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米宇宙軍が情報活動機関 インテリジェンス・コミュニティに参画【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/1/4〜1/10】

一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新!

米宇宙軍が情報活動機関に参画

1月8日、米宇宙軍が同国のインテリジェンス・コミュニティ(以下、IC)に参画したことが発表されました。米国のICに新たに組織が加わるのは2006年以来初めてのことです。

宙畑メモ
政府が設置している情報機関によって構成される組織のことをインテリジェンス・コミュニティ(IC)と呼びます。米国には、中央情報局(CIA)や連邦捜査局(FBI)をはじめ、国家地理空間情報局(NGA)、国家偵察局(NRO)など17の組織があります。

今回の発表により、米宇宙軍が取得した情報はICの情報システムに統合されるようになります。国家情報長官のJohn Ratcliffe(ジョン・ラトクリフ)氏は、「(宇宙軍によって)ICの情報システムに宇宙関連の情報が共有されることで、IC と国防総省は、ミッションを達成し最良の結果を出すために求められる、情報活動の統合と調整を推進します」とコメントしています。

インテリジェンス・コミュニティに参画している国家地理空間情報局(NGA)では衛星データが活用されており、2020年11月にはPlanet LabsとBlackSkyの画像が情報システムに加えられたことを発表していました。

安全保障分野において、宇宙から得られる情報は、なくてはならないものになってきていることがわかります。

米国 惑星保護に関する国家戦略を発表

2020年12月30日、米国・ホワイトハウスは、惑星の保護に関する国家戦略を発表しました。

宙畑メモ
惑星保全とは一般的には、探査の対象となる天体を地球から運搬される物質によって汚染しないよう保全することおよび地球外の有害な物質による汚染から月を含む地球圏を保全することを指します。

NASAはアポロ計画の際に、月面の石を持ち帰るサンプルリターンに成功していますが、その際に策定された惑星保護の規則はその頃から改訂されていませんでした。

しかしながら近年、米国ではアルテミス計画や民間企業による月面探査および開発計画が進められているほか、探査機オシリス・レックスによる小惑星ベンヌのサンプルリターンや、ESAと共同で火星のサンプルリターンミッションを計画しているなど、惑星探査において様々なプロジェクトが推進されています。

急速な状況の変化に対応する目的で今回の発表に至ったようです。内容は全体を通して、サンプルリターンや有人宇宙探査を意識したものになっています。

Credit : WHITE HOUSE

ESA長官 ジョン・ヴァーナー氏が2月末で退任

1月8日、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)のJan Wörner(ジョン・ヴァーナー)氏が2月末で退任する意向が発表されました。当初ヴァーナー氏は任期満了となる7月に退任する予定でしたが、当初の予定より4カ月早くESAを離れることになりました。

2020年12月17日に、次期長官としてJosef Aschbacher(ジョセフ・アッシュバッハー)氏が選出さましたが、アッシュバッハー氏は、2016年からESAの地球観測プログラムのディレクターを務めてきた理事です。

次期長官がESAの理事であるという特殊な状況や、移行期間の内部・外部的な影響などを鑑みると、退任時期を早めるのが適切ではないかとのことでヴァーナー氏が提案したようです。2月末までの期間を移行期間とし、2021年3月1日に新事務局長の就任というスケジュールになるようです。

ヴァーナー氏は、2007年から2015年までドイツ航空宇宙センター理事会の議長を務め、その後ESAの長官に就任しました。ESAを離れた後は専門の土木工学分野に戻るという意向を示しています。。最後までESA全体の業務遂行のしやすさを考え、退任を決意したヴァーナー氏が今後どのようなキャリアを辿っていくのか楽しみです。

イベントに登壇しているJan Wörner氏(右) Credit : Haruka Inoue

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参考

DNI RATCLIFFE WELCOMES U.S. SPACE FORCE AS 18TH INTELLIGENCE COMMUNITY MEMBER

Report: National Strategy for Planetary Protection

AND NOW, THE TIME HAS COME