宙畑 Sorabatake

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小型衛星向けの推進機器を手掛けるMomentusが、特別買収目的会社を活用して来年初頭にNASDAQに上場へ【週刊宇宙ビジネスニュース 2020/10/05〜10/11】

一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを厳選してお届けする連載「週刊宇宙ビジネスニュース」は毎週月曜日更新!

小型衛星向けの推進機器を開発するMomentusがNASDAQに上場を発表

小型衛星向けの推進機器を開発し、ロケットから放出された後に小型衛星を特定の軌道まで輸送する”軌道投入のラストワンマイル”に挑んでいるMomentusが、来年度初頭にNASDAQに上場することを発表しました。

上場後のMomentusの企業価値は約12億ドルとなり、手元資金として約3億1,000万ドルを手にする予定です。

Momentusが現在開発している小型衛星輸送機Vigorideは、今年の12月にSpaceXのFalcon 9で打ち上げ予定です。同社はVigorideを活用することで、小型衛星を軌道投入するコストを1kgあたり約5万ドルから約1万5000ドルまで削減できると語っています。

同社の年間収益が5億ドルを超えると予測される2023年までにキャッシュフローの黒字化を目指しているMomentus。宇宙ベンチャーが市場に上場を果たすことで多くの投資家が宇宙企業の株式を手にすることができます。

Momentusが開発する小型衛星輸送機Vigorideのイメージ図 Credit : Momentus

なお、今回の上場は、株式の新規公開ではなく、既に上場を果たしている企業と合併もしくは買収することで上場を果たすSPAC(Special Purpose Acquisition Company:特別買収目的会社)という方式を採用しています。

宙畑メモ
SPAC(特別買収目的会社)とは、その企業自体は特定の事業を持たずに、一定期間内に未公開会社・事業を買収することのみを目的として株式市場に上場する企業のことです。従来の新規株式公開(IPO)よりも簡素なプロセスで上場を果たせるため、近年この方式の上場を採用するベンチャー企業が増加しています。

昨年ニューヨーク証券取引所に上場したVirgin GalacticもSPACを活用しました。詳しくはこちらから(Virgin Galacticがついに上場!【週刊宇宙ビジネスニュース 10/28〜11/3】

10月7日付けで、VCであるStable Road Capitalが設立したStable Road Acquisition Corp.がMomentusを買収しています。Stable Road Acquisition Corp.は、SRACというティッカーシンボル(銘柄)でNASDAQに上場済みの企業。

Stable Road Acquisition Corp. は企業名をMomentus.Incとし、ティッカーシンボルもMNTSに改めることで、MomentusのNASDAQ上場が完了します。

企業としての歩みを緩めないMomentusには引き続き注目です。

Momentusが提供する事業概要図 Credit : Momentus

月面ローバーを開発するSpacebitがNASAの商用月面ペイロードサービスプログラムで2回目の契約獲得

月面ローバーを開発する英国の宇宙ベンチャーのSpacebitが、NASAの商業月面ペイロードサービス(CLPS)プログラムで、月への2回目の輸送ミッションの契約を獲得したことを発表しました。本ミッションでは、2021年の第四半期に月面に輸送される予定のIntuitive Machinesが開発する着陸船「Nova-C」に搭載されます。

CLPSは、NASAのアルテミス計画の一環として、NASAが民間企業をサポートし、2024年の有人月面着陸に先立ち実験器具や貨物を月面に送り込むプロジェクトです。

宙畑メモ

アルテミス計画」とは、NASAが2024年までに再び月面に人類を送る月面開発計画の名称です。アルテミスは月の女神で、1961年から1972年にかけて実施されたアポロ計画の名前の由来となっている太陽神アポロの双子であることから命名されています。

本計画の目的は月面に人を送るだけではなく、月とその周囲に長期にわたり人間を滞在させることで、火星の探査ミッションへの準備を行う目的もあります。月の無人周回飛行・月の有人周回飛行を経て、男女2名の宇宙飛行士の月面着陸を予定しています。

 

Spacebitが開発中の車輪付きローバーのイメージ図 Credit : Spacebit

Nova-C着陸船が目標とする着陸地点は、月のOcean of Storms(嵐の大洋)にあるSchröter’s Valleyという名のクレーターです。

Spacebitは、2021年7月にAstroboticが手掛けるPeregrine着陸船で月にペイロードを輸送する契約を既に獲得しています。この契約でSpacebitが打ち上げる予定のペイロードは、ASAGUMO(あさぐも)という名称の4本足歩行ローバーです。

最初の契約で打ち上げるASAGUMOと2回目の契約で打ち上げる車輪付きローバーと、Spacebitはローバーのデザインを変更しています。これによりSpacebitは、ミッションの主要な目的であるレゴリス(月面の土壌)の構成を評価するために、どちらのタイプのローバーが任務に適しているかを評価します。

Spacebitが手掛けるASAGUMOは、日本のローバーYAOKIと同時に月面に輸送される予定です。また、先日UAEも10kgの小型月面ローバーを2024年までに打ち上げる計画を発表しました。
アメリカだけでなく、欧州・中東・日本などの各国挑む月面探査ローバーに、今後も注目です。

2019年12月の交流会でSpacebitが公開したASAGUMOのプロトタイプ Credit : Haruka Inoue

小型衛星を開発するAAC Clyde Spaceが、Hyperion Technologiesを買収

スウェーデンを拠点に小型衛星を開発するAAC Clyde Spaceが、姿勢制御機器をはじめとする超小型衛星関連技術を有するHyperion Technologiesの株式を100%取得し買収が完了したことを発表しました。買収額は約260万ドルと見られています。

AAC Clyde Spaceはスウェーデンで衛星機器や地上試験機器を扱うAAC Microtecとスコットランドの衛星メーカーClyde Spaceが2018年に合併して作られた企業です。

Hyperion Technologiesは2013年にオランダのデルフトで設立したベンチャー企業です。超小型宇宙船向けの姿勢制御技術や軌道制御技術などの技術開発を行っています。また、光衛星通信のための技術を開発するオランダのコンソーシアムの一員でもあります。

AAC Clyde Spaceは今回の買収後、オランダに新たに1拠点を開設して欧州での事業展開を拡大し、3拠点(ウプサラ、グラスゴー、デルフト)の従業員を112名に増員するとのことです。それに加え、Hyperion Technologiesの技術を活用し、小型衛星プラットフォームの垂直統合を強化し、光通信システムの展開を含む新しいソリューションを今後提供する計画のようです。

買収を通じてプレイヤー数も絞られていく、宇宙ビジネスの今後の動きに注目です。

AAC Clyde SpaceとHyperion Technologies Credit : AAC Clyde Space

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