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日本最大級の技術展示会「CEATEC」、宇宙分野で注目を集めたソフトバンクのNTN構想とは【週刊宇宙ビジネスニュース 2021/10/18〜10/24】

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オンライン開催されたCEATECの様子

アジア最大規模の総合技術展示会「CEATEC」が今年も開催されました。

宇宙分野で注目を集めたのは、ソフトバンクのデジタル格差を解消する次世代通信「Non Terrestrial Network(非地上系ネットワーク:NTN)構想」です。衛星通信と成層圏プラットフォーム(HAPS)を活用した同社事業の詳細が明らかになりました。

配布資料より Credit : ソフトバンク

HAPS・低軌道衛星・静止衛星のそれぞれの特性を活かして、様々な分野にネットワークを提供していこうとしていることが読み取れます。

配布資料より Credit : ソフトバンク

雲の上の基地局「HAPS」

ソフトバンクと子会社のHAPSモバイルは、HAPSの技術開発を行っています。

宙畑メモ
通信装置を搭載した高高度無人機HAPS(High Altitude Platform Station)を上空20kmに飛ばすことで、広いエリアに通信サービスを提供する取り組みが進められています。

2020年9月に実施したテストフライトでは、15時間にわたって、成層圏から地上へLTE接続を提供しました。自律型航空式のHAPSによって、LTE通信を成功させたのは、世界初。2027年以降に、本格的な商用サービスが開始される計画です。

ソフトバンクはHAPSによる通信を、カバレッジの拡張や発災時に備えたBCP対策、3Dカバレッジ、ドローンやIoTサービスなどへの提供を見込んでいるようです。

宇宙ベンチャーと協業し、高速の衛星通信接続を提供

NTN構想のもうひとつの要素である衛星通信についても、ソフトバンクが2016年から出資しているアメリカの衛星通信事業者OneWebと連携し、2021年末までに北緯50度以上の地域で、2022年には世界中で商用サービスを開始する計画を5月に発表しました。

地球低軌道に648機の衛星を配備することにより、従来の通信を大幅に上回る速度を実現します。

配布資料より Credit : ソフトバンク

地上でデータを受信する際には、従来は1mほどのアンテナが必要だったのに対し、OneWebの衛星通信は薄型アンテナが利用可能で、エンドユーザーへ普及しやすいのではないかと考えられます。ソフトバンクは、船舶や建設機械、航空機などのモビリティをはじめとする幅広いユーザーをユースケースとして上げています。

配布資料より Credit : ソフトバンク

さらに、ソフトバンクは、IoT向け衛星ナローバンド通信サービスを提供するSkylo Technologiesとの協業を6月に発表しています。Skylo Technologiesは、漁業や鉱業、海運業向けに、従来の静止衛星より低価格な接続を提供している企業です。

配布資料より Credit : ソフトバンク

ソフトバンクはSkylo Technologiesとの協業により、自動車や船舶、建設機械、農業機械向けにサービスを提供していく見込みのようです。

国内の大手通信キャリアがNewSpace企業による衛星通信を利用した事業の計画を発表しているなか、先頭を走っているソフトバンクがどのようなユースケースを生み出していくのかに注目が集まりそうです。

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参考

「CEATEC AWARD 2021」でソフトバンクが部門賞をダブル受賞

雲上の基地局「HAPS」。無人航空機の成層圏テスト飛行とスマホ同士の通信に世界で初めて成功