<速報>2022年度の予算概算要求、衛星コンステと火星衛星探査計画MMXが大幅増【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/8/30〜9/5】
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8月30日、文部科学省は2022年度の国の予算案の概算要求を発表しました。宇宙関連予算は補正予算を含む2021年度予算の1.6%増にあたる2,160億円が提示されました。
注目は、約88億円が提示された「衛星コンステレーション関連技術開発」です。
小型衛星については、開発期間の短縮や低コスト化につながる衛星の開発や製造方式の刷新を目的として、JAXAと民間企業、研究期間が結集して取り組む「小型技術刷新衛星研究開発プログラム」が進められていました。
文部科学省 研究開発局 宇宙開発利用課の担当者によると、「衛星コンステレーション関連技術開発」は、運用や姿勢制御、衛星バスなど、よりコンステレーションに特化した内容になっています。
また、経済産業省は「超小型衛星コンステレーション技術開発実証事業」を行っており、アクセルスペースとSynspectiveなどの衛星事業者を採択したと発表しました。
アクセルスペースとSynspectiveが経済産業省の実証事業に採択。共同で衛星コンステの構築【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/8/23〜8/29】
経済産業省の実証事業は実用化に近いフェーズのものを対象にしていますが、文部科学省の「衛星コンステレーション関連技術開発」では、要素技術の開発が中心になる想定だということです。
さらに、火星の衛星「フォボス」からのサンプルリターンを目指すJAXAの火星衛星探査計画MMXの要求額は、2021年度の約3.5倍にあたる約92億円にのぼりました。
MMXは2021年度の概算要求は46億円だったのに対し、割り当てられたのは26億円。計画の実現を懸念する声が上がっていました。
ところが、今年6月に開催された第24回宇宙開発戦略本部では、菅総理大臣が宇宙基本計画工程表の重点項目としてあげ、2024年度に確実に打ち上げる方針が発表されました。小惑星探査機「はやぶさ」と「はやぶさ2」に続く、サンプルリターンミッションとして期待が高まっています。
各省庁の概算要求は、財務省による編成作業や閣議決定、国会審査を経て成立します。概算要求額から実際に割り当てられる予算が大きく変わることや年度途中に補正予算が割り当てられるケースがあります。実際に、2021年度は2020年度三次補正予算が割り当てられ、アルテミス計画やH3ロケットの開発などに総額580億円の補正予算がつきました。
最終的な予算額がどうなるのか引き続き注目していく必要があります。