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Hyperion Technologiesが光通信の実証試験契約を獲得【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/01/04〜01/10】

一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新!

Hyperion Technologiesが光通信の実証試験契約を獲得

超小型衛星向けの機器開発に取り組んでいるHyperion Technologiesが、TNO(オランダ応用科学研究機構)と共同で開発した小型衛星レーザー通信端末CubeCATの実証試験の契約を、15万ユーロ(約1900万円)で獲得しました。

Hyperion Technologiesは2013年にオランダのデルフトで設立したベンチャー企業であり、超小型衛星向けの姿勢制御技術や通信機器の技術開発に取り組んでいます。同社は、2020年10月にスウェーデンを拠点に小型衛星を開発するAAC Clyde Spaceの傘下に入っています。

今回の契約は、ESA(欧州宇宙機関)が光通信や量子通信の技術実証を支援しているScyLightプログラムの一環であり、CubeCATは、ノルウェー宇宙庁が調整する技術実証ミッションNorSat-TDに搭載される予定です。

CubeCATは、小型衛星にダウンリンク最大1Gbps、アップリンク最大200Kbpsの光データ通信を提供することを目標としています。さらに、CubeCATには通信モジュールだけでなくストレージやオンボードデータ管理システムが搭載されているので、特別な設定が必要なく設置すればすぐに使用可能な、いわゆるプラグアンドプレイ型の統合通信システムとなっています。

光通信のメリットとして、現在1~2年を要している衛星が使用する周波数のライセンス取得などの申請請手続きが不要になることがあげられます。

光通信モジュールCubeCATのイメージ図 Credit : Hyperion Technologies

Hyperion TechnologiesのマネージングディレクターであるBert Monna氏は、今回の契約について以下のコメントを出しています。

Our clients’ mission success depends very much on how much satellite data they can get back to Earth. Within one 90 minute orbit it can only operate for four to six minutes because it cannot download all of the data fast enough. What doesn’t get downloaded, is overwritten in the next orbit. We chose to address the bottleneck of bandwidth with the development of CubeCAT and bring a new era to small satellites.
(訳:当社のクライアントのミッションが成功するかどうかは、どれだけ多くの衛星データを地球に送り返すことができるかにかかっています。しかし軌道を一周する90分の間では、4~6分の間しか通信が出来ず、データのすべてを十分に速くダウンロードすることは出来ません。そこで私たちはCubeCATの開発で小型衛星の帯域幅のボトルネックに対処し、小型衛星界に新時代をもたらすことを目指します。)

日本では、NTT(日本電信電話株式会社)がJAXAと共同で光無線通信の共同研究に取り組んでいるほか、宇宙ベンチャーのWARPSPACEも光通信サービスを展開するWarpHub InterSatの開発に取り組んでおり、2022年のβ版提供開始を目指しています。

今後も各国で進む光通信技術の発展に注目です。

Thales Alenia Spaceが月軌道ゲートウェイのモジュール開発契約をESAから獲得

ESA(欧州宇宙機関)は、Thales Alenia SpaceとNASAが2026年に月軌道に建設予定の月軌道ゲートウェイ(Lunar Orbital Platform-Gateway)の欧州モジュールの建設を、2億9,650万ユーロ(約376億円)で契約したことを発表しました。

Thales Alenia Spaceが開発するモジュールはESPRITと呼ばれ、月面有人ミッションにおける燃料補給と月周回軌道の維持を担うESPRIT Refueling Module(ERM)とステーション内の通信インフラを提供するHalo Lunar Communication System(HLCS)という2つのモジュールを搭載します。

月軌道ゲートウェイの全体図 Credit : ESA

HLCSは、Northrop Grummanが開発中の有人モジュール HALO(Habitation and Logistics Outpost)の一部として2024年に打ち上げられ、ERMは2026年に納入され、1年後に打ち上げられる予定です。

Thales Alenia Spaceは、今回のESPRITモジュールに加えて、ESA・NASA・JAXA・CSAと共に、乗組員の居住区となる国際居住区I-HAB(International Habitation)の開発も担当します。

国際協力のもと着々と開発が前に進んでいる月軌道ゲートウェイ、JAXAも交えて開発予定の居住区の開発についても注目です。

ESPRITのイメージ図 Credit : ESA

Kymetaが3000万ドルの資金調達に成功

従来の衛星通信アンテナよりも高性能な、フラットタイプのアンテナの開発に取り組んでいるKymeta Corporationが、Hanwha Systemsが主導する新しい資金調達ラウンドで3000万ドル(約31億円)を獲得しました。今回の資金調達ラウンドの名称は明かされていませんが、Kymetaにとって7回目の資金調達で、累計調達額は3億3,200万ドル(約345億円)にのぼります。

Kymetaのアンテナは電子的に制御されており可動部品を必要としないため、車や船舶、航空機などの移動体に設置することが従来より容易にできます。この点以外にも、電子制御されたフラットパネルアンテナを用いて衛星を追尾し接続を維持することが可能という特徴を持っています。

今回獲得した資金は、同社の次世代ソリューションであるKymeta u8Kymeta Connectの開発に使用される予定です。

今回の資金調達について、Kymetaの会長のDoug Hutcheson氏は以下のコメントを出しています。

Support from HSC will help us expand our reach and drive the development and productization of our meta-material based antenna technology. Kymeta’s solutions work on existing GEO networks and are LEO upgradeable. We look forward to working with HSC to develop technologies and solutions that are reliable and critical for communications on the move.
(訳:Hanwha Systems (HSC)からのサポートは、我々のメタマテリアルベースのアンテナ技術の開発と製品化を加速させることでしょう。Kymetaのソリューションは、既存のGEO(静止軌道)ネットワーク上で動作し、LEO(低軌道)へのアップグレードが可能です。HSCと協力して、信頼性が高く移動中の通信に不可欠な技術とソリューションを開発することを楽しみにしています。)

Kymetaのプロダクトにより、衛星通信がより身近になる世界の実現も近いかもしれません。

Kymetaのu8 terminal Credit : Kymeta

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