宙畑 Sorabatake

Tellus

50日におよぶオンラインイベント「Tellus SPACE xData Fes. -Online Weeks 2020-」いよいよスタート!Tellusマーケットが担うデータビジネスの未来とは

7月14日から始まった「Tellus SPACE xData Fes. -Online Weeks 2020-」初日に行われたオープニングとトークセッション「Ver.2.0の概要とこれからのTellus」の内容を紹介します。

7月14日より、日本発の衛星データプラットフォーム「Tellus」のオンラインイベント「Tellus SPACE xData Fes. -Online Weeks 2020-」が始まりました。

初回であるこの日は、50日におよぶイベントのオープニングとして、以下のコンテンツで開催しました。

経済産業省ご挨拶
さくらインターネットご挨拶
Tellus SPACE xData Fes.イベントの概要紹介
Ver.2.0の概要とこれからのTellus

【本イベントのポイント】

●2017年の「宇宙産業ビジョン2030」から始まり、2019年のVer1.0リリース、ユーザー数16,000突破、そしてVer2.0へと進むTellusはここからが本番

●Tellusリニューアルのポイントは「ユーザーインターフェースの刷新」と「Tellusマーケットの開始」

●Tellusマーケットでは、人と人、企業と企業が出会い、新たなデータビジネスを生み出していく

●データビジネスのエコシステムの形成には、サプライチェーンがかかせない

今回は、各セッションで話された内容をご紹介します。なお、本イベントはYouTubeの動画でも公開していますので、そちらも併せてご覧ください。

Tellus SPACE xData Fes. -Online Weeks 2020- OPENING / Ver.2.0の概要とこれからのTellus

各イベントへの申し込みは以下のサイトから!

Tellus SPACE xData Fes. -Online Weeks 2020-

1.経済産業省ご挨拶

本セッションでご挨拶いただいたのは経済産業省 大臣官房審議官 製造産業局担当 上田洋二氏です。

経済産業省 大臣官房審議官 製造産業局担当 上田洋二氏

ここでは、地球観測衛星から得られる画像データの活用事例の多様性について、また、これまでの衛星データの課題について述べられたうえで、Tellus開発の背景について、あらためて説明がありました。

これまで衛星データは様々な分野で活用がされているにもかかわらず、高額で、処理に専門のソフトウェアが必要であるなど、利用ができる人は限られていました。対して、Tellusでは誰もが無料で衛星データと様々な地上データを利用できる環境をクラウド上で提供し、クラウド上でデータの閲覧、解析、アプリケーションの開発が可能となっています。

また、Tellus開発の歩みについては、2019年2月にTellus Ver.1.0を公開し、2020年2月にはVer2.0をリリース。様々なデータやツール等を売買できるTellusマーケットの追加など、さらなる機能や利便性の向上を図り、現在、約1万6,000人までカスタマー登録数が伸びています。

そして、今回の「Tellus SPACE xData Fes. -Online Weeks 2020-」について、より多くの方々にTellusとはどういうものか、衛星データを使うことでどういうことができるのかということを知っていただいて、業務での活用をご検討いただくきっかけとして、ぜひ参加いただきたい。また、衛星データの幅広い活用、幅広い分野での利活用が日本の宇宙産業全体の市場規模拡大の起爆剤となるという強いメッセージが本セッションの結びの言葉となりました。

2.さくらインターネットご挨拶

次のセッションでは、さくらインターネット株式会社 代表取締役社長 田中邦裕氏が登壇し、Tellusが始まってから2年以上が経過しているなかで、常に大事にしていること、これからについて話がありました。

さくらインターネット株式会社 代表取締役社長 田中邦裕氏

Tellusの大前提はユーザー視点。本当にユーザーが必要としているものを作っていく、これが非常に重要であり、宇宙データをもっと使いやすく、そしてもっと身近に使えるプラットフォームを目指してTellusは開発を続けていること、3つのコンセプトを紹介しました。

まずはじめに「『できる』ではなく『前提である』」ということ。「衛星データを使えます」のが、大前提であり、「それをどう使うか」という話にならないといけないので、まず誰でも使える状態にしておく必要があります。
さらに「失敗が許されるスピード感・コストでチャレンジできること」も重要になります。
これまで衛星データを使うにはデータを購入して、加工して、専用のソフトで使う、といったコストが必要でした。コストが最低限で、スピード感をもって利用できる環境が必要です。
そして3つ目、「異なる組み合わせによりイノベーションが生まれること」も重要です。膨大なデータがTellus上に乗るようになり、衛星データ以外のデータも搭載されています。
Tellusの利用者は実はデータを使う人だけじゃなくて、データを流通させたい側──データの提供側とデータの利用側、その両方がユーザーであるというのがTellusの重要なポイントであり、その人たちが出会える場所としてのTellusを目指しています。

さらに、2月に大きくリニューアルがあったポイントは、Tellus OSと呼ばれる、ユーザーインターフェースの刷新と、Tellusのマーケットの開始の2点です。ユーザー視点として、流通させたい側と使いたい側がいるため、その人たちが出会える場所としてTellusマーケットというのが開始されたことが大きなポイントです。

さらに、Tellusの利用を広げていく協力企業であるxData Allianceが引き続き増えてきていることについても触れ、今後ともTellusのユーザーに必要な環境やデータを整備していくためにアライアンス企業との協力体制も強化していくという思いについても語られました。

3.「Tellus SPACE xData Fes. -Online Weeks 2020-について」

オープニングの最後には、さくらインターネット株式会社 フェロー 小笠原治氏より、7月14日から始まった「Tellus SPACE xData Fes. -Online Weeks 2020-」の概要について説明がありました。

25年ぐらい前のインターネット業界と今の宇宙、特にデータ分野というのは、すごく似ていると話す小笠原氏は、こういったイベントで業界を盛り上げていくことが重要と述べ、これから開催されるイベントのおすすめコンテンツを紹介していきました。

さくらインターネット株式会社 フェロー 小笠原治 氏

ちょうど50日間イベント開催していく中で、まず最初のコンテンツ「Ver.2.0の概要とこれからのTellus」は、Tellusが生まれる前の検討会から参加されている夏野氏や過去に内閣府で宇宙関連に関わり今はデータ整備事業に力を入れているデジタルハーツプラスの畑田氏、さらにドコモ・インサイトマーケティング、島津ビジネスシステムズといったデータ提供した企業の方を呼んでマーケットの期待についてディスカッションを行います。

ほかにも多くのオンラインコンテンツが期間中に開催されます。

●2020年宇宙産業の今 -課題と役割についてステークホルダが語る-(7月16日開催済み)

宇宙産業のステークホルダを集めて今の課題やTellusの役割についてディスカッションを行った「2020年宇宙産業の今 -課題と役割についてステークホルダが語る-」

●カスタマー視点で開発したTellus Ver.2.0 -Goodpatchとともに走ったサービスデザイン-(7月21日開催済み)

7月21日に開催し、カスタマー視点で改善を進めてきたTellusの開発の裏側を紹介する「カスタマー視点で開発したTellus Ver.2.0 -Goodpatchとともに走ったサービスデザイン-」

●Tellusを使ったサービスの紹介とこれから(8月4日開催予定)

参加申込URL:https://tellusfes2020804.peatix.com/

akippa、Ridge-i、シャープとともにTellusを使ったサービスの事例と今後の可能性について紹介します。

トークセッションのほかにも、慶應大学SDM一緒に行うワークショップ、マーケットに出店しているデータやツールの紹介や、カスタマー同士の交流を行う「Tellus Satellite Cafe ONLINE(vol.2/vol.3/vol.4)」、オウンドメディア宙畑が「11日間で衛星データを学ぶ」記事を基に7日間に凝縮してオンライン上で参加者とともに衛星データの基礎講座を開催するイベント(DAY1/DAY2/DAY3/DAY4/DAY5/DAY6/DAY7)など、様々な種類のコンテンツを実施します。

また、これらのイベントだけではなく、イベントを通して衛星データに興味を持った人向けには「Tellus×TechAcademy 初心者向けのTellus学習コース」やデータ解析まで学べる「Tellus Trainer」といった教育コンテンツもあるということも補足しつつ、最後に改めて25年までのインターネット業界と同じような今の状況で、日本が海外に遅れを取ることなく、宇宙産業を盛り上げていく必要があることを述べて、イベントへの参加してほしいことを伝える内容となっていました。

50日間、約20のコンテンツを行う本イベントのタイムテーブル

各イベントへの申し込みは以下のサイトから!

Tellus SPACE xData Fes. -Online Weeks 2020-

4.「Ver.2.0の概要とこれからのTellus」

ここからのトークセッションについては、登壇者の皆さまがどのような話をしていたのか、実際のやり取りを紹介していきます。

司会:ここからは「Ver.2.0の概要とこれからのTellus」と題しまして、トークセッションをお届けしてまいります。まず初めに本日のトークセッションにご参加いただきます皆様をご紹介してまいりましょう。

・慶應義塾大学 政策・メディア研究科
 特別招聘教授 夏野剛様
・株式会社島津ビジネスシステムズ
 新事業部 気象・防災グループ 部長 奥山哲史様
・株式会社ドコモ・インサイトマーケティング
 エリアマーケティング部 部長 鈴木俊博様
・株式会社デジタルハーツプラス 代表取締役 畑田康二郎様
・経済産業省 製造産業局 宇宙産業室 室長補佐 丸岡新吾

そして本セッションのファシリテーターはさくらインターネット株式会社 フェロー 小笠原治が務めてまいります。
では、ここからはマイクを小笠原さんにお預けいたします。よろしくお願いいたします。

トークセッションにご登壇いただいた皆さま

小笠原:ありがとうございます。
先ほども紹介ありましたけども、Tellusマーケットというものがローンチしましたので、そういったあたりを皆さんと少しディスカッションしたり、期待値について伺っていきたいと思っています。
では、お一人ずつ1分程度で軽く自己紹介をしていただければと思います。まずは夏野さんお願いします。

 4-1 登壇者について

夏野:夏野です。私は宇宙とは実は全然関係なかったんですけども、実は3年、4年前ですかね。宇宙政策委員にされて、「宇宙産業ビジョン2030」っていうのを作るっていう作業に関わったところから宇宙人生が始まっちゃいました。

宙畑メモ:宇宙産業ビジョン2030
宇宙産業ビジョン2030とは、2017年に政府がまとめた宇宙産業に関する資料。1.2兆円の宇宙産業全体の市場規模を2030年代早期に倍増することを目指している。

夏野:そこで今回やっているような、いわゆる衛星データのオープン&フリー化とか、いろいろなことを議論して、日本の宇宙政策を進めていこうというきっかけになったと思っています。
最近も、今度月着陸に日本人宇宙飛行士が行くかもしれないみたいな話で、宇宙産業が今日、日本は盛り上がっているし、これから大きくチャンスがあると思っていますので、是非いろいろな意味で応援していきたいと思っています。よろしくお願いします。

小笠原:ありがとうございます。では、続けて島津ビジネスシステムズの奥山さん、自己紹介お願いします。

奥山:ご紹介預かりました島津ビジネスシステムズの奥山と申します。
島津ビジネスシステムズという名前はほとんど皆さんご存知ないと思うんですけれども、実は京都にあります分析機器メーカーの島津製作所の子会社でして、そこが1997年ってもう今から20年以上前に、社内ベンチャーを始め、その中で私が手を挙げまして気象ビジネスというのをそこからスタートしたということになっております。
気象ビジネスを始めましてかれこれ20年。現在では、うちのほうでは一般のコンシューマー向けの天気予報アプリをいろいろ提供しております。
「お天気JAPAN」と申しまして、一般的ないろいろな天気予報のデータを送るサイトですとか、あるいは朝起きたときに目覚めとともにキャラクターの声で天気予報がわかるという「お天気時計」、あるいは雨の状況をARで見ることができるという「アメミル」という、こういったサービスをいろいろ今展開しております。
私あまりオンラインのトークセッションっていうのは今回初めてですので、是非どうぞよろしくお願いいたします。

小笠原:ありがとうございます。では続いてドコモ・インサイトマーケティングの鈴木さんからお願いします。

鈴木:ドコモ・インサイトマーケティングの鈴木と申します。よろしくお願いいたします。
まさに今日パネルでいらっしゃる夏野さんの裏方的な開発を最初やっていたんですが、Tellusで導入いただいていますモバイル空間統計ですね、これを2008年から今までずっと、早12年ぐらい携わっていますので、いろいろと深いお話ができるかなと思っています。

左側にちょっと写っている絵があるんですけれども、これ昨年になるんですが、G20の観光大臣会合で日本の人流データの最先端テクノロジーだということでご紹介いただきました。今日ご紹介するモバイル空間統計データがこととき紹介されたデータでございます。
僕もオンライン初めてなので是非よろしくお願いいたします。

小笠原:ありがとうございます。じゃあ畑田さん、
たぶん観ている方からすると「デジタルハーツさんがなんで?」って1番思われているかもしれませんので、是非自己紹介をお願いします。

畑田:よろしくお願いします。畑田と申します。
私、今日参加している視点2つあると思っていまして、1つはまさに宇宙人ではなかった夏野さんを引き込んだときの内閣府の人間でして、私はもともと経済産業省の人間でしたが2015年に内閣府に出向しております。

当時、宇宙産業と言うと、特定の企業だけがロケットであったり人工衛星を作るっていう、ある種ニッチな産業で、「夢があっていいよね」と思われていた状況でした。このように多くの人がビジネスとして捉えていないというところから、民間宇宙活動のための法律を作るというのが私の最初のミッションでした。
法律を作っただけではもちろん、民間宇宙ビジネスというのは立ち上がらないので、そこで宇宙産業ビジョン2030という報告書を作り、報告書を作っただけでももちろんダメなので、ビジネスアイディアコンテストというのも立ち上げました。
このときの審査員にも夏野さんにはなってもらったりとか、相当、宇宙じゃない知見をどうやって持ち込むかっていうところをいろいろやりました。5年前の当時の感じからすると、もうこうやって衛星データに関してのフェスが開催されるというのはすごい進歩だなというふうに感慨深く思っております。

当時のそういった関係者的な立ち位置がありながら、もう1つは私自身は2年前に退職しまして、今はデジタルハーツっていうところにお世話になっています。
ここの会社もすごく面白くて、ゲームが大好きな人たちが日々何千人とゲームのバグを探しているという、ユニークな会社です。
例えば、引きこもりの就労支援をするNPOさんとかを今いろいろ回っているんですけど、ゲームが好きだったり、もちろん宇宙が好きな人もいっぱいいると思っています。
ただやっぱりJAXAに就職するのは大変なんだよなとか、ゲーム会社に入るのは大変だよなって思っていて、挫折しているところがある、そういった人でも関りを持てるということを示すために去年から、障害者雇用の中心としている子会社を設立して、いろいろなコミュニケーションとかは苦手だけれども、コツコツとやるのは得意みたいな、そういう人はたくさん世の中にいますので、そういった方の社会参加というところで、ビジネスをやろうとしています。
そういった観点から、これからデジタル化が進んでいくとは思いますが、最終的に全部機械でってことになかなかいかなくて、人がいろいろデータを入力したり整形したり、加工したりっていう、デジタル時代のサプライチェーンの中での役割っていうのがあると思っておりまして、そういった観点から何か関われたらなと思っています。よろしくお願いします。

小笠原:ありがとうございます。では、続いては経済産業省 宇宙産業室から丸岡さんお願いします。

丸岡:皆さん、こんにちは。経済産業省の丸岡です。
今、経済産業省宇宙産業室の中で衛星データのリモセンデータとか測位衛星データとかの利用促進を担当しております。
私はもともとJAXAにいたんですけれども政府衛星データのオープン&フリー化及び利用環境整備事業という今のTellus事業のもとになった政策が始まった2018年に経済産業省の宇宙産業室に着任いたしまして、それ以来Tellusをさくらインターネットの皆さんと一緒にやらせていただいております。夏野先生にもいつもご指導いただきましてありがとうございます。
今回、私にとってもこのオンラインのイベントって初めてなんですけれども、一聴衆として今回のすごく充実したフェスの内容についてはすごく楽しみにしておりました。今回よろしくお願いいたします。

 4‐2 Tellusマーケットの意義

小笠原:「Tellusマーケットの意義」というところについて話を進めたいと思います。

まずはTellusと呼んでいますプラットフォーム、我々が実際に提供するものはコア・コンピタンスとして、データ、それが存在意義です。

で、それを使えるコンピューティングリソース、そしてこれをさらに使いやすくするためのAPI、といったところを中心に開発をしていますが、それを作るだけでは皆さんに使っていただけるわけではないので、いわゆるユーザーインターフェースとして開発環境であったり、データのオペレーションシステムも作らせていただいたりということで、この部分のリニューアルをVer.2.0でやらせていただきました。

さらにマーケットということで、データ、アルゴリズム、アプリケーションといったものの売り買いが可能なようにマーケットプレイスを企画して、今回2月にローンチするということになりました。
ここについて、これまでTellusができるまでというところを振り返りながら、この意義やご意見を、経済産業省・丸岡さんと夏野さんに少しお伺いしたいと思っています。

小笠原:丸岡さんは2018年に宇宙産業室に行かれて、当時のオープン&フリー化プロジェクトってどういうふうに見られていたでしょうか。

丸岡:そうですね。宇宙産業ビジョン2030の頃からこういう動き自体はすごく認識はしておりましたが、まさか自分がそれに携わるとは思っていなかったです。衛星データをオープン&フリー化して、広く産業に活用していくという方向性はすごく、宇宙産業ビジョンの中にも描かれていることもあって、そういう潮流を支えていくんだなというような認識はございました。

小笠原:何か期待値だとか、逆に「うまくいくのかな」という懐疑的なところとかってけっこうありました?

丸岡:まあ懐疑的というわけではないんですけれども、やっぱり新しく利用を広げていくというところでのチャレンジっていうのは大きいのかなと思ってはいました。
ただ自分で実際に担当するようになってみて、自分が着任する前に思っていたよりもすごく周囲からのオープン&フリー化に対する期待もすごく大きいなというところは嬉しい喜びでもありました。

丸岡:このチャートすごく面白いですね。私がまさに着任した2018年のところからもうTellusの開発が進んでいて、特にVer.1.0のイベントのときとか、すごく思い出深いです。
そのときに、宇宙データが当たり前のように使われる社会の実現といったことや、田中社長がおっしゃられたTellusのコンセプトのところとか、まさにおっしゃる通りだと思いました。
ただ、そのコンセプト自体はTellusだけではなくて、宇宙産業全体の目標というか悲願というか、もう30年、40年前から宇宙産業でリモートセンシングに取り組んでいるときからの目標なので、そういったところに今、データ産業の方からも大きなご期待をいただいて注目が集まっているというところはすごく心強く感じました。

小笠原:ありがとうございます。
夏野さん、それこそ小委員会とか、このあたりから思っていたような世界観を今丸岡さんとか楽しみにしてくれていそうですが、夏野さんは最初宇宙に関わられたときってこんなこと想像されていました?

夏野:いやいや、もうこの最初の宇宙産業ビジョン2030をまとめるための宇宙産業振興小委員会っていうのに最初に突入させられたんですけど、その中でものすごく「やっぱり宇宙産業っていうのがガラパゴスだなぁ」っていうことを、「なんだよ、携帯産業と一緒じゃないか」っていう話をした覚えがあります。

その中でやっぱり携帯産業と一緒な理由って言うのは、もちろん日本の製造業は非常に大きな強みもあるので、ガラパゴスというのが決して僕は100%悪いことではないと思うんですけども、ただガラパゴスになっちゃうと問題は、やっぱり内部にデータを囲いたがるんですよ。

だからけっこう僕も昔に「基地局の位置はもう国家機密並みに大事です」とか言われて、「いや、ここにあるって見えるじゃん」って言っていた覚えもあるんだけど、すごい囲い込んで、何かに使うっていうことは言わない。そういうことがすごく日本の産業って起りやすいと感じています。

これに対してこの政府衛星データについてもオープン&フリーに向けた検討を始めていったんですが、これ見ていただくとこう赤いの(国としての動き)がもう本当に最初だけなの。

最初に宇宙産業ビジョンができて、すぐにオープン&フリー化に向けて利用環境を整備することが決まり、検討委員っていうのを僕はやらせていただいたけれど、そのあとにすぐにもう事業化に向けて走り始めているから、経済産業省がさくらインターネットといっしょにものすごく機動的に開発を進めてリリースもして、どんどんデータを公開してくれてくれてここまで来ているというところがあって。今はもう1万6,000人のカスタマーがいるというのは、もう全然とても想像していませんでした。

ただ宇宙産業ビジョン2030が発表したのが2017年、始まったときにはあと13年だったのが、今はもう2030ですからね。もうすでにあと10年になっちゃっているわけですよ。っていうふうに考えるとこのスピードで立ち上げなければやっぱり駄目だったのかなというのもあり。だからすごいスピード感で進めているとともに、これからますます本番だという感じはして、特に我が国のお金でやるけど、今後は自立走行できるようにというのが本プロジェクトのすごく大事なポイントでもあるので、そういう意味ではここからさらに正念場になっていくんだろうと思います。

さらに国際的にも国内的にも宇宙は脚光を浴びていますし、ますますTellusの事業は重要になると思います。

 4-3 島津ビジネスシステムズがTellusマーケットに期待すること

小笠原:これまでの価値についてお二人にお話いただきましたが、今回マーケットがローンチしたということで、データをマーケットに提供していただいた島津ビジネスさんであったり、ドコモ・インサイトマーケティングさんに、どんなことを期待しているかということも含めて、少しお話いただきたいと思っています。じゃあ奥山さん、よろしいでしょうか。

奥山:弊社島津ビジネスシステムズが、なぜTellusマーケットに参加するかという、そのきっかけとなったのは、気象データの中でかなり使われています静止気象衛星ひまわりのデータを、もうこの何十年間ずっと扱ってきて、様々な防災情報とか、そういったものを展開してきたというところから、これから衛星データと気象のデータをどう組み合わせたらいいのか、我々も新しい試みをしていく必要もあり、このマーケットに参加するという形になりました。

現在様々にビッグデータ、ビッグデータと言われていますけれども、様々なビッグデータの中で、やはり気象情報というのは絶対欠かせない情報だというふうに考えております。
例えばタクシーの配車にしても、人流データも大切ですし、と同時にどこでどのような雨が降っているかとか、風が強いとか、そういったデータがやはり欠かせないというところもありまして、今後はこういったビッグデータの1つとして気象情報をもっともっと活用していただけたらというふうに考えております。

ひまわりのデータというのは、データの中でも非常に小さなものって言ったらあれですけども、データの1つでしかありません。実は降水であったり、それから気温、風、そういった観測データは決して全部リモートセンシングだけではなくて、やはり地上のアメダスですとか、そういった観測機器によって成り立っているものもあります。
やはりこれから大事なものは予測データというところもありまして、このあたりをどう活用していただくかというところを、これから試みていきたいと思います。

奥山:今回、Tellusのマーケットのほうで、提供させていただいた中の1つ目玉になりますのが、雷の観測情報、このデータのTellus OS上のマップとAPIですね。
これは実は気象庁の雷監視のシステム「LIDEN(ライデン)」というのがございまして、かなりリアルタイム性の高い観測をやっております。
そのデータをうちのほうで受信して、どこで例えば雷や落雷があったか、あるいは対地放電だけじゃなくて雲の中の放電、こういったものも捉えて、その位置情報であったり市町村名であったり、そういったものを返せるというAPIをご用意しております。
扱いについてはいろいろ難しいところもあると思いますので、この度、宙畑さんのほうのサイトのほうでこのAPIについての解説を投稿させていただいていますので、是非そちらをご覧いただけたらと思います。

奥山:もう1つのAPIが降水の観測情報降水予測です。
この降水観測というのはレーダーで観測した雨および気象庁のアメダスで合成したものでして、1時間に1回の1kmメッシュぐらいの細かさのデータがあるんですけれども、今回は緯度経度を指定してそこのデータを取り出すというような形でAPIをやっております。またそれを基にしたこれから先の降水予測のAPIもご用意いたしました。

奥山:ここまでは現状の提供していたものなんですけども、今後の予定として今1つ考えていますのが天気図のデータのAPI。
天気図っていうのは左下にありますような、皆さんテレビ等でご覧いただけるようなもので、これを見ると例えば低気圧や高気圧、あるいは前線がどんな形でどんな方向に向かって動いているかとか、そういったものがわかります。
このデータのAPIは、図面としての価値もあるんですけれども、例えば実際に電通さんと今年になってやりましたのが、ここにあります「サイバー和菓子」です。
この「サイバー和菓子」っていうのは何かと言いますと、例えばこの今日の最新の天気図のデータから、その1番近い低気圧であったり、あるいは高気圧、そういったものを造形にして、3Dプリンターで打ち出すことによって、その日だけの和菓子を作り出そうというものです。
非常に面白い試みでして、例えば台風がありましたら、そのままの形というよりはそれを表したような背の高い、強い、風の強そうな和菓子ができあがるという、季節感をこういったAPIを使って取りだすというのをやられていまして、こういった活用もこれからもAPIの利用していただく上で増やしていけたらと考えております。

小笠原:そうですよね。和菓子ってもともと季節感を表すものでしたもんね。

奥山:ここの電通さんの想いとしては、今温暖化が進んでいるので、この100年後どんなふうな低気圧ができあがるか、みたいなものも和菓子で作られるっていう想定になっております。
ただちょっとコロナの影響で実演が今ストップしておりますんで、またそういったイベントが今後開かれると思われます。

小笠原:楽しみにしています。

奥山:うちのほうでのマーケットの期待ではあるんですけれども、より多くの人が衛星データを活用してビジネスに活かすというところで、衛星データだけではない、他のデータも組み合わせて利用できるというチャレンジする場が非常にTellusに集まっていると言いますか、ここで完結しているっていうのがございます。
しかも大企業さんも利用できますけれども、まだこれからのスタートアップの方がアイディアさえ活かせれば、この中で新たなビジネスを作り出せるんじゃないかっていうところも期待しております。

もう1つが、このTellusっていうのが単なるデータの交換場所だけではなくて、例えば新たにデータとデータを組み合わせて何かを作り出した、またはその作り出すアルゴリズムであったり、AIといった機能であったり、そういったものも提供できる場になるかと思います。
それによって人と人、会社と会社がどんどんと繋がっていけるような、そういう場になることを私は期待しております。


●Tellus Satellite Cafe ONLINE vol.4 -SPACE xDataでできること(気象データ編)-

島津ビジネスシステムズさんがマーケットに出品しているデータについて詳しく解説するイベントはこちら!

– 日時:2020年8月20日 (木) 19:00~21:00
– 参加申し込みURL:https://tellusfes2020820.peatix.com/

 4-4 ドコモ・インサイトマーケティングがTellusマーケットに期待すること

小笠原:ありがとうございます。もうまさに僕らがやりたいと思っていることに期待していただけているということで、是非一緒に良いビジネス環境を作っていければと思います。ありがとうございました。
続いて、ドコモ・インサイトマーケティング鈴木さんのほうから「モバイル空間統計とは」という形でお願いできますでしょうか。

鈴木:モバイル空間統計は、ドコモの携帯電話の位置情報を基に、人口の流動を推計しているデータになっています。
先ほど夏野さん、あとはTwitterなんかでも、「ドコモにもっとデータを公開して」っていうようなお話があったので、これ5月末ぐらいに、実は一般公開しているんですが、モバイル空間統計人口マップ、ここに書いてある「http://mobakumap.jp」って、皆さんパソコンで打っていただくと、今まさにの人口のデータをご覧いただけます。
こういったデータをTellusマーケット上に入れていただいて、いろいろな化学反応が起きないかなっていうのが僕らとしては期待です。

鈴木:まさにTellusマーケットへの期待ということなんですが、昨今のコロナ禍で、人口の混雑がどうなっているんだとか、あと観光客って今完全にインバウンドなんかで言うと鎖国状態で人が来ていないんですけれども、人が何人来ているんだ、どこから来ているんだっていうような、人口そのものが指標になるようなことっていうのはモバイル空間統計のデータでいろいろと解決できるんですね。
ただ、なかなかデータだけでは、モバイル空間統計も、宇宙データなかなか社会に浸透していかないので、是非このTellusマーケットの中では、このモバイル空間統計であったり、島津さんのデータであったり、衛星データだったり、あとはいろいろな方がアクセスできるんだと思うんですけれども、いろいろな方の知見を入れ込むことで、すごく面白いことができるんじゃないかなということを期待しております。

鈴木:ちょこっとだけ宣伝させていただくんですが、小笠原さんが1番最初にも触れていただきましたけれども、8月にこのモバイル空間統計の深い解説のセッションをご用意いただいていますので、ご興味ある方は是非そちらもご覧いただけると嬉しいです。

小笠原:ありがとうございます。20年ほど前に夏野さんを中心にiモードに関わっていた人たちが実は今けっこうこの衛星データ周りにいるっていうのをすごく実感しています。そういう感じで伸ばしていければいいですね。


●Tellus Satellite Cafe ONLINE vol.3 -SPACE xDataでできること(人流データ編)-

ドコモ・インサイトマーケティングさんが人流データについて詳しく解説するイベントはこちら!

– 日時:2020年8月11日 (火) 19:00~21:00
– 参加申し込みURL:https://tellusfes20208112.peatix.com/

 4-5 市場が更に活性化するために必要なモノとは

小笠原:じゃあ次に「市場が更に活性化するために必要なモノとは」ということで畑田さんのほうから少しお話をいただいて、そのあとディスカッションに移りたいと思います。よろしくお願いします。

畑田:今の瞬間まだデジタルハーツプラスとしてまだマーケットに出品しているわけじゃないんですけど、私の理解ではまさにデータを持っている島津さんとかドコモさんなんかがデータを乗せて出品すると、いろいろな方が有償・無償で使えるっていうことだと思います。
これからたぶんここのマーケットにどんどん、「こういうのもいけるかな」「こういうデータセットを作って公開しようかな」とかっていうのが出てくると思うんですけど、結局、全部自動化でたぶん乗せるっていうわけにいかないと思っています。
例えば、機械学習をして何か自動で船を見つけるようなものとかだとすると、教師データとしての船の衛星画像データを1,000枚ぐらい教え込んで矩形で囲んでここが船ですよみたいな感じにしないと、たぶん自動でデータセットとして加工できるようにはならないと思っています。
やりたいんだけど、それをやるのはけっこう大変だよな、みたいなところに対して、我々が何か貢献できるところがあるんじゃないかと思っていまして、っていうのはまさにゲームが大好きな数千人のゲーマーたちが、今ゲームのデバッグをしているんですけど、それだけじゃなくて、最近はいろんなソフトウェアのテストとか、アプリケーションのテストとか、いろいろやっている中で、けっこうそういったデジタル労働集約型の業務と言いますか、衛星画像データをひたすら機械学習のための教師データを作るみたいなところは、かなり得意分野だなと思っています。

畑田:さらには、去年から障害者雇用を積極的にやっているんですけど、なかなかコミュニケーション苦手でいろいろなアルバイトの面接行っても会話できないんで通らない方ってたくさん世の中にいるんです。
そういう方に限ってすごく真面目でコツコツと繰り返し作業ということは苦なくできちゃうので、うまく分業の仕組みができれば、まさにそういった単価の高いAIデータサイエンティストみたいな方が夜徹夜して教師データを作らなくても、「このデータを1000枚なんとか加工してください。1週間以内に」とかって言ってもらえれば、我々のほうでいくらでも作業できる労働力を提供することができます。
加えてみんなけっこう宇宙が好きだとか、という中で宇宙産業関わりたいみたいな、やりがいみたいなところも提供できたらすごく魅力的だと思っていまして、そういったところにうまく連携できるところがないかなと思って今回参加をしています。

ちょっと違う事例ではあるかもしれませんが、イスラエルって非常に宇宙分野が進んでおりまして、特に兵役があるので能力が高い方はサイバーセキュリティ部隊に入ったりとかするようなんですが、実は自閉症スペクトラムの診断がある方々っていうのは兵役を免除されるんですね。

畑田:それでもやっぱりお国のために何か貢献したいみたいな想いがある方々がたくさんいらっしゃって、そういった方にはRoim Rachokプログラムっていうのがあります。
これを通じて衛星画像分析の作業をしていくのですが、まさにこの横に出ている画は、スタジアムに偽装した敵の兵器倉庫みたいなものを時系列で衛星画像データを見ていくと、建設前の画像があるのでわかります。そこを囲って、ここは何かその敵の兵器施設じゃないかみたいなのを探し、兵役後、プログラムが終わったあとはIT企業に就職していって、まさにそういうデータ加工業務をするという仕組みができているようです。
日本はそういった兵役とか軍事産業的なものはありませんが、何かこういった衛星画像を加工する中で、自閉症の方であっても活躍できる場所があるんじゃないかということを考えています。

さらに言うと、これは日本全体の課題だと思っていますが、今障害者は900万人いるんですけど、就業可能な18歳~65歳ぐらいまでに限って言いますと400万人弱ぐらいです。
そのうちの半分が精神に障害がある方なんですけど、現状ほとんど、企業の直接雇用には入っておりません。
200万人ぐらいいらっしゃるのに、労働参加できていないという現状があります。もちろんこれは全員働けるわけではなくて、医療にかからなきゃいけないとか、いろいろあるわけですけど、中にはちょっとうつの傾向があって、フルタイムでは働けないけれども、もともとは天文学とか宇宙物理を勉強していて、何かしたかったみたいな方もたくさんいらっしゃいます。
あるいは先ほどの自閉症スペクトラムがあって複雑な作業はできないけれども、大量にある海の画像データの中から、船だけ見つけて印つけていってねということであれば、6時間でも8時間でも働けちゃうっていう方はいるので、こういった方々が労働参加していくっていうことは、日本全体としても課題解決であるし、加えてそういったある種単価の高いエンジニアではなくても、内職的な方も宇宙産業に参加していくことができれば、宇宙産業全体のコストダウンにもなりますので、全員にとってハッピーな仕組みを作れるんじゃないかなということを考えています。

畑田:ということで、これから宇宙産業はゴールドラッシュのように栄えていくと思っておりまして、そのときにやっぱり必要なのはサプライチェーンだと思うんですね。

一気通貫で全てのことを提供できる人がいるわけじゃなくて、金を堀りに行く人たちがたくさん出てくれば出てくるほど、つるはしを売る人とか、ジーンズを売る人っていうのが出てきて、産業として栄えていったというふうに理解をしております。
同じようにこれから衛星画像を使って、ちょっとエンターテインメントをしたいとか、あるいは産業利用のためのアプリケーションを作りたいという人がたくさん出てくると、それに向けたデータセットの提供とか、そういったツールを売るビジネスというのが次に出てくると思っております。
私はさらにその下のジーンズの縫製工場のところの人を集めるという。サプライチェーンをうまく作っていくことができれば、産業全体で最適化されていくんじゃないかと思っておりまして、それがこのTellusを通じた宇宙データビジネスの裾野を広げていくっていうことに繋がるんじゃないかというふうに考えています。

小笠原:ありがとうございます。

畑田:もしデジタルハーツと連携したいみたいな方がいらっしゃいましたら、Tellusのお問い合わせフォームからお問い合わせいただければ、小笠原さんが私にパスを回しますので、どうぞよろしくお願いします。

小笠原:是非パス回しいたします。ありがとうございます。
こういったいわゆる機械学習とかディープラーニングの手前のアノテーションとかっていうのを仕事にしていくっていうのは、これからのデータ産業の中ではすごい大事かもしれないですね。

宙畑メモ:アノテーション
アノテーションとはデータに対して関連する情報を付与していく作業のこと。例えば、画像の中に犬が写っているか、猫が写っているか、など。機械学習において、モデルの精度を高めるために必要な教師データとなる。

小笠原:夏野さん、こういうのを学生に教えていくってどうですかね。N高(ドワンゴが運営するインターネットを活用した新しい高校)の子たちとか。

夏野:そうですね。今大学でも高校でも、自分で考える授業っていうのがすごく大事にされています。
そういう意味で言うと、教科書にもまだ書き切れないような宇宙の話とか、衛星データの活用の話ってこれからの話なんで、例えば「どういう可能性があると思いますか?」っていうのを考えさせるとか、レポートにするとかそういうのは十分考えられると思うんですけど、いかんせんちょっと難易度まだ高いかな。どういうふうに分析すると、どういう有用なデータが取れるのかっていうのがまだ我々の間でも手探り状態じゃないですか。
だからそうですね、うまく課題設定ができれば大学生や高校生だったら、もうデータを触らせるなんていうのはあり得ると思います。

小笠原:そうですね。いいですね。やっぱりまだこの少し難しいという、少しまだ整理がついてないっていうのが、いろいろなことの障壁かなと思っています。

 4-6 今後の市場がどのように変化していくか

小笠原:今後の市場はどのように変化していくか、今のお話にあったように、まだ少し難しいよねっていうのをちょっと頭に置いたうえでディスカッションできればいいなと思うんですが。
今後の市場がどのように変化していくか、ということについて期待値も含めて丸岡さんってどんなふうに考えられているとかありますか?

丸岡:ありがとうございます。今おっしゃった難易度は高いというところは、すごく課題だと思います。
例えば6月に宇宙基本計画というのは閣議決定されまして、その中でも宇宙の推進力とする経済成長とイノベーションの実現というところで、衛星データの利用促進だったりとか、Tellus自体も何度もこの宇宙基本計画の中では出てきます。
1つキーワードになるのが、他分野との連携というところかなと思います。
今いろいろな分野でデータを行政とか事業に活用しようということでプラットフォーム化が進んでおりまして、その中でも、彼らの中でも宇宙を活用しようっていう期待は大きいのかなと思っていますが、やはり先ほどおっしゃられたように難易度というところは、特に分野を横断的に使っていこうというところでは課題になるのかなと思います。
そういう意味で衛星データは他分野に広がっていくんだけど、そのうえでの一工夫と言いますか、繋ぐツールであったりとか、それを取り持つデータみたいなところっていうのがより重要性が増すのかなと思っておりまして、この今回のTellusマーケットっていうのは非常に良い役割を果たしてくれるんじゃないかなって期待しています。

小笠原:こういった変化で言うと、インターネット業界、特にモバイルだとiモード時代からいわゆるApp Store時代みたいに市場が変化してきていると思うんですが、奥山さん、2001年頃に「お天気JAPAN」iモードで始められたっていうふうに聞いているんですが、僕も実は2000年からCPだったので、これは僕ら世代しかちょっとわからないかもしれませんけど、あのときに感じたような、「ここ、こういうふうにやれば伸ばせるんじゃないかな」「こんなことをやりたいな」みたいなものがもしあれば教えてください。

奥山:やはりあのiモードの市場というのは、もう今で言うガラパゴスの極端な例かと思うので、あのときのビジネスが現在のビジネスにどこまで活かせるのかというのはちょっと難しいかと思うんですけども、やはり今はオープン化すると、みんながどんどんと作り上げていくことによって、本当の価値のあるものがその中から生まれていくっていうところが、今後の市場の広げ方ではないかと思います。
たくさんの人が参加して、その中でできるだけ安く参入できる、そこからだんだんだんだんと積み上げての市場が形成される、それがこれからのやり方かなと私は考えております。

小笠原:そうですよね。今のいわゆるApp Store時代で言うと、例えばですけど後払いだとは言え、手数料30%じゃないですか。当時のiモードって9%でしたよね。それだけでも全然違いますよね、本当はそういうところもちょっと意識的にやっていければいいなと思っています。

鈴木さん、今後の市場というところで、衛星データと人流データ、当然この掛け合わせはやっていくとして、これ以外に何か「掛け合わせてほしいな」「掛け合わせてみてほしいな」みたいな期待しているデータってあるんでしょうか。

鈴木:まさにもう衛星って言うと、すごくマクロなというか、壮大なデータなので、単純にまずは衛星と人流って、組み合わせるだけですごく面白い取り組みができるんだろうなっていうふうには思ってはいるんですが、強いて他のデータということであるとすると、これはまさに個人的な興味・関心の部分なんですが、経済活動に資するようなデータ、お金のデータとか、景気のデータとか、何かそういったものと組み合わせてみると、すごく面白い何かができあがるんじゃないかなという期待をしています。

小笠原:いいですね。ということは、次にxData Allianceとかマーケットに誘うのはスマレジさんとかマネーフォワードさんとか、ああいうところが入ってくれると、けっこう面白いのかもしれないですね。ありがとうございます。

小笠原:最後に、夏野さん、これからの市場変化に合わせてTellusや、Tellusマーケットが「こういうふうにやっていったほうがいいんじゃないか」「おまえらこれやり残しているんじゃないか」などの意見があればいただけると嬉しいです。

夏野:そうですね。Tellus、やっぱり素晴らしいところが、他のプラットフォームとの連携を最初から想定して設計されているところっていうのが素晴らしいなというふうに思ってます。
衛星データのオープン&フリー化として始まっているんですが、その他のいろいろなデータ、例えばドコモさんの人流データとかも組み合わせて使えるようなプラットフォームになっている。
これは何を意味しているかって言うと、本当に世界中のデータと連携しながら、衛星データを使ったアプリケーションを使えるっていうことなので、そうするとですね、これgoogleよりもすごいプラットフォームになる可能性のある唯一のプラットフォームはTellusだというふうに言えると思うんですね。

もちろん、そのプラットフォームを維持するためにはちゃんとエコシステムとしてのビジネスモデルを回すこととか、参加者、サードパーティーがそれにメリットを見出して、そして関心を持ち続け、リアルなビジネスに役立たせ続けるということが大事だと思います。

そういうことを達成していくことによって、日本発のTellusが世界のデータの基盤の重要な一角を占めるというふうになってくれるといいな。実際にそうなれるポテンシャルが、今の宇宙産業の中での日本の立ち位置と、今のIT業界の中における日本の立ち位置的に、ぎりぎり狙える、まだ狙えるところにあるんじゃないかなと思っていて、もしかしたら日本のこのIT産業にとってのラストチャンスがこのTellusにあるのかなと思って、大いに期待しているし、叱咤激励していきたいなと思っています。以上です。

小笠原:ありがとうございます。今言われたみたいに、本当に大きなことをやらせていただいていると感じていて、それを支えていくシステムをしっかり作っていくっていうのも責務だと思いますし、さくらの経営としてもそれをコミットしてくれているという状態、これを続けていき、民営化後というのをしっかりやっていけるようにということを、皆さんにも見張っていただいて、しっかり進めていけれるといいなというふうには思っています。

特に今後、今までのいわゆる地政学、これがインターネットの地政学みたいになり、今後はデータの地政学ってなり、といいつつ実はもうそうなっているんじゃないかと思っている中で、少なくともTellusというのが欧州、アメリカ、中国、ロシア、以外の第5局みたいな形でしっかりデータを提供できる、そういった存在になっていければいいなとも思っています。

今日はディスカッションまで付き合っていただきありがとうございました。次回のTellusオンラインイベントにもどうぞご期待ください。

5.まとめ

オープニングとVer.2.0の概要とこれからのTellusの内容について、皆さまに語っていただいたのは、2018年度からスタートしたTellusが約2年、どのようなコンセプトで開発を進め、2月にオープンしたマーケットが、データビジネスの中でどのような期待をもって生まれたかということでした。

2年がたったとはいえ、まだまだTellusは開発中のプラットフォームであり、登録利用者だけではなく、マーケットでビジネスを行うプロバイダも増えて、利用が活性化しビジネスが生まれ続けていくまでがTellusが目指していく未来になります。
iモードが生まれたとき、インターネットが今のように当たり前の世界になることを予想した人がどのくらいいたかわかりませんが、衛星データも誰もが利用できることができるところまで利用のハードルが下がってきました。

Tellusがプラットフォームとして、多くのデータやツールを扱える環境を整え、今まで掛け合わせることが難しかったデータを掛け合わせることができるようになることで今後どのようなサービスが生まれてくるのか、わくわくできるようなトークセッションではなかったでしょうか。

以降のトークセッションやワークショップも衛星データビジネスのことを様々な視点で見ることができるコンテンツとなっているので、ほかのイベントもぜひご期待ください。

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