写真で見る、月面ローバー「YAOKI」の1/6重力下・真空での走行試験!【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/6/28〜7/4】
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6月30日、月面探査車「YAOKI」を2022年に打ち上げる計画のダイモン社は、微重力環境および真空での走行試験に成功しました。ダイモン社によると、これらの試験を月面での走行のために実施するのは、国内初。
本記事では、宙畑編集部が取材した実験の様子を写真とともにお届けします。
ロボットクリエイターが開発する、月面探査車「YAOKI」とは
手のひらサイズの二輪ロボット「YAOKI」は、ダイモン社の代表を務めるロボットクリエイターの中島紳一郎氏が月面探査用に開発したものです。
重量はわずか498グラム(2021年6月現在)。従来の小型探査車のおよそ10分の1で、打ち上げ費用を大幅に削減できるのが大きな特徴です。
NASAがペイロードの月面輸送サービスを民間から公募するプログラム「商業月面輸送サービス(Commercial Lunar Payload Services 通称、CLPS)」に採択されているAstroboticの着陸船に相乗りして、月面に到達する計画です。当初、打ち上げは2021年冬を予定していましたが、NASAの都合で2022年に変更となりました。
ダイモンは、JAXAと共同研究を進めているほか、SpaceXとも連携の提案を進めていると言います。
月面探査に向けた2つの走行試験
試験は、北海道赤平市にある植松電気の設備を用いて行われました。
微重力月面走行試験
最初に行われたのは、微重力月面走行試験です。これは、月面の砂を催した素材「模擬レゴリス」を敷いたアクリル製ケースの中にYAOKIを入れ、5メートルの高さから落下させる際に、月面と同じ6分の1重力環境を約1秒間再現し、遠隔操作で走行させるという試験です。
落下時の衝撃を和らげるためにケースの下には緩衝剤が取り付けられていました。高さ5メートルまで釣り上げた後、いよいよ落下させます。
微重力月面走行試験は、合計3回行われました。1回終わるごとに、試験を支援するために来ていた北海道大学の学生が、模擬レゴリスを均していました。
落下は一瞬のため、走行できているかどうかは、ケースに取り付けられているカメラが撮影した動画で確認します。
YAOKIが走行している様子が確認でき、試験は成功に終わりました。
真空月面走行試験
続いて行われたのは、真空炉で真空状態を再現し、YAOKIを約40センチメートル走行させる、真空月面走行試験です。
真空状態での走行が確認でき、2つ目の走行試験も無事に終了しました。
2022年は国内ベンチャーによる月面探査元年となるか?
2022年は、YAOKIと同じく月面探査を計画する日本のベンチャー企業ispaceの打ち上げが予定されています。2010年代から月面探査に取り組もうとしていた各社の成果が実る1年となるかもしれません。