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Rocket Labが第一段回収試験の日程を発表【週刊宇宙ビジネスニュース 2020/11/2〜11/8】

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Rocket Labが次回打ち上げで小型ロケット第一段の回収に挑むことを発表

小型ロケットによる宇宙輸送事業を行うRocket Labが、11月15日に予定している16回目の商業打ち上げミッション”RETURN TO SENDER”で、小型ロケットElectronの第一段回収に挑むことを発表しました。打ち上げは、ニュージーランドのマヒア半島に同社がもつ射場”Launch Complex 1”から実施されます。

Rocket Labは、2019年8月にElectronの第一段回収に取り掛かることを発表したのち、第一段回収ミッションに関する様々な試験を実施してきました。

Rocket Labの今回のミッションパッチ Credit : Rocket Lab

過去の試験では、パラシュートを展開した第一段ロケットをヘリコプターでキャッチする試験を実施し無事に成功していましたが、今回の試験では、ロケット第一段はパラシュートで減速させた後に海に着水させる予定のようです。今回の試験後、最終的には、Electronの第一段をヘリコプターで空中に捕捉し、そのまま射場に隣接する工場まで輸送させる予定のようです。

今回の第一段回収試験の具体的な内容は以下の通りです。

  1. ・打ち上げの約2分半後、高度約80kmの地点で第一段と第二段は分離。
  2. ・分離後に第一段のメインエンジンを停止させ、自律的に180度向きを変え再突入の角度に調整。
  3. ・地上に向かって落下しマッハ2程度まで減速した後に、減速用のパラシュートが展開。
  4. ・上空数kmの地点において大型のメインパラシュートが展開。
  5. ・第一段ロケットがさらに減速し、そのまま海に着水。
  6. ・着水後、Rocket Labの船が第一段を回収し射場まで輸送。

ロケットの第一段回収について成功事例のあるSpaceXは、第一段の回収は打ち上げコストの削減につながっていると発表しています。

しかしSpaceXと比較して小型なロケットを運用するRocket Labは、第一段回収の目的は顧客への打ち上げ機会の増加であり、コスト削減ではないと語っています。

Rocket Lab CEOのPeter Beck氏は、今回の第一段回収について以下のコメントを出しています。

Recovering the first stage of a small launch vehicle is uncharted territory. What we’re trying to achieve with Electron is an incredibly difficult and complex challenge, but one we’re willing to pursue to further boost launch cadence and deliver even more frequent launch opportunities to small satellite operators.
(訳:小型ロケットの第一段回収は未知の領域です。私たちがElectronで達成しようとしていることは非常に困難で複雑な挑戦ですが、打ち上げペースをさらに加速させ、小型衛星事業者にさらに高頻繁な打ち上げ機会を提供するために、私たちは精力的に歩みを進めていきます。)

更なる歩みを続けるRocket Labに引き続き注目です。

Rocket Labのエンジニアがパラシュートを畳んでいる様子 Credit : Rocket Lab

Galactic Energyが中国で2社目の民間で軌道投入に成功した企業に

中国のロケットベンチャー企業であるGalactic Energy(正式名称はBeijing Xinghe Dongli Space Technology Co. Ltd.)が、11月7日にゴビ砂漠付近の酒泉衛星発射センター(Jiuquan Satellite Launch Center)から固体ロケットCeres-1を打ち上げ、無事に軌道投入に成功しました。

Ceres-1は、全長19m・直径1.4mの4段式固体ロケットで、地球低軌道に350kg或いは高度700kmの太陽同期軌道(SSO)に230kgのペイロードを軌道投入可能な能力を有しています。

Galactic Energyは今週初めにHuaqiang Chuangtouが主導したシリーズAラウンドの資金調達で2990万ドルを獲得したばかりでした。同社は2018年2月の設立以来、現在までに総額約4,300万ドルの資金を獲得しています。

Ceres-1の打ち上げの様子 Credit : Ourspace

今回、Ceres-1で打ち上げられた50kg級の小型衛星Tianqi-11は、Shanghai ASES Spaceflight Technology Co. Ltd.(上海埃依斯航天科技有限公司)が開発した衛星です。

Tianqi-11はナローバンドIoT通信衛星コンステレーションを構成する衛星の一つで、無線による搭載機器間のデータ伝送を採用しています。通信ケーブルがないことで、軽量化や小型化できる他、組み立てやすくなるなどのメリットがあります。

これまで、ケーブルを減らす取り組みとして、今回採用された無線によるデータ伝送や、電力ケーブルを用いたデータ伝送などが研究されてきましたが、なかなか実用的に用いられてきませんでした。果たしてTianqi-11によってどのような評価結果が出てくるのか楽しみです。

打ち上げ前のTianqi-11の外観 Credit : 上海埃依斯航天科技有限公司

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