の宇宙ゴミを減らそうとしているアストロスケールが、シリーズDで約50億円の追加投資を受けました。累計総額で100億円超の資金調達となります。
投資額の大きさから、デブリ問題への関心が高まっていることが伺えます。
投資元についてはcrunchbaseなどで確認可能です。

シンガポール及び日本に拠点を持つ同社ですが、昨年のイギリスへの子会社設立に続き、来年にはアメリカに拠点を設ける予定だそうです。地球の温暖化問題のように、一種の環境問題であるデブリ問題解決には、世界各国の協力が必要です。
衛星業界を牽引しているアメリカとイギリスに拠点ができることは、各国のデブリ問題取り組み強化に向けて、大きく後押しすることになるでしょう。

私たちが宇宙へ安心して旅行するためには、デブリ問題の解決が不可欠です。例えば、鉄砲玉が飛び交うところを旅行するのでは、楽しめるはずの旅行を楽しめなくなりますよね?デブリ問題というのは、今は目に見えないために意識しにくいですが、宇宙開発促進に向けて、非常に大切な課題なのです。

現状、デブリ問題解決を牽引している国はまだなく、また、デブリ回収技術も確立された手段はありません。そのため、日本が主導、というよりは日本が世界各国を巻き込みながら、リーダーシップを発揮できる数少ない分野であると言えます。
そのためにも、2020年ごろに打ち上げを目指しているELSA-dのミッション成功は不可欠と言えます。今後も動向を注視していきましょう。

参考情報
以下の企業の方々より投資を受けているようです。
• SBI AI&Blockchain 投資事業有限責任組合
• 株式会社 INCJ
• 株式会社エースタート
• 株式会社コーエーテクモキャピタル
• 株式会社ジャフコ
• ジャフコ SV4 共有投資事業有限責任組合
• みずほ成長支援第3号投資事業有限責任組合
• 三菱地所株式会社
SMBC ベンチャーキャピタル 4 号投資事業有限責任組合

2.平面アンテナメーカのCEOが交代へ

Kymeta founder Nathan Kundtz stepping down as CEO – SpaceNews.com

ベンチャー企業の課題の1つとも言えそうですが、創業者であるクンツ氏が、CEOの立場を離れ、技術開発分野に注力することになるそうです。経営のために必要な仕事に追われることで、技術開発ができなくなってしまっていた、というのがあるようです。
経営と技術開発の両立、というのはやはり難しいもののようですね…。

Kymetaに関しては、日本の企業とも関連が深く、スカパーJSATとの実験シャープとの共同研究トヨタとの連携などがあります。
従来のお椀型のアンテナに比べて、平面型のアンテナは使い勝手が良いため、利用分野は広がると考えられます。

アンテナを載せた自動車。平面なため、違和感なく搭載されている。 Credit : Kymeta

いまは軌道上に衛星が多く配置されており、今後とも続々と通信衛星は打ち上がる予定です。この技術により、被災時でインフラが壊れてしまった中であっても、アンテナを搭載した自動車や航空機等が被災地に移動することで、迅速に通信環境を構築できるようになります。
被災時には素早い情報収集が適切な対策のためには大切ですし、今後私たちが困っているときに、サッと現れて助けてくれるヒーローになるかもしれません。

3.フィンテック企業が宇宙資源探査企業を買収

ConsenSys Acquires Planetary Resources

資源探査をビジネスにしようとしているPlanetary Resourcesが、フィンテック企業であるコンセンシスに買収されたようです。新規技術分野同士の融合となりますね。
社員が減っている、ネットオークションに売り出そうとしているのか?などのネガティブなニュースがでていたPlanetary Resources社ですが、今回の買収によって事業を継続できそうです。

Planetary Resourcesは、設立当初、日本の探査機である「はやぶさ」や「はやぶさ2」のように、小惑星に資源探査し、その資源を地球に持って帰ることを試みていました。しかしながら、そのハードルは高く、事業の方向性も変化していました。
宇宙への資源探査というと、月面探査がいまは賑わっています。買収されたことによって小惑星探索から月面探索に事業分野が変わることも十分に考えられます。今まで培ってきた小惑星探索の技術分野を活かすとなるともっと他の分野になるのでしょうか…。
とは言え、まだ確定した情報は何もなく、次はどのような方向性になるのか、続報を待ちたいと思います。

【参考記事】