宙畑 Sorabatake

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OneWebが連邦倒産法第11条(Chapter11)を申請【週刊宇宙ビジネスニュース 3/23〜3/29】

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OneWebが破産申請となるChapter11を申請

先日、破産申請を検討していることが報道されたOneWebが3月27日に、米国ニューヨーク南部地区連邦破産裁判所に米国破産法第11章に基づく救済を申請したことを同社公式HP上で発表しました。同社はこれらの手続きを利用し事業の売却を検討、また、大部分の従業員に当たる500名を解雇する予定とのことです。

今年に入ってからOneWebは筆頭株主であるSoftbank Groupと、通信衛星の打ち上げ及び正式なサービスインに向けた新たな資金調達についての交渉を進めていたようです。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の普及による市場の乱高下の影響で、資金調達の交渉を進めることができず、今回の破産申請につながったようです。

(※Softbank Groupの部分をSoftbnk Vision Fundと記載しておりました。誤りでしたので、3/30 16:00に修正致しました。)

ただし、米国破産法第11章(Chapter11)は日本の法律に当てはめるなら民事再生法が近いものです。今後打ち上げ数の減少・従業員の整理・事業の方向性の見直しなどは行われるものの、企業の再建に向けて動いていくと思われます。

OneWebが構想していた衛星通信のサービス概要図 Credit : OneWeb

既存投資家および他の企業への影響

ここで、改めてOneWebのこれまでの投資実績について振り返ってみます。

OneWebの過去の投資実績 Credit : Crunch Baseを基に宙畑作成

上記は、これまでに公開されたOneWebの投資実績をまとめた表です。
このように、OneWebは過去4回の資金調達を実施し総額30億$を調達してきました。

輸送ベンチャーのSpaceXRocket Lab、衛星ベンチャーのSpireMapboxなどを始め、海外の宇宙ベンチャーの大部分は民間VCからの投資が大部分を占めています。しかし、OneWebは筆頭株主であるSoftBank Groupの他にVirgin GroupやCoca-Cola Foundersのような事業会社、更にはルワンダ政府のような国家機関からも投資が行われていた点が特徴です。

次に、OneWeb Holdings LLCが3月27日に提出した
”Official Form 201 Voluntary Petition for Non-Individuals Filing for Bankruptcy”
を見てみると興味深い点が分かります。

無担保債権者の上位5社 Credit : United States Bankruptcy Court

上記のように、この文書の中には

  1. List of Creditors Who Have the 30 Largest Unsecured Claims and are Not Insiders (Reported on a Consolidated Basis)

(訳:会社関係者以外の無担保債権の上位30社)

という項目があり、最多はArianespaceで、無担保債権額は約2億3800万$となっています。OneWebは、Arianespaceがロシア連邦宇宙局(ロスコスモス)から購入して打ち上げを実施しているソユーズロケットで過去3回通信衛星の打ち上げを実施しています。さらに今年の4月以降にソユーズ2.1bにて9回の打ち上げ、2021年中に12回の打ち上げを予定していました。

OneWebは、衛星通信コンステレーションサービスを提供しようとしているところからSpaceXのStarlinkの競合として頻繁に比較される企業ですが、SpaceXとの大きな違いとしてOneWebは衛星の打ち上げをArianespaceのような輸送事業者にお願いしなければならない点があります。ソユーズの打ち上げを行っているArianespaceへの借金が一番大きいことからも、打ち上げ費用が資金繰りのネックになっていたのかもしれません。

SpaceXのように輸送方法を自社で確保することができない企業の場合、輸送費を抑えるために輸送事業者とどうアライアンスを組んで利害関係を揃えることができるかが、衛星コンステレーションサービスの成功にかかっているのではないでしょうか。

また、同じく3月27日に提出された別の資料によると、SoftBank Groupの保有率は、37.41%だったことが分かります。

OneWeb社の株主保有率 Credit : United States Bankruptcy Court

衛星通信コンステレーションを実現する企業は現れるか

これまでOneWebの衛星は以下の3回の打ち上げにより74機の通信衛星はすでに軌道上にあります。

  1.  ・2019年2月28日 6機(ソユーズST-B)
     ・2020年2月7日   34機(ソユーズ2.1b)
     ・2020年3月22日 34機(ソユーズ2.1b)

OneWebの衛星通信コンステレーションは約650機の衛星を計画していたため、計画途中の状態でサービスインできる可能性は低く他の事業者に買い取られることになるでしょう。計画中の衛星通信コンステレーションは、下記表のように多数あります。
(しかし下記表のようにOneWeb含めて3社が事業を中断しています。)

計画中の衛星通信コンステレーション Credit : sorabatake

OneWeb創業者のGreg Wyler氏は、技術に精通したシリアルアントレプレナーです。

現在SESが計画している衛星通信コンステレーション”O3b”は、元々Greg Wyler氏が創業した宇宙ベンチャーです。(2007年にWyler氏がO3b Networksを創業し2010年にGoogleが投資しWyler氏もGoogleへ参画。Wyler氏はGoogleを退社しOneWebを創業。その後O3b Networksは2016年にSESの完全子会社に。)

デジタルデバイド(国家間で生じる情報格差)に強い課題感があったGreg氏が創業したOneWebの事業は今回破産申請という結果となってしまいました。しかし、イリジウム・グローバルスター・オーブコムなどの老舗の通信衛星事業社は全社一度Chapter11を経験しており、その後再起した企業です。今後再建計画を練り直し、OneWebが復活することに期待しましょう。

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OneWeb collapses after SoftBank funding talks fall through

(OneWeb Holdings LLC) Voluntary Petition for Non-Individuals Filing for Bankruptcy

(OneWeb Global Limited) Voluntary Petition for Non-Individuals Filing for Bankruptcy