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三井住友海上や東京海上日動らが「月保険」を提供へ。国内の月面探査企業と共同開発【宇宙ビジネスニュース】

【2022年4月28日配信】一週間に起きた国内外の宇宙ビジネスニュースを宙畑編集部員がわかりやすく解説します。

民間企業による月面ミッションの本格的な始動を前に、保険会社が新たなサービスを提供しようとしています。

月保険の概要

4月21日、月面探査を計画するispaceと三井住友海上火災保険(以下、三井住友海上)が月面ビジネスにおいて発生するリスクを補償する「月保険」の組成に関して、両社が覚書を締結したと発表しました。

宙畑メモ 宇宙事業における保険
打ち上げ輸送事業者や衛星事業者らは、打ち上げの失敗による賠償責任や不具合などに備えて保険に加入します。三井住友海上火災は、人工衛星の打ち上げなどの際に加入する宇宙保険を手掛けています。

三井住友海上がispaceの月面探査プログラム「HAKUTO-R」のコーポレートパートナーに参画した2019年2月以来、ispaceはスケジュールや月への航路、着陸の際に起こり得るリスクなど、ispaceの開発に関する情報を提供し、三井住友海上はこれらのリスクを分析してきました。

ispaceの月着陸船(ランダー)は、JAXAとタカラトミーらが共同開発した小型ロボットやUAE宇宙機関の月面探査ローバーを含む7つのペイロードが搭載され、2022年末頃に打ち上げられる予定です。

打ち上げに向けて、ispaceと三井住友海上は、月遷移軌道上でロケットからランダーが切り離され、月までの長期間の航行の期間や月面着陸するまでの間に発生する損害を補償する保険について引き続き協議を行い、打ち上げから月面着陸までをシームレスに補償する月保険を2022年中に契約する見込み。また、三井住友海上の担当者によると、ランダーに搭載されるペイロードに対してもニーズがあれば補償を提供する予定とのことです。

ispaceのFounder 兼CEOの袴田武史氏は、月保険の重要性を説明した上で、

「三井住友海上と協業させていただき、新しい挑戦を支える新しい保険を創出することで、新しい事業者がより参加しやすい環境、産業を作っていきます」

とコメントしています。

さらに、2022年4月21日には、東京海上日動火災保険が国際宇宙保険市場の主要プレーヤーであるイギリスのBeazley PLC(以下、Beazley)と共同で「月保険」を開発したと発表しました。これは、月面探査ローバーによる月面探査ミッションを対象に、ローバーの故障や通信トラブルにより、予定していた月面探査のミッションを達成できない場合に月面までの輸送費用や月面探査ローバーの製造費用等を補償するというものです。

東京海上日動火災保険は、Beazleyと小型ローバー「YAOKI」による月面探査を計画するダイモンは共同で、2021年から月面探査ミッションに関する研究開発を始め、月保険の開発に至ったといいます。この月保険は、2022年中の打ち上げを目指すダイモンに提供することが決まっています。

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参考

三井住友海上とispace、初の商業的「月保険」実現に向けて合意

三井住友海上が民間月面探査プログラムHAKUTO-Rのコーポレートパートナーに参加

月面探査ミッションを支援する「月保険」の開発

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