宙畑 Sorabatake

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若田・古川宇宙飛行士のISS滞在が決まる。2024年以降のISSの運用方針は【週刊宇宙ビジネスニュース 2020/11/16〜11/22】

一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新!

日本人宇宙飛行士に関するニュースに続き、日本の宇宙ベンチャー企業のニュースも相次いだ1週間でした。

日本人宇宙飛行士、2023年まで毎年ISSに滞在へ

野口宇宙飛行士が搭乗したクルードラゴンがISSに到着

11月16日、野口聡一宇宙飛行士が搭乗したクルードラゴン宇宙船が打ち上げられ、翌日17日午後にISSに到着しました。

日本人によるISS滞在はおよそ2年半ぶり。もともと予定されていた15日から延期されたことで、平日の打ち上げとなりましたが、多くの人が打ち上げに注目していたようです。

野口宇宙飛行士はISSに約半年間滞在する予定で、日本実験棟「きぼう」では火災安全性に向けた実験や微小重力環境を活用した立体培養技術の開発などが予定されています。

また、今回はバスキュール社が宇宙と地上でリアルタイムのコミュニケーションが楽しめる「KIBO宇宙放送局」、ANAホールディングス傘下のavatar-in社らが、きぼう船内のカメラシステムを操作することでアバター体験ができる「Kibo Avatar-X」を実施するなど、民間による、きぼうの有償利用にも関心が寄せられています。

若田宇宙飛行士、古川宇宙飛行士のISS滞在が決定

さらに、11月20日の記者会見で萩生田文部科学大臣は、若田光一宇宙飛行士が2022年頃、古川聡宇宙飛行士が2023年頃にISSに長期滞在することが決定しました。

2021年には、星出彰彦宇宙飛行士によるISS滞在が決まっており、2020年から2023年までの4年間は毎年日本人宇宙飛行士がISSに滞在できることとなります。

ISSは当初2024年で運用を終了する予定でしたが、米国は2028年、ヨーロッパは2030年まで運用を延長する方針で調整が進められています。日本においても2025年以降の地球低軌道における有人宇宙活動のあり方について議論が進められており、政府がどのようなスタンスを取っていくのかにも注目していく必要がありそうです。

SpaceBDと事業開発を専門とするTerraMetricがパートナー契約締結

11月20日、宇宙商社として知られるSpaceBDは、米国・フロリダを拠点とするTerraMetricと宇宙の商業化促進を目的としたパートナーシップを締結したことを発表しました。

TerraMetric 創業者兼CEOのGraumann氏(左)とSpace BD 代表取締役社長 永崎氏(右) Credit : SpaceBD

TerraMetricは宇宙における事業開発を専門としている企業です。SpaceBDとTerraMetricはすでにISSの船外実験設備を活用した軌道上実証実験を共同提案しています。さらに、両社は月以遠や深宇宙探査も視野に入れた衛星の打ち上げと地球低軌道の利活用に注力していくとのことです。

今回のパートナーシップ締結により、SpaceBDは米国でのネットワークをさらに広げていくことになりそうです。

アストロスケール 2021年3月に民間初のデブリ除去衛星を打ち上げ

11月18日、スペースデブリ問題に取り組むアストロスケールは、実証実験衛星「ELSA-d」を2021年3月にバイコヌール宇宙基地よりソユーズで打ち上げることを発表しました。

Credit : アストロスケール

今回のELSA-dミッションでは、約175kgのサービサー(捕獲機)と約17kgの模擬デブリを打ち上げます。サービサーには近接ランデブ技術と磁気捕獲メカニズムが備わっていて、強磁性ドッキングプレートが内蔵されたクライアントとドッキングおよびリリースを繰り返して。軌道変更までに必要な技術を実証します。

同社は、日本、米国、英国、シンガポールに拠点があり、ELSA-dの運用は、英国の国立軌道上サービスオペレーションセンター(IOCC)が使用される予定です。この背景には、英国は軌道上補償に関する法整備が進んでいることや、アストロスケールは英国宇宙庁からミッション許可を得ていて、宇宙空間で衛星による衝突事故を起こした際でも、政府から補償を受けられることが大きく関係していたのではないかと考えられます。

アストロスケールはプレスリリースで、ELSA-dミッションは、スペースデブリの除去に必要な技術的能力を証明するだけでなく、軌道上サービスに必要な宇宙政策とエコシステムを担っていることを説明しています。

軌道上サービスに関する法政策が整備され、挑戦しやすい環境が整えば、民間企業の成長にもつながると考えられ、アストロスケールの活躍に今後も注目したいと思います。

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参考

野口聡一宇宙飛行士の国際宇宙ステーション長期滞在開始について

JAXA 野口宇宙飛行士 ISS長期滞在ミッション

JAXA若田光一宇宙飛行士及び古川聡宇宙飛行士の国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在の決定について

地球低軌道における2025年以降の有人宇宙活動の在り方に係るオプション整理に向けた検討状況

スペースデブリ問題に取り組むアストロスケール民間世界初デブリ除去実証実験衛星の2021年3月打ち上げを決定

デブリ除去サービスへの政府補償制度について

Space BDと米TerraMetric、宇宙の商業化促進を目的としたグローバルパートナーシップを締結

International Teaming Agreement Signed to Accelerate Commercial Space Growth